劇場版 ルパンの娘の映画専門家レビュー一覧
劇場版 ルパンの娘
代々泥棒一家の娘と代々警察一家の息子との許されぬ恋を描く、深田恭子主演のTVドラマシリーズ劇場版。泥棒一家“Lの一族”の父・尊が引退を決意し、迷惑をかけてきた華と和馬にちょっと遅めの新婚旅行をプレゼントする。しかしその真の目的はある秘宝だった。ドラマ版の演出を手がけていた「翔んで埼玉」の武内英樹監督が、引き続き監督。“Lの一族”の娘・三雲華役の深田恭子、警察一家の息子・桜庭和馬役の瀬戸康史らおなじみのキャスト陣に加え、観月ありさが物語のキーを握るもう一人のLの一族・三雲玲を演じる。
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
この手のテレビ屋映画にいちいち目くじらを立てるほど大人げなくはないつもりだが、行き当たりばったりな編集によるグダグダのテンポで旬でもない脇役たちの旬でもない小ネタが空回りしているのを延々と見続けていると、さすがに体調が悪くなってくる。看板を背負う深田恭子は、コメディエンヌとして弾けることなく主に狂言回し的な役割。一方、橋本環奈は福田雄一組だけでなく本作でもそのデフォルメ演技が重宝されているが、この路線のまま消費され続けて大丈夫なのだろうか?
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映画評論家
北川れい子
原作もドラマ版もまったく知らずに観て、ただキョトン! 俳優たちのナリフリをフィギュア風のおもちゃキャラにして、ビックリハウス的なアチャラカ空間でドタバタした泥棒一族の大騒動。慣れれば癖になるのだろうが、慣れた頃には新派悲劇もどきの一族秘話になり、ガクッ。唯一笑えたのは、いきなり意味なく現れて、ひとり上機嫌で歌い踊る大貫勇輔。「テルマエ・ロマエ」「翔んで埼玉」ではしっかり楽しんだ武内監督のエンタメ演出も、今回はただド派手に騒いでいるの図。
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映画文筆系フリーライター
千浦僚
いくら深田恭子さんに(勝手に、密かに)絶対の忠誠を誓う身としてもいささかキツイ。いや、お綺麗でしたが。いまここで展開する映像と音響と演出が薄い。最近も次号本欄用の某「劇場版」映画を観て、“ほら皆様ご存じの……”という弛緩した姿勢にまずは閉口した。そこを越えて伝わるものもあるが。本作は「翔んで埼玉」製作陣によるものだが、埼玉にあった階級闘争のような背骨、底光りする見応えがここにはなかった。父親を詰る長兄役の栗原類氏の芝居には訴求力があった。
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