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  • 2019年9月1日~10月14日に開催されました、 「映画検定」4級合格者を発表いたします。 合格者の皆さま、おめでとうございます! また、合格者特典として、 希望された方は、Yahoo!映画、及びキネノートにて、 「4級合格者認定証バッチ」を付与しております。ご確認くださいませ。   【2019年度 映画検定4級合格者発表】 ※順不同、敬称略 おたつ  奥西悠吾  菊池真彦  roller  samara  みきぽん  まいちん  彩音  divine  カンガルーのマーチ  れじみ  テツヤ  マサト  百鬼丸  ポーグ  ヴァニ  杉山 妃奈子  一日小半  谷口亮介  ちゃまさま  ken  373shuhei  とみざわ  つよし  まこちゃん  アイアン  戸倉 直希  新井ひとみ  Fishborn  kt  askul  カナエール  ATS  tmp  チームオクヤマ  小池碧  boss  上田 泰成  えりか  拓己(T)  カステラちゃんだよ  堀口純平  鈴木 紀晴  うじ  八月一日  ララ  小池 和也  iwamot  くまさん  栃倉尚広  みきてい  谷口  スケアクロウ  モリちゃん  工藤秀人  ふじいわたる  HIROKA  あかり  り  BISEI  ぽえぽあ  藤澤優樹  シモツキ  内藤幸浩  おじいちャん  司  森田 博久  ひでお  tsubame737  村本高史  イレブン  Tuhatkauno  マチェーテ  つちやひとみ  ミント  はなのかくめいじ  む~さん  sota1229  WaM  ウツミ  かなぶん  かほ  STONEMAN  コメさん  ありちゃん  もりやん  sho1low  Keiya  Katsuya  k@z  正義  シライシタイチ  じんけし  ハジメ  中平 健太  山脇 渉  ブライトマン  マサト  マタタビミルク  小野寺達哉  えりた  いわのふみや  Dera  朝斗よる  中嶋友美  まもちゃん  torrent13  稲泉元己  河﨑一真  マヤさん  細川 直人  Kanzo  土佐桃香  大津 裕嵩  長田貴弘  nojio  えんざん  ひめの  マサ~キ~  皆川 雄郷  えりくそん  バッキー  イタル  KUMIKO  Masaya N  tetsu  ピロー  aiai  kasa  大野 眞  sakura222  芝博文  KaZui  きらさん  まさみ  ぐっ  しろかわつよし。  中田光政  石川美樹  前田 篤志  NikiYoko  にゃー  ChaiCooria  タイショー  misa  木南佑介  ぞく  佐藤樹々  きょうこ  イマケン  てつや  なぐ  バタオ  のnきち  小野慧音  8637  まじろ  asagi_cava  田中 実  チッチュちゃん  田中 稔也  岡 樹  H.S.T  くらちゃん  モグリット  Sunnysail  kappa1217  nico  MOTEKI  にし  重藤  さかい  千尋  山中 直人  内山 慎太朗  各務 嘉哲  SHIBUYA.A  こたに りえ  BATAO  naoking  木原 崇志  みほ  物部貴之  BIG D  のすけののすけ  大西駿介  りさこ  ニッポニアニッポン  ヒデ  andre  SOGO  はる  こやま  ゆりこ  タナカシモン  あや  ヨシダケンタロウ  しおん  kisenopo  柳沼久美子  横道藍  Kapipara  たぐち  katsuhiko  Yuna.  荒井智晴  ニワケン  ゴンちゃん  林 武仁  映画雑談家  vegas  tetra  松浦詩歩  尾崎美恵  永野 雄太  appare99  あす  チョコショコ  ゆう  新  tomoko  ゆか たはらり  阿部郁美  ろく  イヅツサトシ  かんな  たかはしきよと  MrASmithee  マイ  Jyuuu  マリオンコブラ  小津 正義  會田 昌弘  すさたか  junjun1114  みか みぢこ  トラジ  rie  みよひかん  hikarururu  Ogwssm  Megnag  北川叶未  Ryo K.  atsuki  まみ1009  orange  軽部裕之  カックニコルソン  キナコ  koma  若林 瞳  ika  いっくや  にょとう  koba84  shoepexe  すずた  河津拓哉  deenity  みきゃみ  今 隆雪  ミスタータイガース  Haruto jojia1059  アディ・プレイ  細谷 源太  CINEMANIA  川井和  木内たく  PGM21  ちんた  アグゥさん  sononaka  滝沢反転キック  細川 輝夫  ナスケ  ひろひろ  コン  Masao  YAS  はっぽ  alpha  榮田 悠子  ゆう  ジュピター  おがっち  太加志  Yoko komo  服部 由典  hjm  土橋 大典  高巣雄太  伊田憲史  石川朋孝  JUN  べーすべーす  柿原 千晴  清水 智之  movie  酒井 佑輔  Gigi  にこ2425  なでかた  原田聡明  前島理可  P  高浜 隆成  中里 哲也  totoro  ひじ  nachunee  