はから始まるものでの検索結果

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  •   伝説の老兵が〈ツルハシ1本〉と〈折れない心=SISU〉を武器に、ナチス戦車隊をたった一人で血祭りに上げていく──。ヤルマリ・ヘランダー監督(「レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース」「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」)の新作であり、2022年シッチェス・カタロニア国際映画祭ファンタスティック・コンペティション部門で最優秀作品賞など4部門を受賞したバイオレンスアクション「SISU/シス 不死身の男」が、10月27(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかで全国公開。『殺し屋1』『ホムンクルス』などで知られる漫画家・山本英夫のイラストと、著名人のコメントが到着した。   ©山本英夫   イラストは、主人公アアタミが荒野で縛り首になる絶体絶命のシーン。だが目は死んでいない。どんな方法で脱出するのか?   〈コメント〉 (五十音順) タイトルに偽りなし!不死身すぎると笑えるんですね。 ──石野卓球(電気グルーヴ) 多勢に無勢、孤立無援、四面楚歌?。こうした事態は社会を生き抜くうえで何度でも遭遇する。だが、そんなときはこの漢を思いだせ。彼はアクション映画の中だけの幻像ではない。世の理不尽や困難と対峙するとき、キミを奮い立たせる不撓不屈のシンボルなだ。 ──尾﨑一男/映画評論家・映画史家 鉛色の空、乾いた荒野、戦にくたびれきった人びと……圧倒的な殺風景の中で繰り広げられる、不屈の老戦士による大活劇! 何から何まで我が好みにバッチリで、最後の最後まで血湧き肉躍りつつ浸りきりました。 ──春日太一/時代劇研究家 ラップランドに舞い降りた伝説の戦士は、その身一つで命を繋ぎ、唸り声一つでナチスを撃退する。こんなコスパのいい不死身男の前ではハリウッド映画のタフガイたちも形無しだ。いやぁー、参った!!! ──清藤秀人/映画ライター マッハの如くスピーディに駆け抜ける極上の時間。痛快に次ぐ痛痛快快の繰り返し。脳内には最高級御ムービーの残像が鮮明に蠢き、洗われた華奢なワタクシの身体を泥で汚したくなるのです。究極のオスたる姿を前頭葉に貼り付けられ次第。 MAXの生命力を是非是非!御LOOKご堪能!マナコから入力し脳内に蓄積されよ。マジおもろっ❤︎ ──くっきー!(野性爆弾)/芸人 災難に遭遇したといえるのは、どっちなのか⁉︎ 数と武力に勝るナチス軍の慢心と油断が、北欧の偉大なる〝SISU(不屈の精神)〟を目覚めさせてしまった! 彼こそがツルハシ一本で地獄の底から這い上がる戦場の死神。狙われたが最後、墓標のごとく死亡フラグが立ちまくる…(泣) ナチス軍の視点で観るならば、本作は紛れもなくホラー映画だ! ──こがけん/芸人 乾いた大地、渇いた男たち。焦土と化した街、燃え尽きた男たち。もはやこれは戦争映画ではない。恐ろしくクールな男たちの闘いのMADな挽歌。不死身のジジイのランボーを凌ぐ闘いのアイデアの数々!このシスをプレイヤーにしてゲームを創りたいくらい!これは超お薦め! 君もシスれ! ──小島秀夫/ゲームクリエイター 「あきらめない」。そのことの重要性を教えてくれる映画は、いかなる作品であろうと本質的に尊い。極めて真摯に誠実に撮られた『SISU』は、ピッケル担いだ髭のじじいの姿を通して人生の真実を垣間見せてくれるのである。あきらめるな! くたばるな!戦え! ──高橋ヨシキ/映画評論家・アートディレクター・サタニスト シスのは奴らだ! あきらかにバラ(殺)スメント抵触の快感殺戮ムービー、ジジイのツルハシもビンビンの現役硬度とおみうけしたが、如何? ──滝本誠/映画老人 このおじいさんが「SISU」か、と観始めました。 