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大海原を子供たちと団地旅する、冒険ファンタジー!「雨を告げる漂流団地」
2023年9月20日若干29歳で「ペンギン・ハイウェイ」(2018)を作り上げた、スタジオコロリドのアニメーション監督・石田祐康による新作「雨を告げる漂流団地」のBlu-rayとDVDが、9月20日に発売される(レンタルDVDも同日リリース)。 団地に忍び込んだ子供たちが、迷い込んだ不思議な世界 この作品は姉弟のように育った幼馴染みの航祐と夏芽が、小学6年生のクラスメイトたちと共に取り壊しが進む『おばけ団地』に忍び込んだことから、不思議な現象に巻き込まれていく冒険ファンタジー。かつては仲の良かった航祐と夏芽だが、航祐の祖父・安次が亡くなってからは関係がぎくしゃくして、顔を合わせればケンカばかりしている。『おばけ団地』は二人にとっては長年暮らしてきた我が家で、夏芽は安次との思い出も詰まったこの場所と別れを告げることができない。彼女は立ち入り禁止の団地に何度も通っていて、そんな夏芽とおばけ探しに団地へやって来た航祐と仲間たちが遭遇。彼らはひょんなことから、異世界へ団地と共に移動してしまう。 彼らが迷い込んだ世界は団地の周りが一面の大海原で、団地は海の上を漂流していく。食料はたまたま持っていたお菓子しかなく、いつ元の世界に帰れるかわからない状態で、航祐たちはサバイバル生活を余儀なくされる。安次の死に関するわだかまりが解けない航祐と夏芽の関係をメインに、航祐のことが好きな我がままなお嬢様の令依菜、令依菜の親友・珠里、航祐の友人である譲と太が、ケンカと和解を繰り返しながら困難な状況を乗り越えていく様を映し出している。 老朽化した昭和の建築遺産、『団地』がもう一人の主役 もう一人の主役が、彼らが乗る船とも言える老朽化した団地。日本では1958年頃から『団地』という言葉が使われ始めたというが、その建設ラッシュが起こったのは1960~70年代だった。ここに登場する団地も築約60年とされているので、建てられたのは60年代だろう。経年劣化が進み、耐震構造的にも問題があるこの時代に建設された団地は、近年建て替えが進んでいる。劇中で『おばけ団地』と呼ばれているように、錆びと汚れが目立つ古い団地は、今や「クロユリ団地」(2013)などのホラー映画の舞台になっている。だがその一方で、半世紀以上の時を積み重ねてきた建物は、そこに住む人々の思い出が詰まった故郷でもある。日本は戦争、自然災害などによるスクラップ・アンド・ビルドを繰り返して、復興と繁栄の歴史を築き上げてきたが、昭和の遺産とも言うべき団地をスクラップにするのはしょうがないとしても、そこに住んだ人々の記憶までスクラップにして棄ててもいいのか。ここでは団地とうまく“お別れ“ができない夏芽の心情を通して、そのことに問題提起している。 ここでクローズアップされるのが、航祐たちが団地で出会う謎の少年・のっぽ君の存在。夏芽は最初、取り壊し中の団地でのっぽ君と会ったことで、ここに何度も通うことになったのだが、やがてのっぽ君は人間ではないことが分かってくる。また団地は漂流中に、すでに閉鎖して取り壊されたプールやデパートの建物と接近する。そのたびに航祐たちは食料調達のために接近した建物の内部に潜入するが、中身は完全な廃墟。つまりこの世界では、廃墟ばかりが漂流しているのである。今また新たに廃墟になろうとしている団地に住み着いているのっぽ君は、建物と一体化した存在で、その謎めいた行動が航祐と夏芽を漂流の旅の答えへと導いていくのだ。 みんなで危機を乗り越えていく、子供たちの頑張りが見どころ! 団地という舞台と世界観は異色だが、そこで展開される物語は、子供たちの友情が絡んだ冒険活劇。彼らは海に落ちそうになった仲間を助けるため勇敢に行動し、元の世界へ帰る方法をみんなで団結して探っていく。ただ全員が小学6年生なので、やれる行動も出す知恵にも限界があり、彼らは何度も挫折を味わう。