ゆっこ  安河内直也  ちなみ  MIHO KIZU  こつみん  Yuki  BabarianZZ  もにか  あかね  プロゴルファー祈子  ippei  まなか  関西キネマ倶楽部  尾崎由洋  きょうぞ  okayuu  鈴木秀明  アニー  アツヒコ  だとこ  ひまたママ  コウヘイ  高橋和紀  けいぶん  ぽんぽんすけ  surf  kugimin  はま  さこ川和之  さとぽんぬ  ゆり  ブースカ  県人会  元山 聡一郎  AglioOlio  さわこ  azuco  りーちゃん  takataka  こはま  たかひろきた  Nobenomori  やまもとこーじ  中西 菜  くわちゃん  Miyo K MARUO  藤森由香  cinemaport  ひよこ  みのや  とみいじょん  なこ  いとうあつや  はるしおん  naganaga  まぁ  Yack  しおり  おてもとおてふみ  katsu17412  yumikoba  たかみな  楓  イエスマン  スズステイサム  眞田俊孝  おつる  辻 悠介  よし  Shinjik  HIROMARU  荒木 哲郎  よこちみゆき  ゆーずぃー  jujujunki  207799  ひばり野茜  ておむン  チャッピー  ゆづき  ぴ  ちい  kimuo  ももきんぐ  S.H  渡辺綿飴  SHOGO  かずおみ  ともや  ユースケ  haru.  nori  K.Kawai  チャンドラー  もっちゃん   合格者の皆様、おめでとうございます! 映画検定公式HP:https://wp.kinejun.com/eigakentei/
  • 堀春菜のデビュー作「ガンバレとかうるせぇ」公開 映画「ガンバレとかうるせぇ」 自主映画界の女王、制服の天使とささやかれた女優、堀春菜。現在は二十歳を過ぎて大人の女優となったが、16歳のときに主演した幻のデビュー作「ガンバレとかうるせぇ」が撮影から6年の年月を経て、ようやく劇場公開される。 佐藤快磨(さとう・たくま)監督の長篇初監督作で、PFFアワード2014で観客賞を受賞。その後、かの有名な釜山国際映画祭のプログラマー、キム・ジソクに選ばれ、「ニューカレンツ」部門で海外初上映を果たした。このとき、堀春菜は佐藤監督とともにレッドカーペットを歩いた。運命的な出会いから話を聞いた。 (取材・文=編集部)   すべては、この映画から始まっている ――堀春菜さんの映画は、第10回田辺・弁慶映画祭でグランプリをとった「空(カラ)の味」(16年/塚田万理奈監督)や、大阪アジアン映画祭のコンペに入った「浜辺のゲーム」(19年/夏都愛未監督)は拝見していて、すごく上手いなあと思っていましたが、デビュー作「ガンバレとかうるせぇ」、略して「ガンうる」は劇場公開されていないので、観ていなかったんです。ようやくという感じですが、撮影は6年前ですよね。 堀 はい、そうなんです。中学2年のとき、事務所に所属していて、その頃に佐藤快磨監督と知り合いました。でも私は1年ほどで演技は一旦お休みして、写真表現や国際情勢などを学ぶ総合高校で学生生活をおくっていました。高校2年のときに、たまたまツイッターを始めたら、翌日、佐藤監督から「探していました。1週間後、秋田に来れますか?」と連絡があって。 ――1週間前にヒロインが事情により出られなくなったそうですが、佐藤監督はその前から堀さんをずっと探していたそうですね。「ガンうる」は監督の高校時代の経験をもとに書かれたオリジナル脚本で、堀さんはサッカー部のマネージャー、菜津というヒロインの役です。脚本が気に入ったんですか? 堀 いえ、直観です。私は割と直観で動いてしまう人間で、たぶん大丈夫だと思ったんでしょうね。でも、母が「待て、待て」と(笑)。それで佐藤監督と三者面談したんですが、監督は「怪しい者ではありません」と一所懸命に言ってくれたんです。 ――映画の脚本を読むのは久しぶりだったのではないですか。リハーサルはあったんですか。 堀 東京で最初に顔合わせとリハーサルがありました。でも、私以外のみんなはすでに空気が出来上がっていたので……気まずいですよね(笑)。でも、そういう運のめぐりあわせってあるのかなって。 ――映画の神様が微笑むというミラクルですね。安藤サクラさんも、デビュー作「風の外側」(07年/奥田瑛二監督)の主演に決まったのは撮影の4日前でした。 堀 私の場合は、脚本の読み方も知らなかったので不安でした。小説のようにしか読むことができなくて、役をどういう風にくみ取るのか、わからなかったんです。当時は16歳でしたけど、共演した細川岳さんや布袋涼太さんが結構上だったので、同級生に見えるのかとか、いろいろと考えました。 ――サッカー部のキャプテン役の豪を演じた細川岳さんと、エースの健吾を演じた布袋涼太さんですね。秋田で当日スカウトしたのかというくらい、サッカー少年でしたよ(笑)。菜津と豪は幼馴染という設定でしたね。 堀 秋田では一軒家にみんなで合宿して撮影していたので、それが良かったですね。 ――サッカーはもともと好きだったんですか。 堀 はい、高校サッカーを友だちとよく見に行ってましたし、運動全般が好きなんです。3歳から小学5年生まではクラシックバレエを、市民ミュージカルに出たのを機に、高校まではジャズダンスもしていました。 私は私のデビュー作に嫉妬する 映画「ガンバレとかうるせぇ」 「ガンバレとかうるせぇ」は受験を控えた高校3年生たちが、夏の大会で負けてしまって、サッカー部を続けるのか辞めるのかという「選択」をする物語だ。