解説
1947年に出版された太宰治の小説『斜陽』の映画化。戦後に没落していく貴族の娘でありながら、古い道徳に抗って太陽のように道ならぬ恋につき進んでいく27歳のかず子の生き方を、75年を経た現代に照らし合わせて描く文芸ドラマ。主人公を演じたのは本作にて映画デビューと初主演を飾った宮本茉由。最後の貴婦人の誇りを持ちながら結核で死んでいく母に水野真紀。麻薬と酒に逃げ破滅していく弟の直治に奥野壮。太宰自身を投影した無頼の売れっ子作家・上原を安藤政信が演じる。監督は「うさぎ追いし 山極勝三郎物語」の近藤明男。故・増村保造監督の助監督を務めたことが縁で、増村と脚本家の白坂依志夫が遺した「斜陽」の脚本草稿を元に、自ら本作の脚本を仕上げた。
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この作品のレビュー
映画専門家レビュー
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脚本家、映画監督井上淳一75年前の原作を48年前の脚本で今映画化する意味があるのだろうか、と恐る恐る観る。脚色で言えば、母との話を薄く、小説家を濃くして、実際に子供を産ませたことはさす... もっと見る
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「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」のストーリー
敗戦後の昭和20年、没落貴族となった上、父を失ったかず子とその母、都貴子は生活のために本郷西片町の実家を売って西伊豆で暮らすことになった。そんな折、戦地で行方不明となっていた弟の直治が帰還するとの知らせが入ると、母は「歳の離れた資産家に嫁いだらどうか」とかず子に話す。激怒したかず子は「鳩のごとく素直に、蛇のごとく慧かれ」というイエスの言葉とともに6年前の出来事を想い出す。まだ学生だった直治が師匠と仰ぐ中年作家、上原二郎との出会いである。それは一夜の恋心の目覚めであった。
「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」の映像
「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」の写真
「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | 文芸 ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2022 |
公開年月日 | 2022年11月4日 |
上映時間 | 109分 |
製作会社 | 「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」製作委員会 |
配給 | 彩プロ |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
音量 | 5.1ch |
公式サイト | https://syayo.ayapro.ne.jp/ |
コピーライト | (C)2022 『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』製作委員会 |
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