神様のいるところの映画専門家レビュー一覧
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
同性間のDVは物語の起動装置として簡単に処理される一方、男性から女性への暴力には死のペナルティが課せられて当然とするのは近年の映画で頻繁に見られる傾向で、それが作劇上のアファーマティブアクションであることは理解するとしても、やはり時代の病なのではないか。また、役者の演技スキルの見過ごせないレベルのバラつきという、修了制作作品にありがちな問題も抱えている。それでもなお、すべてのショットに意志と意図がある、このような新しい作家との出会いは刺激的だ。
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映画評論家
北川れい子
日本語が不自由な母親から虐待同然の扱いを受け、学校でも理不尽にいじめられている少女・玲は、台湾生まれで日本で育ったという鈴木冴監督の実体験? いざとなれば反撃も辞さない玲。そんな玲が家出し、OL葵と出会ったことから退っ引きならない状況になるのだが、といって映画がサスペンスに向かうわけでもなく、脚本も演出も乱暴なほど座り加減が悪い。埼玉県の観光名所にもなっているという台湾道教の寺院・聖天宮が何度も登場、実存主義的展開から神頼みになるのは面白いが。
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映画文筆系フリーライター。退役映写技師
千浦僚
暗さ、というものがちゃんと写っている。少女がさまよう夜の戸外。男が女を襲い、少女に殺される室内。この感じを昔はよく映画の中で観ていたのに、最近は見かけなくなっていたと思った。夜の屋外を撮ることが何かこう、若さに満ちた冒険、怯えを感じさせられる世界への挑戦なのだということがあった。そこからうってかわって、バディ的になった女性ふたりが明るい世界に入ってゆき、ちょっと目を疑うファンタジックな建築に遭遇したりする。この起伏、変化に撃たれる。
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