高橋惠子 タカハシケイコ

  • 出身地:北海道釧路市の生まれ
  • 生年月日:1955/1/22/

略歴 / Brief history

北海道川上郡標茶町の生まれ。父の仕事の関係で釧路市など道内でいくつか転居したのち、小学生の頃に上京。相模原市立大野南中学校在学中に大映のスチールマンにスカウトされて、1970年、中学卒業と同時に大映に入社。同年8月、帯盛迪彦監督「高校生ブルース」でいきなり主演デビューする。当時は本名の“関根恵子”の名で活動していた。「高校生ブルース」は女子高生の妊娠を描いた作品で、ヌードなど大胆なシーンも多く話題を集める。同年、臼坂礼次郎監督「おさな妻」では、女子高生ながら母・妻・学生の3つの顔を持って生きる少女を演じ、ゴールデンアロー賞新人賞を受賞した。これらの作品は、10代の少女が愛と性の問題に悩み傷つきながら生きていく姿を描いた“レモンセックスシリーズ”という大映の人気レーベルとなる。以後も、帯盛監督「新・高校生ブルース」70、「高校生心中・純愛」71、増村保造監督「遊び」71、湯浅憲明監督「樹氷悲歌(エレジー)」「成熟」71などに続けざまに出演。肝の座った演技派美少女として期待されたが、71年12月に大映が倒産。翌72年に東宝に移籍する。その72年、東宝制作の日本テレビ『太陽にほえろ!』にレギュラー出演。彼女が演じたシンコ役は松田優作演じるジーパン刑事の恋人となり、『ジーパン・シンコ、その愛と死』などドラマティックなエピソードが作り上げられていく。一方、映画では熊井啓監督「朝やけの詩」73で再び注目を浴び、以後も浦山桐郎監督「青春の門」75などの話題作、増村監督「動脈列島」75などの社会派作品に出演。演技の奥行きも深めながら順調に活躍しているように思われたが、77年に自殺未遂騒動を起こしたのち、79年には西武劇場『ドラキュラ』の舞台公演中に、作家・河村季里との恋愛問題などで失踪するスキャンダルを起こしてマスコミから叩かれ、以後、芸能活動を休止する。80年、半年間の謹慎ののち復帰会見を開き、日本テレビのドラマ『女たちの他国・愛と炎の山河』、テレビ朝日『華麗な殺しの三重奏』で女優復帰。山本薩夫監督「アッシイたちの街」81で映画にも復帰すると、舞台演出家・蜷川幸雄が古典『四谷怪談』を大胆に解釈した監督第2作「魔性の夏・四谷怪談より」81にも出演。夫・伊右衛門(萩原健一)に裏切られ殺される悲劇の妻・お岩を切なく演じた。82年には、ピンク映画出身の高橋伴明が監督した初の一般映画「TATTOO[刺青]あり」で、宇崎竜童演じる主人公が破滅の道に進んでいくきっかけを作る元恋人役を演じた。ここで出会った高橋と同年6月、結婚。翌年より芸名も“高橋恵子”(のち惠子に改める)とし、その後はしっとりした大人の女性を演じることが多くなっていく。88年、夫の監督によるサスペンス「DOOR」では、勧誘に来るセールスマンに脅かされる主婦を演じ、以後も高橋伴明とは「獅子王たちの夏」91、「セラフィムの夜」96、「大いなる完(ぼんの)」98、「禅/ZEN」08など要所で脇を固め、二人三脚の関係を築いていく。その間もテレビドラマは、NHK大河ドラマ『徳川家康』83、『信長』92、『葵・徳川三代』00、『武蔵/MUSASHI』03や、フジテレビ『過ぎし日のセレナーデ』89、日本テレビ『麻酔』94など多数に出演していくが、舞台からは長く遠ざかり、復帰したのは実に18年ぶりの97年、蜷川幸雄演出『近松心中物語・それは恋』。一度、舞台に穴を開けた者はなかなか復帰できないという定説を覆し、恋に命をかける遊女・梅川を坂東八十助(現・三津五郎)相手に激しく演じた。以後は舞台活動も多くなり、鐘下辰男演出『新・地獄変』『藪の中』『マクベス』、蜷川演出『近代能楽集・弱法師』『ハムレット』『天保十二年のシェイクスピア』、野田秀樹演出『キル』『ザ・キャラクター』、水谷幹生演出『細雪』など多数の作品に出演。2001年の『弱法師』では、ロンドン・バービカン劇場の舞台も踏んでいる。02年の『雁の寺』『藪の中』で読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。04年の『山ほととぎすほしいまま』『藪原検校』『ハムレット』では朝日舞台芸術賞、秋元松代賞を受賞している。一方、近年は再び映画での活躍も目立ってきており、07年の近藤明男監督「ふみ子の海」では、主人公のふみ子に按摩の技術を教える笹山タカ役。盲目ながら凛と生き、ふみ子を厳しく育てる女性を演じて、毎日映画コンクール女優助演賞を受賞した。09年の園子温監督「ちゃんと伝える」では、病に侵された夫(奥田瑛二)を慈しみ、夫と息子の男同士の関係も暖かく見つめる妻であり母であるいずみを演じる。病院のベッドで添い寝する仕草が愛おしい。翌10年に毎日映画コンクール田中絹代賞を受賞。11年も飯島敏宏監督「ホームカミング」や、「ふみ子の海」の近藤監督と再び組んだ「エクレール・お菓子放浪記」が相次いで公開された。