自責の念で意固地になっているキャプテン、大学の進路も考えたいエース、チームを応援してきたマネージャー。辞めれば楽だが、辞められない。個人と組織、夢と現実、意地と諦念……高校生が抱えるものはサラリーマンが抱えるものと比べて、小さくも大きくもない。 ――佐藤監督は堀さんの足を高くかったのかもしれない。これは運動している足だなというショットが多いですね。 堀 部活で陸上もしていましたからね(笑)。実際に高校のグラウンドで撮影ができたから、なにも準備せず現場に行けばいいという感じでしたね。制服もユニフォームも全部準備してあるし。あ、でも、プロデューサーの方が、菜津が聞いている曲というのを4,5曲用意してくれたんです。それをずっと聞いているのが、役づくりといえば役作りだったのかもしれません。覚えているのは「幸福な亡骸」というTHE BACK HORNの曲です。 ――夏の終わりの歌ですね。THE BACK HORNは、「アカルイミライ」(02年/黒沢清監督)で最後に流れる「未来」という曲がありますが、青春の終わりを醸し出す歌詞がいいですよね。そして最後は駆け出したくなる(笑)。佐藤監督の演出で印象的なことはありますか。 堀 まず、リハーサルのときに「俺はこの映画にかけてるから」と、何度も何度も言っては去っていくんです(笑)。それから、撮影3日目だったと思いますが、部室で菜津が告白されるシーンは、「もう1回、もう1回」と言われて、何度もテイクを重ねました。それが悔しくて、瞬間的にスイッチが入って、その後の撮影は菜津モードで突っ走っていきました。 ――誰が告白するのかは観てのお楽しみですが、男の子の足と菜津の手のカットで重大な事件が起こると分かります。加藤大志さんの撮影が光るシーンですね。その後は、菜津モードが全開になって監督に提案したところもあるとか。 堀 グラウンドでキャプテンの豪をビンタするシーンがあって。脚本にはその後部室に戻ると書いてあったんですが、「監督、ここは戻れない」と。そしたら、思うようにやってよいと言われて、乱闘するシーンになりました。 ――あのシーンは、予想外でした。対等にやり合っていて本当に面白かったです。 堀 一番鮮明に記憶にあるのは、スタジアムまで走っていくシーンです。どうしていいかわからなかった。電話で監督に「できないです」と言ったら、監督が「俺も豪もスタッフも、みんなで待ってるから、走ってきて」と。無我夢中で走りました。いま思えば、訳もわからず、がむしゃらだった。あの時のそのままの自分が映っている。あんなふうにはもうできないなって、嫉妬してしまいますね。   佐藤快磨監督の「歩けない僕らは」 「ガンバレとかうるせぇ」はすべての始まりだった。映画を観た若い映画監督から次々と声がかかるようになる。摂食障害の女性を演じた「空(カラ)の味」は塚田万理奈監督から長い手紙をもらい、監督の自伝的な作品を作り上げた。 ――今年6月に主演された舞台『プラヌラ』を見てとても驚いたんですが、日常のなにげない会話で、声を張っているわけではないのに、堀さんの声がとても通る。声と体を鍛えているし、演技レッスンでは脚本の読解を学んだそうですね。 堀 成瀬巳喜男監督の「山の音」(54年)や、小津安二郎監督の「東京物語」(53年)などは読みました。レッスンがきっかけで、相米慎二監督の「魚影の群れ」(83年)が大好きになりました。相米監督の助監督だった冨樫森監督から、あの夏目雅子さんが船の帰りを待つシーンは、実際に一夜をかけて撮影したんだと聞いたんです。そうやって時間を使えるなんて幸せな現場ですよね。 ――そうして演技のレッスンを重ねた4年後の冬、佐藤快磨監督の新作「歩けない僕らは」に再び参加されますが、いかがでしたか。 堀 「ガンうる」のときに呼ばれていた「春ちゃん」って、「ガンうる」から続投したスタッフさんに呼ばれて、戻ってきたなという安心感がありました。でも、芝居してひどかったら、この数年間、何をやってたんだと思われるなって、ちょっとプレッシャーでしたよ。 ――新人の理学療法士が患者さんとの接し方に悩み、自分の道を「選択」する映画ですが、ご覧になっていかがでしたか。 堀 佐藤監督の映画だなと思いました。みんな不器用で、がむしゃらに生きている。それから、人と人とのヒリッとしたすれ違いがあって悩んでいる。私が演じた幸子は、宇野愛海さんが演じた遥が同期だったから、ああいう「選択」をしたんだと思います。遥は間違ったことだと思ったら、意見を言ってぶつかっていける女の子。だから、傍で見ていて、幸子はいろいろと悔しかったりしたのかなって。 堀春菜と宇野愛海「歩けない僕らは」より ©映画『歩けない僕らは』   ――佐藤監督は「ガンバレとかうるせぇ」でも「歩けない僕らは」でも年齢や国籍を超えた究極のテーマを描かれていますね。生きている以上は誰にだって背負うものがある。サッカーだったり、患者さんだったり、落合モトキさんが演じた柘植が抱える「何のために歩くのか」という問いであったり。その問題は決して並列ではないけれども、順位があったり大小があるものでもない。ひとりひとりの葛藤と選択を描いてドラマをつくっています。 堀 監督は「悔し涙を流すまでの距離を描いた」と言っていました。誰かキャストひとりを掬いあげるのではなく、ただそれぞれが抱えるものを、距離感をもって描いて終わるんです。映画っていう使命を与えて。 ――37分という短篇ですが、佐藤監督は才能があるなあと思いました。脚本がとてもいい。 堀 お仕事を紹介するだけの映画ではないですよね。 ――堀さんが抱えるものは何ですか。女優として、という変な気負いはなさそうです。 堀 女優というより、まず人間としてきちんと立っていたいなと思いますね。生きているなかで映画に関わっているという感じでしょうか。学生の頃から、カンボジア史に興味をもったり、日韓交流をしていました。いろいろな世界を知りたいと思っているんです。 ――昨年は東京国際映画祭でプレミア上映された「21世紀の女の子」に出演されて話題となりましたが、新時代を仲間たちと担っているという意識は? 堀 同世代の監督や女性監督から声がかかるのはうれしいです。「ぼくらのさいご」(15年)の石橋夕帆さん、「感光以前」(16年)の竹内里紗さん、「過ぎて行け、延滞10代」(18年)の松本花奈さんなど女性監督と組むことが多いです。 ――今年は、日韓台合作のパフォーマンスに挑戦されました。台湾で1カ月過ごしてきた。アジアへの感度も気になるところです。 堀 2018年に出演した日韓合作映画「大観覧車」は12月に日本で公開されます。監督のペク・ジェホ監督とは「ガンうる」が釜山で上映されたときに知り合ったんですよ。その作品もぜひ見ていただきたいですね。   ほり・はるな 1997年生まれ、神奈川県出身。2014年「ガンバレとかうるせぇ」で映画デビュー。主な出演映画は「空(カラ)の味」「セブンティーン、北杜 夏」「カランコエの花」(17)「大観覧車」「万引き家族」(18)「21世紀の女の子」「浜辺のゲーム」(19)など。日韓台の俳優がパフォーマンスを繰り広げた舞台『EATI 2019 in Taipei』に出演するなど、海外を視野に入れて活動している。 公式HP http://eiga24ku.jp/projects/hori-haruna.html 映画「ガンバレとかうるせぇ」 監督・脚本・編集/佐藤快磨 撮影/加藤大志 出演/堀春菜、細川岳、布袋涼太 11月23日(土)より新宿K’s cinemaほか全国にて 映画「歩けない僕らは」 監督・脚本・編集/佐藤快磨 撮影/加藤大志 出演/宇野愛海、落合モトキ、堀春菜 11月23日(土)より新宿K’s cinemaほか全国にて   映画「大観覧車」 監督/ベク・ジェホ、イ・フイソプ 出演/堀春菜、カンドゥ、ジ・デハン、辻凪子 12月14日(土)から新宿K’s cinemaほか全国にて  
  • 音楽が禁じられた世界で、音に魅了された若者たちの運命を描く青春SFロードムービー 映画「サラバ静寂」   映画が作れない苦悩の日々と、扉を開けた吉村界人との出会い ―狂気の警察官を盤面に映したCDは、彼の手で真っ二つに割られる。その鋭利な切り口は、所持者=犯罪者の喉元を切り裂くだろう―。音楽の禁じられた世界を描く「サラバ静寂」を宇賀那健一監督が撮った理由は、3つあった。 宇賀那:「1つ目は僕自身、『黒い暴動』(16)以前に撮れない時期が長く続き、それでも会社勤めをしながら脚本を書き続けまして……。僕にとって映画は欠かせないので、そういう思いを映画にしたかった。ただ題材が〈映画〉だと近すぎるので、〈音楽〉に変えました。2つ目はその頃に風営法改正がクラブなどに打撃を与えまして、音楽業界の今後について映画に託してみたいと思ったこと。3つ目は吉村界人との出会いです」 ―吉村演じるミズトは、ネジ工場で単調な労働に従事する日々の中、偶然にも音源や楽器など音楽資材で埋まった廃屋を見つけ、通い詰めるうちに音楽に魅せられてゆく。 宇賀那:「吉村の良さは、自分が感じた通りに突っ走れることですね。ドラマの俳優は、悪い意味ではないですが、テクニックに長けていて感情の沸点などをコントロールできてしまう。それとは対照的な吉村の直感的な良さを活かすため、あまりカットを割らず、テイクも重ねていません。あとこれは僕のスタイルですが、事前の本読みもしていません。こうやればいいんでしょ、と前もって固まるのが嫌なので。そうすると現場で俳優の負荷は高まりますが、それは俳優キャリアもある僕が、俳優を信頼しているからこそです」       若葉竜也の卓越した演技、SUMIREという期待の新星 ―ミズトと行動を共にするのは、同僚のトキオ。自ら音楽を紡いでゆくが、その運命に残酷な終止符が打たれる。若葉竜也が演じる。 宇賀那:「若葉はやはり上手いですね。子役出身でキャリアは長く、映画の知識も豊富で、物事を俯瞰して見ることができる。吉村とは違うタイプの良さを持った俳優だと思います。トキオは愛されキャラだったので、死ぬシーンを撮る前夜、スタッフたちに『トキオを殺さないでくれ』って言われました。まだ見ていたいからって」 ―さらに加わるのが、音楽所持罪(遊楽法)で父を殺されたヒカリ。演じるモデルのSUMIREは、これが映画初出演。 宇賀那:「ビジュアルイメージと裏腹に、彼女はすごく頑張り屋なんです。部活の後輩みたいなキャラで、何回でもやりますというタイプ。技術ではない部分で惹きつける魅力があって、この時期の彼女だからこそできたことは多いはずです」       斎藤工という頼もしい刺激的存在 ―秘密の音楽イベント「サノバノイズ」を目指して彷徨するミズトとヒカリ。だが前述した狂気の警察官・杉村が、音楽への憎しみを募らせていよいよ迫る。斎藤工の怪演が炸裂する。 宇賀那:「工さんのアドリブはかなりありますね。小道具からセリフ、動き方に至るまで、数々の提案をしてくれました。