ナチスドイツが、ヨーロッパを侵略していく中で、自然と正義はこちらにあって、いつのまにか応援していました。 世知辛く、生きづらい現代に、生き抜く強さを教えてくれる作品。これから、歳を重ねて「SISU」になります。 ──棚橋弘至/新日本プロレス所属プロレスラー 私的今年の流行語大賞、SISUで決まり! もうシスってなんだ?っていわせない。こんなに崇高な魂、ほかにない。 私まで偉業を成し遂げたみたいな快感と達成感。自分の中に眠るSISU、スクリーンで覚醒させちゃってください。痺れた! ──東紗友美/映画ソムリエ 古今東西、『眼下の敵』のように戦場を舞台にした気骨ある男同士の闘い、或いは、『北国の帝王』のように屈強なおっさんVSおっさんを描いた映画にはハズレがない。さらに、かつて最強と恐れられた“おやじ”を描いた映画にもハズレがない。本作は斯様な作品群のハイブリッドだ! ──松崎健夫/映画評論家 〝不死身〟とは、なんぞや? その答えは、この映画にはありません・・・ 〝不死身〟とは、面白い! が、あり。 余計な回想シーン無し、想いにふける暇なし、 ただただ不死身っぷりを目撃せよ! ──山本英夫/漫画家 あのシスの暗黒卿も裸足で逃げ出す圧倒的なパワーと存在感 この北欧の老兵は戦争映画の常識すら変えてしまった ──渡辺麻紀/映画ライター     Story 第二次世界大戦末期の1944年、ソ連に侵攻され、ナチス・ドイツに国土を焼き尽くされたフィンランド。金塊を掘り当てた老兵アアタミ・コルピは、愛犬ウッコを連れて荒野を旅する中で、ブルーノ・ヘルドルフ中尉率いるナチスの戦車隊に遭遇してしまう。それでも〈ツルハシ1本〉と〈折れない心=SISU〉を武器に、機銃掃射を浴びても、地雷原に追い込まれても、縛り首にあっても、死ぬことなく立ち向かっていく。アアタミの目的地とは?   「SISU/シス 不死身の男」 監督・脚本:ヤルマリ・ヘランダー 出演:ヨルマ・トンミラ、アクセル・ヘニー、ジャック・ドゥーラン、ミモサ・ヴィッラモ、オンニ・トンミラ 2022年/フィンランド/カラー/シネスコ/5.1ch/フィンランド語、英語/字幕翻訳:佐藤恵子/原題:SISU/91分/R15+ 配給:ハピネットファントム・スタジオ © 2022 FREEZING POINT OY AND IMMORTAL SISU UK LTD. ALL RIGHTS RESERVED. 公式サイト:https://happinet-phantom.com/sisu/
  •   年に一度のヘアコンテストで起きたカリスマ美容師変死事件。そこから巻き起こる周辺人物たちの混乱と真相究明劇を描いたワンショット・ミステリー「メドゥーサ デラックス」が、10月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開される。     同作でヘアスタイリングを手掛けたのは、30年間もパリ・コレクションなど世界の第一線で活躍するユージン・スレイマン。《人生の秘訣》をめぐる彼のメッセージが到着した。   すごく軽く捉えてよい、楽しめばよい、ということを伝えたいです。 美容師の方も、そうでない方も、常に人生を楽しんで、実験をして、 シリアスに捉え過ぎずに、楽しむことが大切。それに尽きます。 ヘアは、自分にとっては人生です。 皆さんにとって、自分の人生の旅をすること、楽しむこと、実験すること、 遊び心を忘れないことを大切にしてほしいです。 ──ユージン・スレイマン     Story ヘアコンテスト開始直前、優勝候補と目されたスター美容師のモスカが、頭皮を切り取られた変死体で発見される。会場にいたのはライバル美容師3人と、それぞれが担当するモデル4人。彼らは主催者やモスカの恋人、警備員を巻き込み、事件と人間関係をめぐる噂を囁き始める。 「私たちの中に殺人鬼が潜んでいるのかも」「モスカは報いを受けるべきだった」「彼女はコンテストに勝つため不正を働いている」「あなたが殺したの?」 