ザ・ハントの映画専門家レビュー一覧

ザ・ハント

過激な世相風刺と暴力的な内容が問題視され、米国では9月の公開が無期延期となったサバイバル・アクション。広大な森の中で目覚めた12人の男女。そこに突然、銃声が響く。彼らは、セレブが娯楽のために一般市民を狩る“人間狩り”の標的にされたのだ……。出演は「僕のワンダフル・ジャーニー」のベティ・ギルピン、「ミリオンダラー・ベイビー」のヒラリー・スワンク、「ビリオネア・ボーイズ・クラブ」のエマ・ロバーツ。製作を務めたのは、「ゲット・アウト」、「透明人間」などのヒット作を次々と送り出すブラムハウス・プロダクションズを率いるジェイソン・ブラム。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    娯楽と社会、政治問題を一見練った脚本で料理をしているようだが、浅くて哲学が感じられない。ヒラリー・スワンクという実力のあるしかし不運な女優が、いかなる役にも挑戦するという野心があるとは思えない。百歩譲って暴力や不条理を正面から描く意思があるわけでもなく、それでいて過激。過激な描写をするために浅い社会問題を担保として用意しているのか。純粋に視覚暴力を描くのであれば、それなりの責任を持つべきだ。過去の多くの名作を解釈しての結果のようだが浅い。

  • フリーライター

    藤木TDC

    残酷な人間狩りが主題で開巻からどんどん人が死ぬものの基本はコメディ。しかも欧米政治のアクチュアルやポリコレをネタにする意識高い系ギャグで、脚注的要素を予習すればより楽しめる。嫌味な選良趣味も感じるが、そこにC級スリラーをインテリに鑑賞させる悪巧みがあり、真剣に語ること自体が風刺のメタ映画なのだろう。ま、そのキモが観客に届くかどうか。ラストは突然女の肉弾戦になるがこれも政治的比喩?映画館の入場料に見合うかといえば、DVDか配信で観賞が相応。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    不謹慎だが、始まってすぐに(景気の良い映画だなあ)とニマニマしてしまった。富裕層の人間が中流以下の人々をハンティングするという、映画業界では定期的に現れるテーマで、別に啓蒙目的といった意識は感じない。ただ大量の武器が出てきて、一気呵成に様々な方法で人が殺されるだけ。でも仮想だし戦争映画と何が違うのかとも思うので、悪趣味だとわきまえて楽しめばいい作品だ。冒頭のリレー形式の展開は斬新で見事。この手の映画に整合性を求める気もない。

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