群馬で撮影しましたが、こちらで用意した衣装や小道具とは別に、トランク2個持ってきてくれて。それ以外にも気づくとコンビニとかで買っているんです。こういうのどうですか、と色々投げていただいたおかげで、僕の中でも作品の目指すところが明確化され、刺激的でした」 ―ちなみに却下された案は……。 宇賀那:「工さんは銀髪にしたがり、物語的に不具合が生じるのでお断りしたんです。それでも染料を現場に持ってきて『どうですか?』って。再びごめんなさいと言ったら、一応メイクさんに預けておきますねって(笑)。よほど染めたかったんですね」       4つの構成で音を紡いだ物語、または3+1の必然的構成 ―ようやく辿り着いたライブハウスは、音楽の熱で沸き返っていた。 宇賀那:「まず扉を開けた時の高揚感を出したくて、ステージ序盤にハードコアバンドのASSFORTを持ってきました。続いてフリースタイルラッパーのGOMESSが登場し、音楽とは何かということを叫ぶ。その次には、メジャーなジャンルであるロックやEDM系とは違う、もっと古典的かつ日本的な音楽として、和太鼓バンドの切腹ピストルズが演奏します。音楽の多様性とミュージシャンならではの説得力が出せました」 ―音楽に関わらず、全篇で音にこだわった。4つの構成で音を紡ぐ。 宇賀那:「1幕目はトキオが殺されるところまでで、ネジ工場の音。2幕目はミズトとヒカリの彷徨シーンで、あえて電気ノイズを入れることで、街の落ち着かない雰囲気を作っています。3幕目は森のシーンで、雑音を一切消して動物の鳴き声を持ち上げました。4幕目はライブハウスで、音楽が一種のアンビエントであるような設計です」 ―思えば「黒い暴動」は黒ギャルのパラパラ映画だったから、今回の「サラバ静寂」と合わせて2つの音楽映画。そして「サラバ静寂」を撮った3つの理由。音をめぐる4つの構成。数字で変奏してゆくならば、最後にもう1つ。 宇賀那:「僕は題材に応じてやり方を変えるので決まった作風はありませんが、『黒い暴動』に出演した柳英里紗から『3人の構成が好きだよね』と言われまして。もっと言えば3+1ですね。今回だと吉村と若葉とSUMIREがいて、工さんがいて。確かに次回以降も同様の構成が多く、僕はそういうのが好きなのかも……」     宇賀那健一 うがな けんいち:1984年生まれ、神奈川県出身。青山学院大学経営学部経営学科卒業。2016年に、ガングロギャルの青春を切り取った『黒い暴動』で長篇映画を初監督する。次作『魔法少年☆ワイルドバージン』がこの12月6日公開、NYLON JAPAN15周年企画映画『転がるビー玉』が2020年2月7日に公開を控えている。 文=広岡歩/制作:キネマ旬報社(キネマ旬報12月上旬号より転載)     「サラバ静寂」 ●11月22日発売 ●DVD 3800円+税 ●監督・企画・脚本/宇賀那健一 ●出演/吉村界人、SUMIRE、若葉竜也、森本のぶ、仲野茂、大貫憲章(特別出演)、灰野敬二、斎藤工 ●2018年・日本・カラー・16:9LB(スコープサイズ)・音声・日本語(ドルビーデジタル5.1chサラウンド)・本篇85分 ●音声・映像特典/オーディオ・コメンタリー(吉村界人、斎藤工、宇賀那健一監督)/メイキング(48分)(『少女邂逅』の枝優花が監督)/予告篇集 ●発売・販売元/ギャガ (C) 「サラバ静寂」製作委員会
  •     2019年、絶対ハマる韓国ドラマはコレ! 『キム秘書はいったい、なぜ?』   観る者を胸キュンさせるラブコメから、気付くとイッキ観しているシリアスなドラマまで、一度見始めると、とことんハマってしまうのが韓国テレビドラマの面白さ。今年も、韓流ドラマファンを夢中にさせる話題作がたくさん発売されました。 そんな多彩なタイトルの中から、DVDパッケージメーカーなど、“韓国ドラマ通”である映像業界のプロフェッショナルたちが選出した、“2019年、絶対ハマる韓国ドラマ5作品”を、見どころポイントも合わせてご紹介します。 (タイトルは50音順です) 1.韓国ドラマ『キム秘書はいったい、なぜ?』 完璧な御曹司でもかなわない、世界でたった一人のひと。      『サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~』のパク・ソジュンと『七日の王妃』のパク・ミニョンの美男美女共演によるラブコメディです。  9年間連れ添った秘書からの突然の“退職宣言”に動揺を隠しきれず、それを機に自分の本当の想いに気づいていくパク・ソジュンの感情の起伏が見事です(笑)。    超ナルシストのツンデレ御曹司と敏腕秘書が、甘い恋の駆け引きを繰り広げる様に釘付けになる1本。   【韓国ドラマ『キム秘書はいったい、なぜ?』のここがみどころ!】 「パク・ソジュン演じる完璧な御曹司が、長年連れ添った秘書からの突然の“お暇宣言”によって、脆くも可愛いツンデレキャラになる様が最高。『9年も俺のそばにいて惚れなかったら人間じゃない』など、名言にも注目。」   (C)STUDIO DRAGON CORPORATION (発売/販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社)     2.韓国ドラマ『ここに来て抱きしめて』 殺人事件で引き裂かれたふたりの壮絶な恋    チャン・ギヨンが初主演を務め、連続殺人犯の父を持つ息子という難しい役どころを演じた純愛ラブストーリー。  