観客は事件を捜査する探偵さながら、一同の話に耳を傾けることに──。   「メドゥーサ デラックス」 監督:トーマス・ハーディマン 撮影:ロビー・ライアン ヘアスタイリング:ユージン・スレイマン 音楽:コアレス 出演:アニタ・ジョイ・ウワジェ、クレア・パーキンス、ダレル・ドゥシルバ、デブリス・スティーブンソン、ハリエット・ウェッブ、カエ・アレキサンダー、ルーク・パスカリーノ 原題:MEDUSA DELUXE/2022/イギリス/英語/101分/1.33:1/5.1ch/日本語字幕:金関いな/後援:ブリティッシュ・カウンシル/配給・宣伝:セテラ・インターナショナル/宣伝協力:伊藤麻衣子 © UME15 Limited, The British Film Institute and British Broadcasting Corporation 2021 www.cetera.co.jp/medusadeluxe
  •   作家のエマ・ベッケルが素性を隠して高級娼館に潜入した2年間を綴り、賛否両論を巻き起こしたベストセラー小説『La Maison』を映画化した「ラ・メゾン 小説家と娼婦」が、12月29日(金)より新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国公開。本ポスター、本予告映像、場面写真が到着した。     フランスからベルリンに移り住んだ27才の小説家エマは、娼婦たちに興味を抱く。そして彼女らの実情を知るため、大胆にも高級娼館〈ラ・メゾン〉に娼婦として潜入。危険と隣り合わせの日常、孤独や恋愛の尽きない悩み……。そこでの日々は発見に溢れ、2週間だけ体験するつもりが、2年の月日が流れていた。その先にエマが見るものは──。     エマを演じるのは、小栗康平監督「FOUJITA」(15)やセドリック・クラピッシュ監督「パリのどこかで、あなたと」(19)の女優であり、ファッションモデルとしても注目のアナ・ジラルド。パリの老舗キャバレー〈クレイジーホース〉で2ヵ月トレーニングして、今回の撮影に臨んだ。 監督は「ワンダーボーイ」(19)で知られ、女優としても活躍するアニッサ・ボンヌフォン。「女性が自分の身体をコントロールする権利、つまりはセクシュアリティをコントロールする権利が今、問われている。この映画の舞台が売春であるならば、真のテーマは女性のセクシュアリティと欲望である。だからこそ、『ラ・メゾン 小説家と娼婦』のような映画は、今日、強い共感を呼んでいるのだと思います」とコメントしている。 アナ・ジラルドとアニッサ・ボンヌフォン監督は、プロモーションで来日することが決定。夜の世界のリアルに迫った挑発的ドラマに目を奪われる。     「ラ・メゾン 小説家と娼婦」 監督:アニッサ・ボンヌフォン 原作:「La Maison」エマ・ベッケル著 出演:アナ・ジラルド、オーレ・アッティカ、ロッシ・デ・パルマ、ヤニック・レニエ、フィリップ・リボット、ジーナ・ヒメネス、ニキータ・ベルッチ 2022年/フランス、ベルギー/フランス語、英語、ドイツ語/89分/カラー/1:2.35/5.1ch/原題:La Maison/字幕翻訳:安本熙生 /R-18/配給:シンカ © RADAR FILMS - REZO PRODUCTIONS - UMEDIA - CARL HIRSCHMANN - STELLA MARIS PICTURES ※本作は “French Cinema Season in Japan” の一環として、ユニフランスの支援を受けて公開される 公式HP:https://synca.jp/lamaison/
