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匿名の映画作家たちが、世界に向けてSOS。「ミャンマー・ダイアリーズ」
2023年6月12日国軍がクーデターで実権を握ったミャンマーで、若手映画作家たちが抑圧された民衆の日常を紡ぎ、ベルリン国際映画祭でドキュメンタリー賞、ブロンズ観客賞、アムネスティ国際映画賞を受賞した「ミャンマー・ダイアリーズ」が、8月5日(土)よりポレポレ東中野ほかで全国順次公開。ポスタービジュアルと予告編が到着した。 民主化に向けて変革が続いたこの10年、ミャンマー国民は自由と発展への希望を抱いてきた。しかし2021年2月1日、軍が再び国の支配に乗り出し、反発した民衆は全国でデモを敢行。“3本指”を掲げて軍政に抗議するが、一人の少女の死を皮切りに弾圧は激化していく。 インターネットが定期的に遮断され、軍に不都合なメディアやSNS投稿が処罰の対象となり、国内外への情勢伝達は困難に。そうした中、若いミャンマー人映画作家たちが匿名性を維持しつつ“ミャンマー・フィルム・コレクティブ”を結成。それぞれが生んだ短編映画と、市民がSNSに投稿した記録映像をシームレスに繋ぎ、圧制下における切実な“一人称の物語”を紡いでいく。 なお配給元の株式会社E.x.Nは、ミャンマー避難民を支援する団体・施設に配給収益を寄付する。ドキュメンタリーとフィクションを行き来しつつ、生々しい声の断片を伝える重要作だ。 〈レビュー〉 軍事政権下の恐怖を詳細に記録。──ハリウッド・レポーター 政治的にも芸術的にもパワフル。──シネヨーロッパ 示唆に富んだ芸術作品。──スクリーンデイリー ゾッとするような光景。──ヴァラエティ Story 2021年2月1日、軽快な音楽に合わせてエクササイズ動画を配信する女性。その背後では、軍の車両が慌ただしく集結していく。抗議活動に参加したため指名手配され、引き裂かれるパートナー。母親が理由もわからず拘束され、必死に抵抗する幼い子ども。軍と戦うために地元を離れて訓練を受ける若者たち。自身が拘束される様子を必死に配信するジャーナリスト。パンデミック中に一人で隣国に避難した女性は、ホテルで平和だった頃の記憶をノートに綴る──。 「ミャンマー・ダイアリーズ」 監督・制作:ミャンマー・フィルム・コレクティブ(匿名のミャンマー人監督たちによる制作) 原題:Myanmar Diaries/2022年/オランダ、ミャンマー、ノルウェー/70分/ミャンマー語/カラー/DCP/5.1ch 配給:株式会社E.x.N 宣伝:高田理沙 © The Myanmar Film Collective 公式サイト:www.myanmar-diaries.com -
絵の中で戦死者は語り続ける。「丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部」
2023年6月12日ノーベル平和賞候補となり、朝日賞や埼玉県民栄誉賞などを受賞した水墨画で風景画家の丸木位里(1901‐1995)と人間画家の丸木俊(1912‐2000)夫妻。ふたりが6年をかけて『沖縄戦の図』全14部を制作していく軌跡を追ったドキュメンタリー「丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部」が、6月17日(土)より沖縄・桜坂劇場で先行公開、7月15日(土)よりポレポレ東中野ほかで全国順次公開される。予告編と監督コメントが到着した。 『原爆の図』『南京大虐殺』『アウシュビッツ』など、40年にわたり一貫して戦争の地獄図絵を描いてきた夫妻。アメリカ側が撮った写真しか残っていない1945年の沖縄戦をめぐり、「日本人側から見た記憶を残しておかなければいけない」と思い立ったふたりは、1982〜1987年に沖縄戦を取材し、『沖縄戦の図』14部(『久米島の虐殺1、2』『暁の実弾射撃』『亀甲墓』『喜屋武岬』『ひめゆりの塔』『沖縄戦―自然壕』『集団自決』『沖縄戦の図』『ガマ』『沖縄戦―きやん岬』『チビチリガマ』『シムクガマ』『残波大獅子』)を制作した。怒りに溢れたそれらの作品群は、米軍が「美術館建設のためなら」と特別に返還した地に建った佐喜眞美術館に収蔵されている。 映画では夫婦が現地の人々にインタビューし、沖縄戦のさまざまな側面が明らかに。そして「反戦反核の画家」と一言では語れない、ふたりの命に対する眼差しが浮き彫りとなる。また、若い沖縄民謡唄者の新垣成世と同級生で平和ガイドでもある平仲稚菜が『沖縄戦の図』などから学び、民謡で戦争体験を継承していく姿も織り込まれている。 [caption id="attachment_25942" align="aligncenter" width="850"] 写真:石川文洋[/caption] 〈監督・撮影:河邑厚徳コメント〉 2020年、はじめて「沖縄戦の図」の前に立った瞬間、金縛りにあったように言葉を失った。