希代のサイコパスを父に持つ警察官と、両親を殺害された被疑者の娘。奇しくも初恋同士である1組の男女が、ある事件をきっかけに再会し、互いの痛みと傷を抱いていく切ない様が描かれていきます。  ロマンスとスリラーが融合した緊張の展開と、壮絶な状況下のふたりの純愛が痛いほど染みてきます。   【韓国ドラマ「ここに来て抱きしめて」のここがみどころ!】 「殺人犯の息子と両親を殺された娘の恋愛…と聞くとヘビーに聞こえますが、むしろ、懸命に生きる2人と周囲の人々の優しさに心癒される名作。主演を務めたチャン・ギヨンくんは超実力派で、彼の眼差しに泣きます。」   (C)2018MBC (発売/販売元:TIMO Japan、エスピーオー/エスピーオー)     3.韓国ドラマ『100日の郎君様』 EXOのD.O.がツンデレ世子に扮する胸キュン時代劇       俳優としても大活躍のEXOのD.O.が初の時代劇に挑戦したラブコメディ。     聡明な世子(セジャ:王位継承者)が朝廷の陰謀によって記憶を亡くし、別人として生きていたかつての初恋の相手と結婚。     お互いに相手の正体に気づかぬまま庶民の夫婦として暮らし始めるというミラクル(!)な展開と、数々の因縁的事件が起こる中、懸命にふたりで過ごした“奇跡の100日間”にときめきと涙が溢れる!   【韓国ドラマ『100日の郎君様』のここがみどころ!】 「D.O.(EXO)の“クールな王族”と“庶民”、2つの顔が楽しめる作品です! 韓国ドラマ好きにもたまらない、運命の恋の行方にも注目! 今見るべき待望の胸キュンラブコメ時代劇となっております。」   (C)STUDIO DRAGON CORPORATION (発行/販売元:NHKエンタープライズ/エイベックス・ピクチャーズ)       4.韓国ドラマ『マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~』 現代人が求めていた癒やしがここにある。        イ・ソンギュンとIU共演による心温まるヒューマンドラマです。       過酷な人生を歩んできたひとりの女性と、人生の重さに耐えながら生きる男性という苦境に立たされた男女が出会い、互いの人生を癒やしていく過程を描いています。      他人だった相手の優しさに徐々に気づいていく様には涙し、繋がりが希薄になった現代社会だからこそ、温かな人々の絆に思わずじんわりすること間違いなしです。    【韓国ドラマ『マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~』のここがみどころ!】 「人との繋がり、温かさを感じさせてくれる作品。厳しい現実を孤独に生きる主人公が人の優しさに触れ、少しずつ心を開いていく姿は涙無しでは観られません…。」 「名シーンしかない最高ドラマですが、とっておきに大好きなシーンはIU演じるジアンがおばあちゃんにイ・ソンギュン演じるドンフンのことを手話で話すシーン。こんなに泣く!? と自分でも驚くほどの嗚咽からの号泣。」   (C)STUDIO DRAGON CORPORATION (発売/販売元:コンテンツセブン/TCエンタテインメント)   5.韓国ドラマ『私は道で芸能人を拾った』 スターを拾ってしまったヒロインの波乱の日常♥     『じれったいロマンス』のソンフン主演による驚き満載のツンデレラブコメディです。  会社を突然解雇されてしまった女性が、偶然にも道で韓流トップスターを拾ったことから、次々とハプニングに巻き込まれていく様がコミカルな笑いと感動を届けてくれます。  韓国でも話題になった斬新なストーリー構成が新鮮で、人気俳優ソンフンの、茶目っ気たっぷりなのに“恋はおあずけ”なツンデレ感に、女性たちはもうメロメロ!   【韓国ドラマ『私は道で芸能人を拾った』のここがみどころ!】 「ヒロインが偶然道でトップスターを拾ったことから始まる本作。トップスターとの同居生活はハプニングの連続! どこか抜けているトップスターを演じるソンフンのコミカルな演技に笑えること間違いなし! 」   (C)2018 SK Broadband. All rights reserved. (発売/販売元:TIMO Japan、エスピーオー/エスピーオー)   あなたが観たくなったのはどの作品でしたか? 今年の韓ドラの話題に乗り遅れることのないよう、見逃しタイトルはぜひチェックしてみてください。 またこれらの作品は、全国のセル店、レンタル店のスタッフが“今年一番ユーザーにお薦めしたい作品”を選ぶアウォード、「ビデオ屋さん大賞 2019」の候補作品でもあります。2019年、「アジアTVドラマ部門」に輝くのはどの作品になるのでしょうか。 今年の発表は2020年2月上旬を予定しています。昨年の入賞作品はこちらから。 ※本企画は月間「ビデオ・インサイダー・ジャパン12月号」掲載の「ビデオ屋さん大賞 2019【前哨戦】」のアンケート結果をまとめたものです。 制作:キネマ旬報社    