その等身大の子供たちの頑張りが、観る者を惹きつける作品になっている。 初のオリジナル作品に挑戦した石田監督は、実際に自分が団地に移り住んで映画の制作に臨んだというが、全体の建物は大きくても実は仕切られた空間の多い団地の、心落ち着く空間の狭さや様々なことに代用できる調度品などを活かし、ここでは団地ならではのサバイバル生活を見事に描き出した。 今回のBlu-rayには本編の他に、2023年8月26日に、映画のモデルになった「ひばりが丘団地」で特別上映された「ひばりが丘団地 特別上映会ver.~漂流が始まった場所~」の本編映像や、特報3本と本予告編などのPV集、航祐と夏芽を演じた声優、田村睦心と瀬戸麻沙美がキャラクターの魅力と作品の見どころを語り合う劇場幕間映像や7つの未公開カット集。そして完成したアニメーションと比べて観るのも面白い、OPムービーの絵コンテ・ヴァージョンを収録した特典映像が収められている。子供たちが団地と共に繰り広げるひと夏の冒険を、このソフトならではの特典映像と共に多くの人に楽しんでほしい作品だ。 文=金澤誠 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=ITKclnpz0nc 「雨を告げる漂流団地」 ●9月20日(水)Blu-ray&DVDリリース(レンタル同時) ▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●豪華版 Blu-ray 価格:8,800円(税込) 【ディスク】<1枚> ★Blu-ray 限定仕様★ ・特製スリーブケース ・夏の思い出フォトカード ★映像特典★※Blu-ray 商品のみ ・「ひばりが丘団地 特別上映会ver. ~漂流が始まった場所~」 ※2023年8月26日に”ひばりが丘団地”にて実施されたイベント上映仕様の本編映像 ・未公開カット集 ・OP ムービー(絵コンテver) ★封入特典★※Blu-ray/DVD 共通 ・スペシャルブックレット ★特典映像★※Blu-ray/DVD 共通 ・PV 集 ・劇場幕間映像 ●通常版DVD 価格:6,600円(税込) 【ディスク】<1枚> ★封入特典★※Blu-ray/DVD 共通 ・スペシャルブックレット ★特典映像★※Blu-ray/DVD 共通 ・PV 集 ・劇場幕間映像 ●2022年/日本/本編119分 ●監督:石田祐康 ●脚本:森ハヤシ/石田祐康 ●音楽:阿部海太郎 ●主題歌・挿入歌:ずっと真夜中でいいのに。 ●制作:スタジオコロリド ●出演:田村睦心、瀬戸麻沙美 村瀬歩、山下大輝、小林由美子、水瀬いのり、花澤香菜、島田敏、水樹奈々 ●発売・販売元:バップ ©コロリド・ツインエンジンパートナーズ -
ギター・レジェンドの軌跡を追う「カルロス:ザ・サンタナ・ジャーニー」、クリップ映像公開
2023年9月19日ギター・レジェンドであるカルロス・サンタナの軌跡を追うドキュメンタリー「カルロス:ザ・サンタナ・ジャーニー」。その世界グローバルプレミア上映が、9月23日(土)と27日(水)の2日間限定で開催される(日本の公開館はTOHOシネマズ 日本橋など)。クリップ映像が解禁された。 [caption id="attachment_29962" align="aligncenter" width="850"] © 2023 SANTANA TESORO, LLC. ALL RIGHTS RESERVED[/caption] ジャズ、ブルース、マリアッチ・サウンドを、ロックンロールのスピリチュアリティおよび音楽の原初的な感覚と融合させた、音楽界最高のアーティストの一人であり続けるカルロス・サンタナ。その人生を、本人と家族への新たなインタビュー、彼が撮影したホームビデオ、コンサートや舞台裏などの未公開映像を織り交ぜ、2度のエミー賞に輝くルディ・バルデス監督が紡ぎ上げた。 