美術館を出た時には、一枚一枚の絵を貫いたアートドキュメンタリーを作りたい気持ちに火が付いていた。 映画公開を前に、G7広島サミットを見ていて、「沖縄戦の図」が宜野湾の佐喜眞美術館に収められている意義は想像以上に大きいと感じた。丸木位里、俊は「原爆の図」で世界に知られる画家である。二人の画家は、広島、南京大虐殺、アウシュビッツと第二次世界大戦の三大虐殺を描き上げ、強く望んで1982年12月に沖縄の土を踏んだ。40年間の沈黙がとけ体験者がようやく語り始めた時である。あの悲劇の歴史を伝え続けなければ、戦争はまた起きるという危機感を画家と沖縄住民が共有した。皆が丸木夫妻を応援し、いい絵を描いてくれと願い、協力した。 映画では、初めて沖縄戦の図・全14部をのこらず紹介した。個々の絵についての解説はあるが、それを積み重ねてみると画家の考えの軌跡が見えてくるのではないだろうか。絵に描かれていたのは「空爆」や「空襲」と違う様相を見せた地上戦の真実、愚劣な軍隊、嘘と洗脳で死んだ民間人。二人の画家は終戦後に起きた久米島の虐殺から描き始めたが、最後は読谷村の戦後を描ききって未来の沖縄へと希望を託した。 「丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部」 ナレーション:ジョン・カビラ 朗読:山根基世 出演:新垣成世、平仲稚菜、島袋由美子、平良修、平良悦美、真喜志好一、佐喜眞道夫、山城博明、吉川嘉勝、丸木ひさ子、岡村幸宣、知花昌一、山内徳信、金城実、本橋成一、石川文洋 資料提供:沖縄県公文書館、ひめゆり平和祈念資料館、久米島博物館、読谷村教育委員会、原爆の図 丸木美術館、琉球新報社 映像提供:NHK 1984年「日曜美術館 戦世の画譜」、シグロ/パラブラ 1983年「水俣の図 物語」1987年「ゆんたんざ 沖縄」 リサーチャー:上間かな恵 イラスト:黒田征太郎 ポスターデザイン:ぎすじみち タイトルCG:中村照雄、中村博子 技術:丸山俊、鈴木絢子、赤川淳 編集:荊尾明子 主題曲:川田俊介 音楽監督・音響デザイナー:尾上政幸 助監督:佐喜眞淳 監督:撮影:河邑厚徳 配給宣伝:海燕社、アルミード 2023/JAPAN/カラー/16:9/ステレオ/88min ©2023 佐喜眞美術館 ルミエール・プラス 公式サイト:https://okinawasennozu.com/ 公式ツイッター: @OKNWsen14movie -
「GODZILLA ゴジラ」「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」のギャレス・エドワーズ監督が、「TENET テネット」のジョン・デヴィッド・ワシントン主演、今やハリウッド映画の常連となった渡辺謙の共演で、進化しすぎたAIの脅威を描いた近未来SFアクション大作「ザ・クリエイター/創造者」が9月29日(金)より世界同時公開。ティザーポスターと特報映像が到着した。 今から50年後のロサンゼルスで、人類を守るために作られたAIが核爆発を引き起こす。以来10年間、AIと戦ってきた人類軍は、高度なAI兵器を生み出した“創世者”の暗殺を決定。その任務を負った退役軍人ジョシュア(ジョン・デヴィッド・ワシントン)が敵地に乗り込むと、現れたのは少女の姿をしたヒューマノイド(マデリン・ユナ・ヴォイルズ)だった──。 エアロスミスの『ドリーム・オン』をバックに展開する特報映像。ジョシュアは少女ヒューマノイドに対して芽生えた父親のような愛情と、使命との間で葛藤する。渡辺謙は、後頭部が機械となった謎のヒューマノイド役で登場。さらに「エターナルズ」のジェンマ・チャン、「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のアリソン・ジャネイが出演する。少女が知る真実とは? そして戦いはいかなる結末を迎えるのか? 「ザ・クリエイター/創造者」 監督・脚本:ギャレス・エドワーズ 出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、渡辺謙、ジェンマ・チャン、アリソン・ジャネイ、マデリン・ユナ・ヴォイルズ 原題:The Creator © 2023 20th Century Studios
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試練となった2020年を、愛猫と乗り越えていく男たち。「猫と、とうさん」