  • 10月13日(金)より全国で公開される塩田明彦監督「春画先生」は、江戸文化の一大エンタテインメント・春画をテーマに、その世界に魅せられたおかしな者たちを描く“偏愛コメディ”。春画の登場人物は、デフォルメされた巨大な性器を誇示しながら男女があるいは同性、ときには人間ではないものまで快楽に耽っている。そこからあふれ出る感情、生命力──そんな世界観を映画で表現する離れ業に成功した塩田監督に、性愛と映画、映画と春画の関係、エロスとユーモア……などについて、じっくりと話を聞いた。 女性の1人で立っている強さ/絶対に諦めない強さ 取材冒頭、不躾とは知りつつも「監督が映画で性愛を描く理由とは何か?」といきなり直球の質問をしてみると、「性愛だけを描いてきたわけではないけれど……」と前置きしたうえで話し始める。 「実は、『もしかすると自分は性愛を描くのが得意かもしれない』というのは何となく最初から気が付いていました。実際、プロとして初めて発表した作品が『露出狂の女』(96)(注:平凡な主婦がある日、露出狂の同人誌を目にする。その出来事をきっかけに露出癖が開花。底なしの快楽に身を委ねていく)というオリジナルビデオで、劇場デビューが『月光の囁き』(注:想いを寄せ合う高校生二人の交際が、加虐/被虐の倒錯的性愛に転じていく)ですからね。だからといって、エロティックムービーやポルノ映画が好きでたまらない人間でもない。純粋に人と人が絶妙な駆け引きをして、お互いに影響を与え合い、それがねじ曲がった方向に進んでいくような話が好きなんですね」 さらに、これまでの作品を振り返りながら、自身の傾向についてもこう分析する。 「あまり認めたくはないけれど、一貫しているのは、谷崎潤一郎的な意味での“寝取られ”を描いていること。仕掛ける側と仕掛けられる側の双方が楽しみながら困っている状況が好きなんでしょうね(笑)。それをコンセプトごとに、いろんなバリエーションで描いてきました。『月光の囁き』は青春映画なので10代の男女が感じる戸惑いや快楽の手前の痛みを生々しく見せ、『春画先生』はもっと大人の話なのでプレイの印象をより強く出す。春画では影を描かないとされているので、そんなふうに闇のない底抜けに明るい世界のなかでだんだん歪んでいく様子を見せることにしました。それから僕の作品に多く登場するのは、強い女性たち。といっても、『害虫』(02)のように風に吹かれても1人で立っている強さと今回のように絶対に諦めない強さ、女性の強さにもそれぞれ違いがあるんですけども。様々な強さが、様々なグラデーションで描かれるとき、女性はより魅力的にみえてくるという感触があります」 絶妙なハッピーエンドと、エロスとユーモアのバランス では、そういった塩田監督の趣味嗜好は、一体どのように形成されていったのか。その原点を探るために、自身の好きな恋愛映画を挙げてもらうことにした。 「20代と30代は恋愛映画をよく観ていましたが、そのなかでも大学生の頃にリバイバル上映を何度も観に行ったのはロベール・ブレッソン監督の『白夜』(71)です。主人公は、人付き合いが苦手な画家の男と待ち人が来なくて自殺をしようとしている女。パリにある橋・ポンヌフで出会い、2人は距離を縮めていく。そして、『あなたのことを愛せるかもしれない』と女が言った瞬間に待ち人が現れて、男が振られてしまう話です。この作品が僕の恋愛映画の描き方に影響を与えているのか、自分ではわからないですが、そういうところもあるのかなとは感じています」 そのほかに挙がったのは、フランソワ・トリュフォー監督の「隣の女」(81)(注:妻と息子をもち平凡な生活を送っていた男と、偶然彼の隣に引越して来た昔の恋人との激しい恋と葛藤を描く)や増村保造監督の「曽根崎心中」(81)(注:商人の徳兵衛と遊女・お初。結ばれることを言い交わした二人の恋路は、幾多の障害に阻まれついには心中に至る)。失恋と心中ばかりの作品が並んだため、「気が付くとハッピーエンドではない映画を好きになってしまうのか?」と笑っていたが、「めぐり逢い」(57)や「サムシング・ワイルド」(86)(注:ジョナサン・デミ監督。若きエリート、チャーリーの前途洋々たる人生が、ある一人の女の出現で狂っていく)といった祝福感に満ちた終わり方をする作品も実は好きだと話す。