なお9月27日(水)には、カルロス・サンタナがジョン・マクラフリンとの共同名義で1973年に発表したアルバム『魂の兄弟たち』の発売50周年を記念し、日本独自企画の完全生産限定盤『魂の兄弟たちーSA-CDマルチ・ハイブリッド・エディションー』が発売される。 「カルロス:ザ・サンタナ・ジャーニー」 監督: ルディ・バルデス 出演: カルロス・サンタナ プロデューサー:サラ・バーンスタイン、ジャスティン・ウィルクス、リズ・モルハイム、レオポルド・ゴウト、アシュリー・カーン、サム・ポラード、ルディ・バルデス 2022/アメリカ/約98分(本編+特別映像) 素材フォーマット:2D DCP サウンド:5.1/FLAT 世界配給:Trafalgar Releasing / Sony Pictures International © 2023 SANTANA TESORO, LLC. ALL RIGHTS RESERVED HP:https://www.culture-ville.jp/carlos -
稲垣吾郎 × 新垣結衣「正欲」、予告映像&本ビジュアル到着、主題歌はVaundy
2023年9月19日家庭環境、性的指向、容姿。そんな “選べない” 背景を持つ人々が生きていくための推進力となるのは何か──。衝撃を呼んだ朝井リョウのベストセラー小説を、稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香をキャストに迎え、監督・岸善幸&脚本・港岳彦で映画化した「正欲」が、11月10日(金)より全国公開。本ビジュアルと30秒予告映像が到着し、Vaundyが主題歌を担当することが発表された。 「自分がどういう人間か、人に説明できなくて息ができなくなったことってありますか?」という夏月(新垣結衣)の問いかけシーンで始まる予告映像。“当たり前” ではない背景を持つ者たちが、印象的な台詞とともに映し出されていく。交差する彼らの人生は、どこに向かうのか? 主題歌はVaundyの『呼吸のように』。書き溜めた未発表曲から、映画の世界観に合うものを提供した。 〈Vaundy コメント〉 自由でいることの窮屈さや、共鳴を求めてしまう心の寂しさが描かれているこの映画ですが、必ずしも共感をしなくてもいい、できないのもいいのかもしれない、と僕は感じました。 生きるということは息を吸うということ。 少しでも長く君と同じ空気を吸っていたいのさ、というシンプルな想いをこの曲にこめています。 自分の中に溶けていくような音楽になるよう心がけたので、映画館で最後まで浸ってもらえたら嬉しいです。 Story 横浜に暮らす検事の寺井啓喜(稲垣吾郎)は、息子が不登校になり、教育方針をめぐって妻とたびたび衝突している。 広島のショッピングモールで販売員を務める桐生夏月(新垣結衣)は、単調な実家暮らしの中、中学のときに転校した佐々木佳道(磯村勇斗)が地元に戻ったことを知る。 大学生の諸橋大也(佐藤寛太)はダンスサークルに所属し、準ミスターに選ばれるほどの容姿の持ち主。そんな彼を、同じ大学の神戸八重子(東野絢香)は気にしていた……。 ©2021朝井リョウ/新潮社 ©2023「正欲」製作委員会 配給:ビターズ・エンド ▶︎ 朝井リョウの小説『正欲』が稲垣吾郎 × 新垣結衣共演、岸善幸監督で映画化 ▶︎ “私たちが抱えている欲望は、あって良いものだと思いたい”。朝井リョウ原作、稲垣吾郎と新垣結衣が共演する「正欲」、特報映像など到着 -
家族を優先してきた女性の再出発を綴ったマリア・センプルのベストセラー小説を、リチャード・リンクレイター監督 × ケイト・ブランシェット主演で映画化したヒューマンコメディ「バーナデット ママは行方不明」が、9月22日(金)より新宿ピカデリーほかで全国公開。監督のインタビュー映像が到着した。 「自分の母が妥協するのを見てきた。母の時代は子育て優先でキャリアは後回しだった。母には夢があったのに、自分たちが邪魔してる気がした」「母のような女性を本作で描いたんだ」と明かすリンクレイター。「これは彼女が自分を再発見する物語だ」。 [caption id="attachment_29934" align="aligncenter" width="850"] ケイト・ブランシェットとリチャード・リンクレイター監督[/caption] Story シアトルに暮らす主婦のバーナデット(ケイト・ブランシェット)。一流IT企業に勤める夫のエルジー(ビリー・クラダップ)と親友のような娘のビー(エマ・ネルソン)に恵まれ、一見幸せそうだが、実は極度の人間嫌いで隣人やママ友とうまく付き合えない。かつて天才建築家ともてはやされたが、夢を諦めた日から息苦しさが募っていたのだ。そんな彼女は、ある事件がきっかけで退屈な世界に限界を感じ、忽然と姿を消す。向かった先は、南極だった──。 © 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved. 配給:ロングライド ▶︎ リチャード・リンクレイター監督 × ケイト・ブランシェット主演。退屈な日々に限界の主婦が南極へ!「バーナデット ママは行方不明」
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映倫 次世代への映画推薦委員会推薦作品 — 映画「燃えあがる女性記者たち」—
2023年9月16日スマホを手にした女性記者たちがインド社会を変えていく インド北部のウッタル・プラデーシュ州で、下層女性へのレイプ事件、採石場を牛耳るマフィアの暴挙、怠慢な警察、議員選挙への出馬者などを追跡する女性たち。カースト制度の外に位置づけられ、迫害されてきた〝不可触民〞ダリトの女性のみで立ち上げた新聞社〈カバル・ラハリヤ〉の記者たちだ。民主主義を守るため、命を危険に晒しながら日々奔走する。 そんな闘士たちだが、デジタル化の波を受けて動画報道にシフトした。慣れないスマホでインタビュー相手を撮影し、家に帰れば子どもたち、そして彼女らの仕事に決して理解があるわけではない夫や父がいる。動画の再生数はグングン伸び、少しずつ、だが着実に社会を動かしていく。 映画の主人公といえる、温和だが芯の強い主任記者ミーラが、目下奮闘中の新人シャームカリに施すアドバイスが印象的だ。「批判の目が必要なの。あなたの取材はまるで宣伝のようだった」。相手の言葉を真に受けるだけでは記者は務まらない。建前に隠された本音、サングラスの奥の瞳が宿す訴え、笑みが含む一抹の苦さ、文面では伝わらない言葉の温度、政治と宗教をめぐる甘言と思惑、それらを読み取ること——。ひょっとしたら、する気のなかった結婚を決意してカバル・ラハリヤを去るスニータ記者も、弁明からは汲み取れない微妙な胸中のコントラストがあったかもしれない。 「私たちは社会を映す鏡」だと言うミーラは、どこまでも権力の責任を問い、発信し続ける。視聴者にも、事態の核心を感知する想像力が必要だ。まずは記者の勇気と行動力を称え、困窮者に寄り添いたい。そしてフッテージの裏側には映画の制作者たちがいるのだから、彼らの意思や困難、知恵の閃きにも思いを馳せてみたい。物事は多層的で繊細だ。 文=広岡歩 制作=キネマ旬報社 (「キネマ旬報」2023年9月号より転載) https://www.youtube.com/watch?v=7FWx2SXVHcE 「燃えあがる女性記者たち」 【あらすじ】 被差別民であるダリトの女性たちが立ち上げた新聞社〈カバル・ラハリヤ〉(“ニュースの波”という意味)は、紙からデジタルへのメディア移行という挑戦を始める。記者たちは危険を顧みず、差別に起因する暴行をはじめ地域のさまざまな事件や問題を追い、小さな声を粘り強くスマホに記録。そうして配信されたニュースは、インド中に広がっていく。 【STAFF & CAST】 監督:リントゥ・トーマス、スシュミト・ゴーシュ 配給:きろくびと インド/2021年/93分/区分G 9月16日(土)より全国順次公開 ▶公式HPはこちら © BLACK TICKET FILMS. ALL RIGHTS RESERVED.