2023年6月9日人々にとって前例のない試練となった2020年を、愛猫と共に乗り越えていく9人の男を捉え、ダラス国際映画祭2021観客賞などに輝いたドキュメンタリー「猫と、とうさん」が、7月28日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほかで全国公開。日本版ポスタービジュアルと予告編が到着した。 俳優兼インフルエンサーのネイサン、ベイエリアの技術者ジェフ、NYの路上で暮らすデヴィッド、消防士のジョーダン。一見して繋がりのない彼らに共通するのは、共に暮らす猫への愛だった──。 メガホンを執るのは、猫を深く愛するようになった夫にポジティブな変化があったというマイ・ホン監督。「彼はより柔らかく、より忍耐強く、何より思いやりのある人間に成長したようです。同じような変化を遂げた男性を探し、そのストーリーを記録したいと思うようになりました。人々が希望や救済、仲間を切実に求めていた1年のポートレートであると同時に、猫を大切しながら今を生きる男性の姿を見て、前向きな変化のきっかけになることを願っています」と話す。 SNSで大人気のキーズとトーラ、消防署に住み着いたフレイム、NYをさまようフラット・ブッシュの猫たち、そしてデヴィッドの生きる希望となったラッキー。気ままな猫たちと幸せそうなキャット・ダッドたちの姿は、温かい気持ちを呼び起こす。 「猫と、とうさん」 監督:マイ・ホン 出演:ネイサン・ケーン、ジェフ・ジャドキンス、デヴィッド・ジョバンニ 2022/アメリカ/カラー/英語/89分 映倫:G 配給:ファインフィルムズ © Gray Hat Productions LLC 2021. -
罪なき孫たちをISISから救いたい。命がけの旅を追った「“敵”の子どもたち」
2023年6月8日娘がISIS(イスラム国)に参加して死亡し、遺された孫7人を救おうと決意した男性。その命がけの旅を追ったドキュメンタリー「“敵”の子どもたち」が、9月16日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開される。ポスタービジュアルが到着した。 スウェーデンに暮らすミュージシャンのパトリシオ・ガルヴェス。その娘であるアマンダはイスラム教徒に改宗し、スウェーデンで最も悪名高いISISメンバーと結婚、 2014年にシリアに密航してしまう。帰国させるための説得は、実を結ばなかった。そして2019年、ISIS掃討作戦で娘夫婦は殺され、1歳から8歳までの子ども7人が遺された。 「娘は救えなかったが、孫は救いたい」。決意を固めたパトリシオは、毎晩シリアを逃れてきた子どもたちの大量の写真を確認し、援助団体と連絡を取り続ける。すると、孫はシリア北東部のアルホル難⺠キャンプにいることが判明。パトリシオはスーツケースにおもちゃや靴を詰め込み、シリアとの国境が近いイラクの都市へ向かう。 SNSには「敵の子どもたちを連れて帰るな」「孫と一緒にシリアにいろ」など数々の批判が書き込まれたが、「子どもたちに罪はない」と諦めなかった。スウェーデン当局も解放に足踏みする中、危険で衛生環境も悪い難⺠キャンプから孫を救い出すため、パトリシオは自らシリア入りすることに……。 ゴルキ・グラセル・ミューラー監督メッセージ 「“敵”の子どもたち」は、パトリシオ・ガルヴェスが孫を救うために、一歩一歩逆境と闘いながら進んでいく物語である。しかし、より大きなスケールで、彼の戦いは、人間であることが今日何を意味するかについての物語である。世界は二極化し、より極端になっています。今日の政治情勢において、この子どもたちは無邪気なスウェーデンの子どもたちとして見られていません。ソーシャルメディア上では、「ISISの子どもたち」、あるいは「テロリストの子どもたち」と呼ばれているのです。このような文明的な欠如が、私をこの映画の製作に駆り立てたのです。それは、ギリシャの古い物語「イーリアス」で、敗者の運命はその子どもたちと共有されるということを思い出させました。パトリシオの偉大な行為は、ニュース性を越えて、ゴリアテに対するダビデ、“敵”の子どもを助けようとしないシステムに対する小人の行動という普遍的な物語があります。しかし、その最も深いレベルでは、これは子どもを失うという、親にとって最大の痛みについての物語である。娘のアマンダが死んだとき、パトリシオはどんな危険も顧みずに孫を救うことを誓いました。その時、戦争の子どもたちの物語は、愛する子どもたちの物語に変わったのです。 「“敵”の子どもたち」 監督・脚本:ゴルキ・グラセル・ミューラー 作曲:リサ・ノードストロム 編集:オーサ・モスバリ、カスパー・レイク、ソーレン・B・エッべ、エリカ・ゴンザレス プロデューサー:クリストフ・ヘネル、エリカ・マルムグレン 共同プロデューサー:シグネ・レイク・イェンセン、モルテン・カウフマン 製作総指揮:ジョン・バトセック、アニカ・ヘルストロム 製作:シネニックフィルム 共同製作:SVT、フィルム・アイ・ヴァスト、ツールボックスフィルム、GGM フィルム、ワンナイトピクチャー 原題:Children of the Enemy 配給:ユナイテッドピープル 2021年/スウェーデン・デンマーク・カタール/ドキュメンタリー/97分 公式サイト:https://unitedpeople.jp/coe/