  • 原一男のアメリカ凸凹疾走ツアー【連載1】 2019年6月、北米4カ所にて、ドキュメンタリー監督・原一男の大々的なレトロスペクティブが開催された。MoMAなど由緒ある団体が、単独の日本人監督の回顧上映を催すのはひじょうに希なことであり、原監督の世界的評価を裏付けるものといえよう。上映に合わせ現地へと赴いた原監督。果たして、日本が誇るドキュメンタリーの“鬼才”はアメリカといかに出逢ったのか? 監督自らが綴る旅の記録、短期集中連載第1回「マイケル・ムーアとの約束」!! プロローグ〜全作品のDCP化 今回のアメリカ&カナダツアーは、MoMA(ニューヨーク近代美術館)、トロント大学、ロバート・フラハティ・セミナー、そしてハーバード大学フィルム・アーカイブの4カ所で上映に合わせたもの。それぞれ歴史ある団体だが、私と相方のプロデューサー、小林佐智子の飛行機代、移動費・宿泊代など経費を捻出するのは、彼らも大変だっただろうと想像に難くない。 だが私たちも、相当に大変だったのだ。上映のフォーマットは、ちょっと前まではフィルムだった。だが現在は、映画祭のほとんどが、DCPというフォーマットに全世界的に変わりつつある。主催者側から、DCPで私たちの作品を送ってほしい、という要請を受けてからが大変だった。私たちはDCPなるフォーマットを作ってなかったのだ。今回は、一挙に全作品を上映することになり、ということは全作品をDCP化せざるを得なくなったわけだ。この費用がばかにならない。1本の単価が高い上に全作品だから、貧乏プロダクションには、とてつもなく高額になる。プロデューサーの小林と、現在、我が疾走プロダクションの業務を支えている島野千尋女史の悲壮感漂う頑張りで、奇跡的に、DCPバージョンを作り上げた。ホントに大変だったのだ。出発の当日まで、我々のチームは、ネガフィルムからデジタルデータを作成し、DCPを作成し、それぞれの主催者に発送作業をするなど、不眠不休での作業が続いた。 さて、なんとか間に合ってホッと一息ついたところで、私と小林の2人だけでは移動など肉体的に厳しい面がある(註1)、ということで島野女史も加えて3人のチームとなった。我々のスケジュールはもちろん、上映作品・講演企画、我々の移動・宿泊の経費などの交渉は難事業だっただろうと思うが、我々のチームに参加してくれているNY在住のベテランプロデューサーの黒岩久美さんが一手に引き受けてくれて、今回のツアーが実現したのだ。が、そのことを逆に言えば、私に対する期待度が大きいという証左でもある。私は相当に緊張してアメリカ大陸へと旅立った。 註1……原監督の長年のパートナーである小林佐智子さんは、「ニッポン国VS泉南石綿村」の完成直前に骨折。その影響もあり、今回の旅では車椅子を使用する必要があった。 “鬼才”MoMAに降り立つ! 私たち疾走プロの全作品のレトロスペクティブを組んでくれたMoMA が用意してくれたホテルは、MoMA から1ブロック北の「Warwick」ホテル。後で聞いたのだが、私が泊まった部屋は、かの有名なハリウッドの大スター、ケイリー・グラントが泊まった部屋なのだそうな。へえ、と驚いたのなんの。さらに、ビートルズやローリング・ストーンズも泊まった、という名門ホテルだったのだ。 今回のMoMA は、疾走プロのドキュメンタリー5作品のみならず、日本では大コケにこけて、批評も全く無視された劇映画「またの日の知華」(04)も含んでのレトロスペクティブである(会期:6月6日~14日)。MoMA 側は、私が登場する初日に、なんとマイケル・ムーア監督をトークゲストとして呼んでくれていた。ご存知マイケル・ムーア監督は私など足元にも及ばない、世界的な人気監督である。そのおかげだろう、満員の観客で幕を開けたのだった。 マイケル・ムーア監督とは、実は2007年4月、ミシガン大学の主催で対談をしたことがある。私は彼と、アメリカのドキュメンタリーと日本のドキュメンタリーの違いについて存分に語り合いたい、と願っていた。が彼の新作「シッコ SiCKO」(07)が完成したばかりということもあって、2時間の対談時間の大半は、その新作についての話題で占められてしまった。私がしつこく、彼自身の、作り手としての内面の葛藤を聞きたくて、話の流れを変えようとするのだが、一貫して彼は新作の話に終始した。私の意図が完璧に裏切られたという悔しい記憶が残っていて、今回もまた彼の自慢話になると困るなあ、と不安だった。そんな危惧があったが杞憂だった。 マイケル・ムーア監督いわく、ワシントンで「ロジャー&ミー」(89)の編集をしているとき、気晴らしに散歩に出た時に街の小さな映画館で、タイトルも聞いたことがないドキュメンタリーが上映されていて、ふと入って観たのが「ゆきゆきて、神軍」(87)だったのだそうだ。「ロジャー&ミー」のラストでムーアは、当時のゼネラルモーターズの会長であるロジャー・スミスにアポなし突撃インタビューをしているが、無謀過ぎるかと彼は不安だった。が「神軍」では、主人公・奥崎謙三は、夜討ち朝駆け、相手が真相を言わない時には、殴る蹴るの暴力沙汰。監禁して脅迫するなど屁の河童、そんな奥崎にびっくり仰天した。自分のやり方など可愛いものだと安堵した、と、その時の思い出を率直に披露してくれた。 実は「神軍」がアメリカで初上映されたのが1988年の「ニューディレクターズ・ニューフィルムズ」という映画祭で、まさに、ここMoMA が、上映した場所だった。その時、上映後に私は人生の中でたった一回だけのスタンディングオベーションを受けた。このエピソードを今回、観客に披露すると、それを受けて、マイケル・ムーアが「今日の上映はスタンディングオベーションがなくて残念でしたか?」といったものだから、観客たちが全員立ち上がって、なんと、スタンディングオベーションが始まったのだ。私は恥ずかしいやら照れるやらで、なんと形容していいのかわからないが、マイケル・ムーアの友情に心から感謝したのだった。 