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“最初で最後のヌーヴェル・ヴァーグ” ジャック・ロジエ特集、陽気なヴァカンスへ誘う予告編
2023年6月29日ゴダールが絶賛し、トリュフォーが嫉妬したというジャック・ロジエ。その長編4作「アデュー・フィリピーヌ」(1962)「トルテュ島の遭難者たち」(1976)「メーヌ・オセアン」(1985)「フィフィ・マルタンガル」(2001)、ならびに短編2作「パパラッツィ」「バルドー/ゴダール」(ともに1963)を上映する特集〈みんなのジャック・ロジエ〉が、7月29日(土)よりユーロスペースほかで全国順次開催される。予告編が到着した。 陽気な音楽にのせて映し出されるのは、赴くままに出会って旅立つ男女。夏と人生を享受する、どこまでも自由なヴァカンスが広がる。 ヌーヴェル・ヴァーグの最も成功した作品のひとつ ──フランソワ・トリュフォー(「アデュー・フィリピーヌ」に対して) ジャック・タチの死後、フランス映画が生み出した最もクレイジーで、最も面白く、最も詩的な作品 ──ル・モンド(「メーヌ・オセアン」に対して) [caption id="attachment_26701" align="aligncenter" width="850"] 「アデュー・フィリピーヌ」 © 1961 Jacques Rozier[/caption] [caption id="attachment_26702" align="aligncenter" width="850"] 「トルテュ島の遭難者たち」 © 1974 Jacques Rozier[/caption] [caption id="attachment_26703" align="aligncenter" width="850"] 「メーヌ・オセアン」 © 1986 Jacques Rozier[/caption] [caption id="attachment_26704" align="aligncenter" width="850"] 「フィフィ・マルタンガル」 © 1997 Jacques Rozier[/caption] 配給:エタンチェ、ユーロスペース ▶︎ ジャック・ロジエ特集開催。劇場初公開「トルテュ島の遭難者たち」「フィフィ・マルタンガル」を含む全6本! -
直木賞受賞作家の辻村深月が執筆し、2018年本屋大賞を史上最多得票数で受賞した累計発行部数170万部超えの同名ベストセラー小説を、「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」(01)「河童のクゥと夏休み」(07)などの原恵一が監督を務めて劇場アニメ化した「かがみの孤城」。 辻村深月と原恵一は、共に若者の繊細な心情表現に定評があり、子どもから大人まで幅広い層に支持されるエンターテイメント作品を手掛けてきた。そんな最強タッグによって制作され、国内外の映画賞でも高い評価を獲得し、興行収入10億円超えの大ヒットも記録した青春ファンタジー・ミステリー「かがみの孤城」のBlu-ray&DVDが、6月28日に発売された。 ファンタジーとミステリーを絡めて描く若者たちのリアルな物語 学校での居場所をなくし、部屋に閉じこもっていた中学生のこころは、ある日突然に光り出した部屋の鏡の中へ、吸い込まれるように入ってしまう。そこには、海に囲まれたおとぎ話に出てくるようなお城があり、見ず知らずの中学生6人が居た。さらに「オオカミさま」と呼ばれる狼のお面をかぶった女の子が現れ、「城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでも叶えてやろう」と告げる。期限は約1年間。9~17時までの間だけ鏡から出入りできるその城で、戸惑いつつも鍵を探しながら共に過ごすうち、こころたち7人には、学校に通えていないらしいという、共通点が浮かび上がる。互いの抱える事情が少しずつ明らかになり、次第に心を通わせていくこころたち。そして城が7人にとって特別な居場所に変わり始めた頃、ある出来事が彼らを襲う……。 果たして鍵は見つかるのか? なぜこの7人が集められたのか? それぞれが胸に秘めた“人に言えない願い”とは? 異世界ファンタジーのような親しみやすい設定の中、生きづらさを抱える現代の少年少女が共感でき、大人にとっても子どもたちの繊細な感情に心を揺さぶられるリアルな物語が、ミステリーとしての面白さも絡めて描かれていく。 繊細な子どもの感情をリアルに表現した「これは自分のために書かれた物語」 全編に伏線や謎を張り巡らせているため明かせない内容も多いが、主人公のこころは、1年生として通い始めたばかりの中学校で、クラスの中心的存在の同級生から理不尽な理由で敵視される状況に陥る。