高橋惠子の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 「桐島です」

    制作年: 2025
    1970年代の連続企業爆破事件で指名手配されていた桐島聡の半生を映画化。当時、大学生だった桐島は反日武装戦線の活動に共鳴し、組織と行動を共にする。だが、組織は警察当局の捜査によって壊滅状態になり、指名手配された桐島は偽名を使って逃亡する。「夜明けまでバス停で」の監督・高橋伴明と脚本家・梶原阿貴がシナリオ化、桐島の謎に満ちた人生に迫る。出演は「ケンとカズ」の毎熊克哉、「心平、」の奥野瑛太、「春画先生」の北香那。2025年3月14日より開催の「第20回大阪アジアン映画祭」にて上映。
  • アナログ

    制作年: 2023
    ビートたけしの小説を二宮和也主演で映画化したラブストーリー。手作り模型や手描きのイラストにこだわるデザイナーの水島悟と携帯を持たない謎めいた女性、美春みゆき。喫茶店“ピアノ”で偶然出会った2人は毎週木曜日、同じ場所で会う約束をするが……。共演は「ホテルローヤル」の波瑠。監督は「鳩の撃退法」のタカハタ秀太。
  • 夜明けまでバス停で

    制作年: 2022
    「痛くない死に方」の高橋伴明監督が板谷由夏を主演に迎え、コロナ禍が招いた貧困・社会的孤立を描いた社会派ドラマ。昼は自作のアクセサリーを売り、夜は焼き鳥店で住み込みのパートをする三知子は、コロナ禍の影響で仕事と住処を失い、ホームレスになる。2020年11月に渋谷区幡ヶ谷のバス停で寝泊まりしていたホームレスの女性が突然襲われ死亡した事件をモチーフにしている。主人公の三知子を「欲望」(2005)以来の映画主演となる板谷由夏が演じる他、「花と雨」の大西礼芳、「大綱引の恋」の三浦貴大らが出演。2022年第96回キネマ旬報ベスト・テン日本映画監督賞、脚本賞受賞。
    60
  • あこがれの空の下 教科書のない小学校の一年

    制作年: 2020
    子どもたちの自主性を尊重するユニークな教育で知られる東京・世田谷にある和光小学校の1年間を追ったドキュメンタリー。教科書を使わず、授業も学校生活も手作り。子どもたちの伸びゆく力を信じ、話し合いで進める中から、未来を変える希望が見えてくる。語りを「四月の永い夢」の高橋惠子が務める。音楽を手掛けたのは、同校OBで「空母いぶき」「Fukushima 50」などで知られる岩代太郎。
  • 四月の永い夢

    制作年: 2017
    「走れ、絶望に追いつかれない速さで」の中川龍太郎監督が心の再生を描き、第39回モスクワ国際映画祭2冠に輝いた人間ドラマ。元音楽教師の初海のもとに3年前に亡くなった恋人からの最後の手紙が届いたことから、彼女の中で止まっていた時間が動き始める。喪失感を抱えた初海を「かぐや姫の物語」の朝倉あきが、彼女に恋する青年・志熊を「世界は今日から君のもの」の三浦貴大が演じる。第39回モスクワ国際映画祭国際映画批評家連盟賞およびロシア映画批評家連盟特別表彰受賞作品。
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  • うさぎ追いし 山極勝三郎物語

    制作年: 2016
    世界初の人工癌の発生実験に成功した病理学者・山極勝三郎の生涯に迫る伝記ドラマ。江戸から明治への転換期。長野県上田市で生まれ育ち16歳で上京、町医者の娘・かね子と結婚した勝三郎は、東京帝国大学で学び、自ら結核を患いながらも癌研究に没頭してゆく。出演は「ギャラクシー街道」の遠藤憲一、「ゴジラ FINAL WARS」の水野真紀、「ストレイヤーズ・クロニクル」の豊原功補、「おとぎ話みたい」の岡部尚、「赤い玉、」の高橋惠子、「桜田門外ノ変」の北大路欣也。監督は「エクレール・お菓子放浪記」の近藤明男。2016年11月5日より長野県先行公開。
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