母との約束、250通の手紙の映画専門家レビュー一覧

母との約束、250通の手紙

仏の文豪ロマン・ガリの自伝『夜明けの約束』を映画化。シングルマザーのニーナは息子ロマンが軍で功績を上げて、大作家になると信じていた。ついにロマンはパイロットとして活躍し、小説も出版されるが、母からの手紙には作家デビューを喜ぶ様子はなかった。出演は、「イヴ・サンローラン」のピエール・ニネ、「アンチクライスト」のシャルロット・ゲンズブール。監督・脚本は、「ラスト・ダイヤモンド 華麗なる罠」のエリック・バルビエ。セザール賞4部門ノミネート作品。
  • 映画評論家

    小野寺系

    「子どもの束縛は良くない」、「親と子は別人格」というコンセンサスができあがり、“マザコン”、“毒親”が嫌われる時代にあって、真逆のベクトルへと突き抜けていく内容には圧倒されてしまった。個性を感じさせる演出は希薄だと感じたが、賢母の姿を描きながらも、恋人あるいは長年連れ添った夫婦に見えるように母子のつながりを描写しているところが面白い。シャルロット・ゲンスブールのノーブルな印象とナチュラルな素朴さが、本作の役柄としては非常に効いている。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    小説家ロマン・ガリというよりは、女優ジーン・セバーグの元夫が、これほどまでに凄まじい母親に育てられていたことに、まず吃驚。母と息子の絆や愛といった生やさしい話では済まない。映画は時にエキセントリックにも映る母の期待に対する重圧、加えて戦争の描写が緩急よろしく展開し、綻びのない演出もさることながら、実話自体が持つ凄みを感じさせる。大人の役がすっかり板についたC・ゲンスブールと、母の思いを受ける役どころに徹したP・ニネのコンビネーションに★一つ進呈。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    脚本に対する演出はほぼ完璧といえ、通常なら4時間分くらいのボリュームのエピソードを130分に収めている手捌きは見事だし、母親のキャラクターが強烈な上、良い塩梅のユーモアが映画全体の湿度を抑制しているゆえ、最後までスルッと面白く観ることができるのだが、ひとたび脚本の構造に目を向けると、やはりエピソードの数珠つなぎ感が気になるし、仮にシーケンスを10くらい落としても全体としてはさほど問題がなさそうというのは映画としてどうなんだろうと思ってしまった。

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