さらには命の危険を感じるような、ある決定的な事件が起こったことで、学校に行けなくなってしまう。内気な性格もあって、自分のおかれた状況や素直な感情を両親にも先生にも伝えることができないけれど、内面ではぐるぐると様々な感情が渦巻いている。嫌われたくない、他人と違うと思われて悪目立ちしたくないといった、人の顔色を窺うけれど、自分の意思はもちろんあるし、些細なことで傷ついてしまう。繊細な子供の感情と共に、特定の世代に限らない人間の根源的な感情の機微もリアルに表現している。 こころら7人の中学生たちが誘われる鏡の中の城は、彼らにとって避難所や休息所となる。ファンタジーの力を借りることで、人は一人ではないし、時には逃げてもいいから、とにかく生きるのを諦めてはいけないこと、一つの社会や視点だけに囚われず、少しひいて広い視野で見ることができれば、助けてくれる何かが見つかることもあるし、困難から抜け出す方法はいくらでもあること、受け入れてくれる人々や社会もたくさんあることなどを描いている。学校だけでなく、会社や様々な組織の中で生きづらさを感じている人には特に響くものがあるだろうし、SNSなどで「これは自分のために書かれた物語」だと、幅広い層から多くの共感を得たのも頷ける。 原監督は劇場パンフレットのインタビューで、「『たいていのことは何とかなるよ、大丈夫』ということを伝えたい」「映画で人の命は救えないかもしれないけど、気持ちを変えることぐらいはできる。それを信じているし、これからもそういう映画を作っていきたい」と語っているが、今回の映画まさにその通りの少し背中をおしてくれたり、勇気や救いや気づきを与えてくれるような作品となっている。また、単行本にして約550頁ある原作の物語をかなり忠実に描きながらもダイジェストのようにはなっておらず、原作の魅力を全く損なわずに、オリジナル要素も加味して見事なアニメーション映画に仕上げてみせている。感動と興奮のエンタメの力を借りて、力強いメッセージを送る作品で、全世代にお勧めしたい作品だ。 「かがみの孤城の前と後」ほか豪華特典を収録した完全生産限定版 6月28日に発売された完全生産限定版のBlu-rayとDVDには、豪華特典を収録。特製ブックレットは3冊あり、スタッフやキャストのインタビューなどが掲載された『劇場パンフレット再編集版』、原監督による演出を知ることができる絵コンテの一部を抜粋した『STORYBOARD BOOK』、名アニメーターたちが描いた珠玉の原画や入場特典として多種類が配布されたポストカードの貴重な書き下ろしイラストなどをまとめた『ARTWORK BOOK』が付属。 さらに封筒入り特製カードセットや特典ディスクも付く。その特典ディスクには、當真あみや北村匠海らのボイスキャストと原監督らが登壇した3つの舞台挨拶、各種プロモーション映像集などを収録。公開前夜祭の舞台挨拶でスペシャルゲストとして登壇した原作者の辻村が、「私の書いたこころたちが、私の思った通りの姿で、画面の中いっぱいに活躍をしていて、私の描いた通りの感情があって、とても感動しました」と熱く語る姿などを見ることができる。そして、特に必見なのが、今年の5月26日から“再開城”と称して特別上映された際に初披露されたスペシャル映像「かがみの孤城の前と後」。劇中でフリースクールの先生役を演じた宮﨑あおいがナレーションを務めた映画オリジナルの短編で、映画本編鑑賞後に見ると、感動の余韻を高めたり、ほっこりさせてくれる最高のエピローグとなっている。 文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=S7_8_qi5ul8&t=3s 「かがみの孤城」 ●6月28日(水)Blu-ray&DVDリリース(レンタル同時) ▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray【完全生産限定版】 価格:9,680円(税込) ●DVD【完全生産限定版】 価格:8,580円(税込) 【完全生産限定版特典】※Blu-ray、DVD共通 ◆ディスク2枚組(本編ディスク+特典ディスク) ◆キャラクターデザイン・佐々木啓悟 描き下ろしジャケット ◆豪華特製ブックレット3冊 ・劇場パンフレット再編集版 ・STORY BOARD BOOK(名シーンコンテ集) ・ARTWORK BOOK(原画&入場者プレゼントイラスト集) ◆封筒入り特製カードセット ◆特典映像 ・プロモーション映像集、舞台挨拶、「かがみの孤城の前と後」 ●Blu-ray【通常版】 価格:5,280円(税込) ●DVD【通常版】 価格:4,180円(税込) ※【通常版】は本編のみ ●2022年/日本/本編116分 ●原作:辻村深月「かがみの孤城」(ポプラ社刊) ●監督:原 恵一 ●主題歌:優里「メリーゴーランド」(ソニー・ミュージックレーベルズ) ●脚本:丸尾みほ ●キャラクターデザイン/キャラクター監修:佐々木啓悟 ●ビジュアルコンセプト/孤城デザイン/童話イラスト:イリア・クブシノブ ●音楽:富貴晴美 ●アニメーション制作:A-1 Pictures ●出演:當真あみ 北村匠海 吉柳咲良 板垣李光人 横溝菜帆 ・ 高山みなみ 梶裕貴 矢島晶子 ・ 美山加恋 池端杏慈 吉村文香 ・ 藤森慎吾 滝沢カレン / 麻生久美子 芦田愛菜 / 宮﨑あおい ●発売元:アニプレックス 販売元:ソニー・ミュージックソリューションズ ©2022「かがみの孤城」製作委員会
