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巨匠の息子パナー・パナヒ監督が家族の旅を描く感動作「君は行く先を知らない」
2023年4月7日イランの巨匠ジャファル・パナヒ監督の長男であるパナー・パナヒが、監督デビュー作として、抑圧的な社会を背景にある一家の人生の旅を描いた「君は行く先を知らない」が、8月25日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。ティザービジュアルが到着した。 子どもの頃から父やアッバス・キアロスタミの作品のセットに行っていたパナー・パナヒ。だが父と映画について話すことはほとんどなく、18〜19歳で初めて「映画を勉強したい」と思ったという。そして助監督と撮影監督を経験し、父の最新作「NO BEARS」(原題/日本公開予定)では脚本からポストプロダクションまで携わった。 そんな彼の初監督作となる「君は行く先を知らない」は、2021年カンヌ国際映画祭監督週間でワールドプレミアを迎え、同年の東京フィルメックス・コンペティション部門で「砂利道」の仮タイトルで上映。すでに96の映画祭に出品され、親の七光りとは言わせない力量を証明した。オバマ前大統領は2022年のお気に入り映画の一本に選出し、海外誌は「まるでイラン版の『リトル・ミス・サンシャイン』を見ているよう」(Hollywood Reporter)、「今年の傑作。笑いあり、悲劇あり、感動ありのほぼ完璧なデビュー作」(Rolling Stone)、「あっという間に過ぎ去る93分間。一緒に旅をした家族をどれだけ好きになったか、クレジットが流れるまで気づかずに、すぐに寂しくなってしまう」(Variety)といった評を寄せている。 父のジャファルは時の政権と対立するなど、闘争の人でもある。その姿を見てきたパナーの人生観が、旅立つ息子と国に残る家族の物語に刻まれ、胸を締めつける。 Story イランの国境近く。車で旅する4人家族と1匹の犬。 大はしゃぎする幼い弟を尻目に、兄と父母は口に出せない何かを心に抱えている。 彼らの行き先とは──。 「君は行く先を知らない」 製作:ジャファル・パナヒ、パナー・パナヒ 脚本・監督:パナー・パナヒ 出演:モハマド・ハッサン・マージュニ、パンテア・パナヒハ、ヤラン・サルラク、アミン・シミアル 2021年/イラン/ペルシャ語/1.85:1/5.1ch/カラー/93分/G/英題:HIT THE ROAD 日本語字幕:大西公子 字幕監修:ショーレ・ゴルパリアン 後援:イラン・イスラム共和国大使館イラン文化センター 提供・配給:フラッグ 宣伝:フィノー ©JP Film Production, 2021 公式サイト:https://www.flag-pictures.co.jp/hittheroad-movie/ 公式Twitter:@hittheroad0825 -
池松壮亮が2人のピアニストを演じ分け、両者の運命が大きく狂い出す一夜を描いた冨永昌敬監督作「白鍵と黒鍵の間に」が、10月6日(金)よりテアトル新宿ほかで全国公開。ティザービジュアルと特報が到着した。 原作は、ジャズピアニストの南博がキャバレーや高級クラブを渡り歩いた3年間を綴った回想録『白鍵と黒鍵の間に -ジャズピアニスト・エレジー銀座編-』。その主人公を〈南〉と〈博〉という2人に分け、昭和末期の銀座を舞台に、3年のタイムラインがメビウスの輪のように繋がるたった一夜の物語へと大胆に翻案した。 才能に溢れるものの夢を見失った南と、ジャズマンになる夢を追う博。両者はすれ違いながらシンクロするカードの表裏のような関係で、池松が巧みに演じ分ける。そこにヤクザの親分とチンピラ、アメリカ人の歌姫やベテランのバンマスらが入り乱れ、現実と幻想が交錯したような狂騒が巻き起こる。 博(池松壮亮)は場末のキャバレーで『ゴッドファーザー 愛のテーマ』を弾くが、それが災いを招くとは知る由もない。同曲の演奏を許されているのは、ヤクザの会長のお気に入りピアニスト、南(池松壮亮)だけだったのだ。夜の銀座の暗黙の掟を破った博と、巻き込まれる南。2人の運命が狂い出す……。なお池松は半年間のピアノ練習を経て撮影に臨み、『ゴッドファーザー 愛のテーマ』は本人が演奏している。 冨永昌敬監督コメント 原作者の南博さんと、主人公「南博」を演じた池松壮亮くんに感謝します。かつて銀座のナイトクラブでピアノにかじりつき、三年間「あの曲」を弾き続けた南さんと、この映画のために半年間スタジオに通って「あの曲」を練習してくれた池松くんに、心から敬意を表します。『白鍵と黒鍵の間に』のテーマは、仕事と自分です。また、一人二役とは、単独の俳優が二つの異なる人格を演じ分けることを指しますが、この映画はその語義を問い直すものに仕上がりました。南さんの若き日の三年間を一晩の出来事として描く脚本には、高橋知由くんが力を貸してくれました。