友よ、また会おう ケン・ジェイコブス(左)とマイケル・ムーアとともに マイケル・ムーア監督とは、過去にいくつか因縁話がある。「キャピタリズム~マネーは踊る」(09)が日本で公開されることになり、そのキャンペーンで彼が日本にやってきたとき、東京での試写会に彼に会いに行った。再会を喜んだあと、彼は、私が大学教授を務める大阪芸術大学に行ってみたい、と言い出した。なぜ私の勤務先に彼が興味を持ったのかは理解できないが「どうしても、見てみたい」というのでOKした。そして彼はホントに、大阪芸大にやってきたのだ。映像学科の大森一樹学科長と相談して、せっかくだから授業を一コマ、やってくれるかい? と頼んだら、気さくにOKと言ってくれた。用意した教室は、いつもの私の授業とは比較にならないくらい多くの学生で溢れかえって、盛り上がった。大学側は、一銭の報酬も払わずに大物監督がゲストに来てくれたのだから、大喜びだった。 それからもう一つ、ミシガン大学での対談の後、マイケル・ムーアが自ら出資して映画祭を運営している、そこに私を招待するから来るかい、と聞いてきたのだ。私は、もちろん二つ返事でOKした。で日程が迫ってきて、映画祭のスタッフから私の事務所に電話がかかってきたようなのだ。だがそのとき、事務所の固定電話が故障中。結局、私と連絡がつかないということで、その話が流れてしまった。私はムーアにその時の事情を説明して、「私は、あなたとドキュメンタリーの話をきっちりとやりたい。だからあなたの映画祭に私を呼んでほしい」と申し入れた。「わかった。この場で、あなたを招待することを決定する」という答え。今回のツアーは私にとってとても大きな収穫があったツアーだが、このマイケル・ムーアとの対談という企画が決まったことが、最初の収穫になったのだ。 日本から遠く離れて 左から原監督、小林佐智子PD。イベントに駆けつけてくれた想田和弘夫妻とともに MoMA では、他にも嬉しいことがあった。アメリカ実験映画界の巨匠ケン・ジェイコブス監督(註2)が夫妻できてくれたことだ。彼との会話で最も印象に残っていることは、「知華」のラストで知華が殺されるのが、悲痛だった、と言ったことだ。「なぜ、知華は殺されなければならないのか?」と私に聞いてきた。「知華」は小林佐智子のオリジナルシナリオだから小林に「あなたが答えて」と振った。小林は「元々は、体育の女教師が次々と男を変えていって転落して、最後は男に殺されたという週刊誌の小さな記事を見つけて、それをモデルに書いた。なぜ殺されたのか、と私もその謎を解こうとしてシナリオを書いたのだ」と説明。その場に、私と同じくらいの年齢の男性がいて、私は「知華」は大好きな映画だ、と言ってくれて、しばし「知華」を巡っての論争の場になった。「知華」は、日本ではほとんど無視されたが、こうしてNYで、熱く語ってもらえるなんて、なんて幸せなことだろうか。 もう一人、再会できて嬉しかった作家がいる。「さようならCP」(72)をまだ観てなかったので、と足を運んでくれた津野敬子監督(註3)。私はNYに来るたびにこの人を訪ねる。いつも、大きな刺激を受けるからである。今回も上映後の短い時間だったが、彼女の近況を聞いた。津野さんは、若い頃、NYに来て、ダウンタウンに住みつき、自分の作品を作り始め、評価を受けてきたが、この人の凄いところは、自分の作品づくりのみならず、NYで有色人種として差別を受けてきた子供たち、貧困ゆえに真っ当に教育を受けていない子供たちを集めて映像教育を実施していることだ。チャイナタウンの一角に、古くなった消防署のビルを借りて、そのビルを少しずつ改造しながら、教室を作り、撮影機材、編集機材を買って、子供たちに映像作りを教える。いやそれだけではない。人間教育を続けているのだ。前回(昨年)訪ねたときに、映画館を作りたいんですよ、と語っていた。消防署だった建物だから、空き空間はまだまだある。だから様々なところから助成金をもらいながら、ホントに粘り強く活動を続け、とうとう映画館を持てるところまで辿り着いたのだという。聞いてるだけで胸が熱くなる。私だって「CINEMA塾」(註4)を計20年近く活動をしてきているから、自分たちの映画館を持ちたい、という夢はよく分かる。津野さんは、映画屋なら多くの人が持つ、その夢を叶えてしまった。それも、アメリカ社会の中で、差別と貧困の中で生き、人として誇りを持ってほしいと願っている、その子供たちのために、である。 【第2回に続く】   註2……アメリカ実験映画の代表的作家のひとり。「トム、トム、笛吹きの子」(69)など、映画の構造そのものをコンセプトとする作品で知られる。 註3……ビデオジャーナリスト。1972年に夫のジョン・アルバートとともにNYに設立したDCTVは、アメリカで最も歴史ある市民メディアセンターとして知られている。 註4……1990年代後半に原一男が立ち上げた、新しい時代の映画人を育成するための私塾。映画製作のほか、公開セミナーなどを多数実施している。 出展:『キネマ旬報』2019年9月上旬号より  制作:キネマ旬報社 【筆者プロフィール】 原一男(はら・かずお) 映画監督。疾走プロダクション代表。1945年、山口県生まれ。 「ゆきゆきて、神軍」(87)、「全身小説家」(94)等で知られる日本屈指のドキュメンタリスト。 新作「れいわ一揆」が待機中。

今日は映画何の日?

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