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スロヴェニアの新鋭監督が、美しい森に紡ぐ寓話「栗の森のものがたり」
2023年6月28日イタリアとユーゴスラビアの国境にある森を舞台に、ケチな棺桶職人と夢見る栗売りという孤独な2人の人生を幻想的に描いた「栗の森のものがたり」が、10月7日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。ティザーポスターと特報映像5本が到着した。 時は1950年代。美しい栗の森に囲まれ、かつて安息の地と呼ばれた村。第二次世界大戦後、長引く政情不安から多くの者が他所へ旅立った。老大工のマリオは、家を飛び出した一人息子の連絡を待ち続け、手紙に思いを綴っては投函せず引き出しにしまっていく。栗売りのマルタは、出征して戻らない夫の手紙と写真を手掛かりに、現在住んでいるであろうオーストラリアへ旅立つつもりでいる。そんなある日、マルタとマリオは出会い、互いの身の上を語りながら境遇を思いやる。そして、マリオはマルタにある提案を持ち掛けるのだが……。 チェーホフの短編にインスパイアされ、初長編となる本作を撮り上げたのは、スロヴェニア出身の新鋭グレゴル・ボジッチ監督。フェルメールやレンブラントといったオランダの印象派画家にも影響を受け、35mmとスーパー16mmフィルムで絵画のように美しく風景を切り取っていく。 賭け事が大好きで、病弱な妻にも辛辣な言葉を浴びせるマリオ役には、イタリアの名優マッシモ・デ・フランコヴィッチ。金を貯めて《栗の森》を離れようとするマルタ役には、クロアチアで活躍するイヴァナ・ロシュチッチ。神々しくさえあるマリオの妻ドーラ役には、イタリアの名優ジウジ・メルリ。 音楽を手掛けたのはアイスランド出身のヘクラ・マグヌスドッティルで、幽玄なテルミンの音色が人々の喜びと悲しみに寄り添う。一方で若い女性2人がシルヴィ・ヴァルタンの『アイドルを探せ』を歌い踊るシーンも印象深い。 映画はトロント国際映画祭でプレミア上映され、スロヴェニア国際映画祭では最優秀作品賞、監督賞、男優賞、撮影賞、観客賞など11部門を受賞。なら国際映画祭ではコンペ作品中で「最も美しい」と評され、審査員特別賞に輝いた。 生と死も、現実と妄想も、境界は曖昧。スロヴェニアから届いたメランコリックな大人の寓話に心酔するはず。 〈レビュー〉 フェルメールの絵画の中に閉じ込められたかのような、凜とした静寂が心揺さぶる。 ──Cineuropa.org もの悲しく、不思議な短編小説のよう。 ──Variety 心沁みる生と死のあわいの幻想譚。 ──Cineuropa 最初から最後まで美しい。その美しさのなかに充満してくる死の空気。 ──Movie steve 絵画のような風景を切り取る美しい映像をスクリーンで観る至福。フィルムの撮影が成し得た素晴らしい作品。 ──The wee review 深い森には神秘的な癒しと魔性の不思議が宿っている気がする。 ──Ortakoltuk.com おとぎ話の絵本を捲るような、冷たい粒子漂う愁を帯びた深まる秋の気配がもの哀しい。 ──Ekran.si すべてのカットに美が宿る、詩情豊かな映像美。 ──Cinexpressions 「栗の森のものがたり」 監督:グレゴル・ボジッチ 脚本:グレゴル・ボジッチ、マリーナ・グムジ 撮影:フェラン・パラデス 編集:グレゴル・ボジッチ、ベンジャミン・ミルゲ、ジュゼッペ・レオネッティ 音楽:ヘクラ・マグヌスドッティル、ヤン・ヴィソツキー 出演:マッシモ・デ・フランコヴィッチ、イヴァナ・ロスチ、ジュジ・メルリ、トミ・ヤネジッチ 原題:Zgodbe iz kostanjevih gozdov 英題:Stories from the Chestnut Woods 日本語字幕:佐藤まな 字幕協力:なら国際映画祭 提供:クレプスキュール フィルム、シネマ サクセション 配給:クレプスキュール フィルム 2019年/スロヴェニア・イタリア/イタリア語・スロヴェニア語/カラー/82分/ビスタ © NOSOROGI - TRANSMEDIA PRODUCTION - RTV SLOVENIJA - DFFB 2019 公式HP:http://chestnut.crepuscule-films.com/ -