私たちは今日、「一人二役」と「三年一晩」の迷宮の中から、このユニークな作品の誕生を映画ファンのみなさんにお知らせします。 池松壮亮コメント 今作を共に創り上げた冨永監督とキャストスタッフと共に、この素晴らしい作品を届けることができることを誇りに思います。 時代の移ろいの間に、沈黙や静寂の隙間に、人生の隙間に、音楽があること。映画があることをこの作品は言葉よりも雄弁に、優雅に、独創的に、時にユーモアを交えて語ってくれます。是非映画館で浸って、酔いしれて、心の隙間を埋めてもらえることを願っています。 この世界には音楽や映画によって埋められる何かがあると信じています。 「白鍵と黒鍵の間に」 出演:池松壮亮 原作:南博「白鍵と黒鍵の間に」(小学館文庫刊) 監督:冨永昌敬 脚本:冨永昌敬、高橋知由 音楽:魚返明未 製作:大熊一成、太田和宏、甲斐真樹、佐藤央、前信介、澤將晃 プロデューサー:横山蘭平 アソシエイト・プロデューサー:白川直人、寺田悠輔 ライン・プロデューサー:荒木孝眞 撮影:三村和弘 照明:中村晋平 録音:山本タカアキ 美術:仲前智治 装飾:須坂文昭 ヘアメイクデザイン:西村佳苗子 助監督:久保朝洋 制作担当:中村哲也 スクリプター:押田智子 編集:堀切基和 仕上担当:田巻源太 エンディング音楽:南博 宣伝プロデューサー:小口心平 製作幹事:ポニーキャニオン、スタイルジャム 制作プロダクション:東京テアトル、スタイルジャム 制作協力:ARAKINC. 配給:東京テアトル 製作:「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会 ©2023 南博/小学館/「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会
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「Girl/ガール」のルーカス・ドン監督が、親密な少年ふたりの物語を描き、第75回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞や第95回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートなど全世界で47受賞104ノミネートを果たした「CLOSE/クロース」が、7月14日(金)より全国公開。少年たちの悲劇を予感させる特報が到着した。 新鋭ルーカス・ドンが、学校という社会の縮図でかつての自分が直面した葛藤や不安を投影し、思春期の始まりを瑞々しく繊細に描いた本作。「感情を揺さぶるあまりの強さに打ちのめされた」(Screen)、「涙なしでは見られない傑作」(Los Angeles Times)といった賛辞が寄せられ、A24が北米配給権を獲得した。大親友の主人公レオとレミをそれぞれ演じるエデン・ダンブリンとグスタフ・ドゥ・ワエルは、ともにこれが俳優デビュー作となる。 特報で映し出されるのは、田園を笑顔で駆けるレオとレミ。この先ずっと一緒だと思っていたが──最後に現れるのは「永遠を壊したのは、僕。」の文字。彼らに待ち受ける衝撃の運命に注目だ。 © Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022 配給:クロックワークス、STAR CHANNEL MOVIES ▶︎ カンヌ国際映画祭グランプリ。親密な少年たちの葛藤劇「CLOSE/クロース」
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ロシアがウクライナに侵攻して間もない2022年3月、リトアニア出身のマンタス・クヴェダラヴィチウス監督が東部ドネツク州の激戦地マリウポリで、廃墟と化した街や教会の地下で助け合いながら生きる人々を捉えた「マリウポリ 7日間の記録」が、4月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。現地で親ロシア派勢力に殺害された監督の意志を継ぎ、映画を完成させたプロデューサーの一人であるナディア・トリンチェフのメッセージ、ならびにフリーアナウンサーの久米宏、戦場カメラマンの渡部陽一、ジャーナリストの江川紹子ら著名人のコメントが到着した。 プロデューサーのナディア・トリンチェフからのメッセージ 「マリウポリ 7日間の記録」が日本で劇場公開されることを大変嬉しく誇りに思います。ニュースや忙しい日常から離れ、時間を割いても、この映画を劇場で見て欲しいのです。ニュースで目にしていても、一緒に寄り添うことができない人々の生活を共感するためにマンタス・クヴェダラヴィチウスが試みたのは、人々と共に暮らし、彼らの人生を分かち合うことでした。そうすることで、私たち観客は、感情的に親密に他人を知ることができるのです。マンタスは本作の撮影中、昨年、ウクライナのドンバスで命を落としました。この映画は普遍的なアプローチだと思います。日本の皆さんもそう感じて、本作を愛していただければ幸いです。