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略歴 / Brief history
東京都の生まれ。高校1年生の時に原宿でスカウトされ、芸能界入り。2005年のオムニバス映画「ZOO」の一篇「SEVEN ROOMS」で女優デビューし、翌06年公開の園子温監督「紀子の食卓」では、吹石一恵演じるヒロインの“レンタル家族”上での妹・ユカを演じて注目を集める。変容していく世の中、人間関係を冷めた視点で見つめるこの役で、ヨコハマ映画祭新人賞を受賞。同年には園監督が手がけたテレビ朝日「時効警察」の第6話にもゲスト出演し、以後、その独特の舌ったらずなけだるい口調や低体温な雰囲気により、掴みどころのない現代少女像の一種を託されていく。そんな個性が強烈に活かされたのが、三木聡監督「転々」07の“ふふみ”役。年齢・素性も不明でエキセントリックな行動のキャラクターと三木監督のシュールな演出とが見事にハマった。廣木隆一監督「きみの友だち」08でのヒロインの友人役なども、出番は少ないが不思議と硬質な印象を残し、高崎映画祭助演女優賞を受賞している。この08年は蜷川幸雄監督「蛇にピアス」で主演。金原ひとみの芥川賞小説を映画化するにあたり、ヒロインのルイ役はヌードシーンが前提とされていたが、吉高はオーディションの際に「胸そんなに大きくないですけど見ますか?」と監督に確認したという、度胸のあるユニークなキャラを物語るエピソードがある。本作で少女の得体の知れない強さを表現した吉高は、日本アカデミー賞、ブルーリボン賞などの新人賞を受賞。以後も森淳一監督「重力ピエロ」09、佐藤信介監督「GANTZ」11などに出演し、フジテレビ『あしたの、喜多善男』08で演じた天真爛漫に周囲の者たちを振り回すグラビアアイドル・宵町しのぶなど、不思議ちゃん役をやらせれば右に出る者なしの活躍を続けるが、決して天然ではなく客観的に演じているクレバーな女優である。11年の主演作「婚前特急」では5人の男とつきあう強欲な女をコミカルに演じている。テレビドラマはほかに、フジテレビ『太陽と海の教室』08、『白い春』『東京DOGS』09、TBS『ラブ・シャッフル』09、WOWOW『豆腐姉妹』10など。連ドラ初主演作の日本テレビ『美丘・君がいた日々』10では、難病と闘うヒロインを力演した。
吉高由里子の関連作品 / Related Work
作品情報を見る
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風よ あらしよ 劇場版
制作年: 2023大正時代の女性解放運動家・伊藤野枝を描き第55回吉川英治文学賞を受賞した村山由佳の評伝小説原作、吉高由里子主演の2022年放送のNHKドラマを映画化。家のための結婚を蹴り上京した伊藤野枝は、青鞜社に入り婦人解放を訴え、波乱に満ちた人生を歩むが……。吉高由里子が主演した2014年NHK 朝の連続テレビ小説『花子とアン』のディレクターを務めた柳川強が演出を手がけ、2016年放送のTBSドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』で第35回向田邦子賞を受賞した矢島弘一が脚本を担当。短くも激しい人生を送る伊藤野枝を吉高由里子が、平塚らいてうを松下奈緒が、野枝の第一の夫であるダダイスト・辻潤を「正欲」の稲垣吾郎が、後のパートナーとなる無政府主義者・大杉栄を「福田村事件」の永山瑛太が演じる。 -
きみの瞳(め)が問いかけている
制作年: 2020韓国映画「ただ君だけ」を原作にした純愛ストーリー。不慮の事故で視力と家族を失うも、明るく生きる明香里は、塁と出会う。将来を有望視されたキックボクサーだった塁は、ある事件をきっかけに未来を失い、心を閉ざしていた。やがて二人は惹かれ合うが……。出演は、「検察側の罪人」の吉高由里子、「いなくなれ、群青」の横浜流星。監督は、「フォルトゥナの瞳」の三木孝浩。90点 -
検察側の罪人
制作年: 2018雫井脩介の司法ミステリーを原作に「関ヶ原」の原田眞人が監督、木村拓哉と二宮和也が初共演。ある殺人事件の容疑者の一人として、すでに時効を迎えた未解決事件の最重要容疑者が浮上。彼を執拗に追い詰める検察官・最上の捜査方針に若手の沖野は疑問を抱く。互いの正義を賭けて対立する二人の検事を木村拓哉と二宮和也が演じるほか、「ユリゴコロ」の吉高由里子、「モリのいる場所」の山崎努ら豪華俳優陣が集結。60点 -
ユリゴコロ
制作年: 2017沼田まほかるの同名ミステリーを「近キョリ恋愛」の熊澤尚人監督が映画化した吉高由里子5年ぶりの主演作。亮介が実家で見つけた一冊のノート。そこには殺人を心の拠りどころとしていた美紗子という女の手記が綴られていた。亮介はその真相に迫っていくが……。共演は「キセキ あの日のソビト」の松坂桃李、「聖の青春」の松山ケンイチ、「恋妻家宮本」の佐津川愛美、「暗黒女子」の清野菜名、「3月のライオン」の清原果耶、「ねこあつめの家」の木村多江。60点 -
真夏の方程式
制作年: 2013「容疑者Xの献身」に続き、福山雅治が天才物理学者を演じる人気シリーズの劇場版第2弾。美しい海が残る海辺の町を舞台に、ある事件に巻き込まれていく湯川と一人の少年の姿を描く。原作は東野圭吾。監督は前作に続き、西谷弘が担当する。共演は「横道世之介」の吉高由里子、「龍が如く 劇場版」の北村一輝、「映画 妖怪人間ベム」の杏。80点