セクシュアル・マイノリティがテーマの作品を上映する〈第31回レインボー・リール東京 〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭〜〉が、スパイラルホール(青山)とユーロライブ(渋谷)の2会場で、7月15日(土)より計6日間にわたり開催。全11プログラム21作品が決定した(11作品が日本初上映)。 [caption id="attachment_26687" align="aligncenter" width="850"] 「孔雀」[/caption] [caption id="attachment_26688" align="aligncenter" width="850"] 「マット」[/caption] オープニングを飾る韓国映画「孔雀」は、家族や故郷の人々と絶縁しているトランスジェンダー女性の物語。各国映画祭で注目されたアメリカ映画「マット」は、運のないトランスジェンダー男性の24時間を描く。デンマーク発の「ヴィーナス・エフェクト」は、美しい自然の中にさまざまな人間模様や愛を綴ったレズビアン映画。オーストラリア発の「ローンサム」は、ゲイアプリで知り合った2人のセクシュアリティと心の傷を見つめる。日本からは、一匹の犬がゲイの主人公に奇跡をもたらす「幸運の犬」が参加。(全作の詳細は公式サイトにて) 「孔雀」のピョン・ソンビン監督の来日トークイベント、「秘密を語る方法」のショーン・ダン監督のオンライントークイベントも予定している。 さらに、2017年(第26回)以来6年ぶりの《レインボー・リール・コンペティション》開催が決定。日本人映像作家たちのショートフィルム7本を上映し、観客投票でグランプリが決まる。キャストと監督の舞台挨拶も行われる予定。 LGBTQ+を取り巻く「今」に触れ、思いを共有する貴重な機会となる。 [caption id="attachment_26689" align="aligncenter" width="850"] 「幸運の犬」[/caption] 〈第31回レインボー・リール東京 〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭〜〉 主催:NPO法人レインボー・リール東京 公式サイト:https://rainbowreeltokyo.com/
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祝10周年〈ホラー秘宝まつり2023〉、美恐混在&絶叫必至の予告編
2023年6月27日〈ホラー秘宝まつり〉10周年となる今年は、ダリオ・アルジェント中期のサイコホラー「オペラ座 血の喝采」(1988)、エドガー・アラン・ポーの怪奇幻想小説を基にフェデリコ・フェリーニら名匠が競作した「世にも怪奇な物語」(1967)、カニバリズム帰還兵が大暴れするアンソニー・M・ドーソン作品「地獄の謝肉祭」(1980)をはじめ、厳選した17作を上映。キネカ大森を擁する東京をはじめ全国6都市で、8月18日(金)より開催される。予告編が解禁された。 目玉作品「オペラ座 血の喝采」のロック調の楽曲をバックに、攻撃性全開でスタート。アルジェントらしい残酷描写と挑戦的カメラワークで観る者を圧倒する。 続く「世にも怪奇な物語」では、ジェーン・フォンダ、ピーター・フォンダ、アラン・ドロン、ブリジット・バルドー、テレンス・スタンプ、サルヴォ・ランドーネら錚々たる俳優が鬼気迫る表情を披露。 さらに4Kリマスター版日本初上映の「地獄の謝肉祭」では、戦地ベトナムで飢えた兵士らが生肉を貪り、帰還後にカリフォルニアの街で市民を血祭りにあげていく衝撃展開が炸裂。 美と恐怖が混在したラインナップに胸が高鳴る。 [caption id="attachment_26490" align="aligncenter" width="850"] 「オペラ座 血の喝采」 ©1987 RTI[/caption] [caption id="attachment_26491" align="aligncenter" width="850"] 「世にも怪奇な物語」 ©1967- TF1 DROITS AUDIOVISUELS - PRODUZIONI EUROPEE ASSOCIATES S.A.S[/caption] [caption id="attachment_26492" align="aligncenter" width="850"] 「地獄の謝肉祭」 ©1981 STUDIOCANAL IMAGE/FIDA INVESTMENT[/caption] 〈ホラー秘宝まつり2023〉 提供・配給:キングレコード 宣伝:ブラウニー 公式サイト:http://horror-hiho.com