マンタスは世界中の皆の記憶に残るでしょう。日本は、彼にとっても私たちにとっても親愛なる国です。日本で本作を公開いただき有難うございます。 〈著名人コメント〉(50音順・敬称略) 爆撃の音が鳴り続け、窓からの景色は一変する。“暮らしてきた街が戦場になる”という事の残酷さをリアルに映し出す傑作ドキュメンタリー。目に焼き付けるべし! ──赤ペン瀧川(映画プレゼンター) 子どもの頃に祖父母から聞いた、瓦礫の道端に死体が並ぶ日常の話。それがここにある。 絶え間ない爆音、避難所のささやき声、小鳥のさえずり。しかし全編は意外なほど沈黙に包まれている。 教会の屋根の十字架が、砲撃から人々を護ろうとする避雷針に見えた。 ──石坂健治(東京国際映画祭シニア・プログラマー/日本映画大学教授) 戦地と化した住宅地の、筋書きのない日常を圧倒的なリアリティで映し出す。見ている間、自分がまるで彼の地を訪れているような錯覚に陥る。何十年も働いて築いた生活が破壊され、その後も命の危機が続く。その怖さと絶望感と慣れが、肌身に迫ってくる。こうした日々が7日間ではなく、もう1年も続いているなんて、なんて残酷なことか! ──江川紹子(ジャーナリスト) 最後にマリウポリに行ったのは2013年。港から見たアゾフ海に浮かぶ月に心奪われたのが昨日のことのようです。2022年、その町はこの世の地獄と化します。ロシアによるウクライナ侵略、その真実がこの映画にはあります。 ──岡部芳彦(ウクライナ研究会会長) 戦場だが、戦闘が視野に入ることはない。 ミサイルの音が飛びかうなか、淡々とつづく日常生活。 ニュースでは報道されない、ウクライナ戦争の本当の怖さがここにある。 ──金子遊(批評家・多摩美術大学准教授) 至近距離での爆発音 画面を見ている我々はとても驚く 遠くの爆発音は絶え間ない 鳥や犬はずっと啼いている 人間達も話しているが ロシアやプーチンへの恨み言はない この作品のカメラマン兼監督は 去年の3月30日に殺害された ──久米宏(フリーアナウンサー) ロシア軍の激しい攻撃に晒されたマリウポリ。夜明けごとに空爆の響きが近づいてくる日々の中、何とか生き残る術を工夫して生を享受する市民たち。そんな死に直面しながらも逞しく生きる彼らの姿を、キャメラは一切の説明抜きでひたすら記録することで、ロシアによる侵略戦争の不条理さを見事に浮き彫りにする。監督自身がこの撮影直後に親ロシア派勢力に拘束され殺害されたことを知ると、何ともやるせない感情が込み上げてくる。 ──村山匡一郎(映画評論家) 破壊された町、絶えることのない砲撃音。本格侵略戦争勃発直後の町と人々の姿を定点観測した本作の価値は計り知れず、殉死した監督の遺志を継ぐためにも、私たちは作品を通じて廃墟と瓦礫に身を置き、戦争を我が事としなければならない。 ──矢田部吉彦(映画祭プログラマー/映画プロデューサー) ウクライナ取材で繰り返し目にした“SAVE Mariupol”のメッセージ。この作品の意志があの言葉に重なることを確信しました。戦場という日常がここにあります。 ──渡部陽一(戦場カメラマン) © 2022 EXTIMACY FILMS, STUDIO ULJANA KIM, EASY RIDERS FILMS, TWENTY TWENTY VISION 配給:オデッサ・エンタテインメント、TOMORROW Films. ▶︎ ウクライナの惨状を伝える。亡き監督の遺志を継いで完成させた「マリウポリ 7日間の記録」
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北アイルランドの “分断された街” ベルファストにあるホーリークロス男子小学校で、ケヴィン校長と子どもたちが行っている〈対話〉の授業を捉えたドキュメンタリー「ぼくたちの哲学教室」が、5月27日(土)よりユーロスペースほかで全国順次公開。予告編とピーターバラカン氏のコメントが到着した。 プロテスタントとカトリックの両勢力が対立してきたベルファストの街で、新たな憎しみの連鎖を生まないために何ができるのか? 哲学的思考と対話で解決しようとするケヴィン校⻑が、ユーモアと威厳を持って行う授業、そして向き合う子どもたちの表情が実に印象的だ。 ピーター・バラカン氏(ブロードキャスター)コメント ベルファストといえば、約30年にわたって内戦に近い状態が続いた街。 あれから更に20年以上経ってもしこりが残る環境で育つ子供たちの心はなかなか穏やかになりにくいはずです。ケヴィン校⻑が小学生の男の子たちに施している極めて貴重な教育は次世代の感性に深い影響を及ぼすと思います。このような教え方は全世界で取り入れる価値が大いにあります。 © Soilsiú Films, Aisling Productions, Clin d’oeil films, Zadig Productions,MMXXI 配給:doodler ▶︎ 北アイルランド・ベルファストの子どもたちと校長の〈対話〉の授業。「ぼくたちの哲学教室」