しかし、作り手としては、ハッピーエンドのほうが難しいという。 「世の中のあらゆる恋愛を数値化することは不可能とはいえ、うまくいく恋愛よりも、おそらくうまくいかない恋愛のほうが多い。それだけに、ハッピーエンドを描くにはある種の開き直りと技が必要となります。恋愛映画を作るときは、作り手の感情が乗っていないと絶対に成功しないので、本当にその恋愛が成就して欲しいと思って取り組むことが大事です」 妻に先立たれた変わり者の研究者と退屈な日々を過ごしていた女性を中心に繰り広げられる偏愛を描いた「春画先生」では、絶妙なハッピーエンドを目指したというが、エロスとユーモアのバランスもまた絶妙。「極めて悪質で卑猥なもの」と言われ続けてきた春画をテーマにしているにもかかわらず、性描写において観る者に嫌悪感を与えることはない。複数人でのプレイや同性同士の触れ合い、さらに通話中のスマホを額に巻きつけてセックスをするシーンなど、ときにはリアリティがないと感じる描写でさえも本作では何の躊躇もなく受け入れることができる。そこには、塩田監督なりの恋愛映画における性愛の描き方へのこだわりもあるという。 「肉体を露出しない画(え)を撮るときには、エロティシズムが匂い立つような努力をし、露出しているときにはエロいだけではないものが見えてこなきゃいけないと考えています。『風に濡れた女』では『あんな派手にされたらまったくエロくねえよ!』といったおじさんたちの不満も聞かされましたが、僕としては『人間の肉体って素晴らしい』という躍動感と爽やかさのある“ラブバトル”に至りたかった。そして、『春画先生』においても、女性の胸をエロティックなものとして描くのではなく、当たり前にある人間の身体として見せたかったので、そこの描き分けはかなり意識的にしています」 隠すことで出るエロス、見せることで消すエロス その背景には、海外とは異なる道のりをたどってきた日本映画ならではのエロティシズム文化の違いもあると付け加える。 「70年代以降のヨーロッパ映画では裸もヘアも普通に出ていて、それが生活の情景として当然のように映し出されていました。それに対して日本は『あれもこれも見せちゃいけない』という制限があるがゆえに、世界に冠たるエロティシズム表現が発達してきたわけです。それはそれで素晴らしい文化ではありますが、人間を描く幅の広さという点において、僕ら世代は海外への憧れがありました。『春画先生』では、“隠すことで出るエロス”と“見せることで消すエロス”をそれぞれ細かく分けて描いていますが、そこがどこまで観る方に伝わるのかは気になるところです」 これまで我が道を歩んでいるように見える塩田監督だが、それでもいまの時代に恋愛映画を撮る難しさを感じていると明かす。 「映画はこれまで様々に倒錯的だったり普通じゃなかったりする欲望や感情を描いてきましたけど、最近はそういうことのはるか手前で、他人の想像力を罰したいらしい人が増えていますよね。でも、たとえば不倫は社会的にアウトとされていますが、映画としてはそこに踏み出してしまう愚かさや決断にドラマがある。つまり、世の中の価値基準、倫理基準とは違うものを提示して物語を語ることこそ、映画の面白さでもあるのです。あるいは、年齢や社会的地位などの権力差がある状態で出会った登場人物たちが物語とともに立場が逆転していくというのは1つのパターンですが、いまの世論では『権力関係があるのはダメ!』とされてしまいます。でも、年齢や社会的地位を消しても、そこには必ず権力差は残ります。その現実に目を瞑って、綺麗事のなかにある人間関係の理想を語っても、それでは人間を描いたことにはなりません。恋愛映画に限ったことではないですが、映画館にいるときだけは世の中の価値観や倫理観から一旦外れてみましょうよと。そうすることで見えてくることもありますし、僕は善悪の彼岸から世界をみつめることが芸能の本質だと思っています」 取材・文=志村昌美   しおた・あきひこ/1961年生まれ、京都府舞鶴市出身。99年、「月光の囁き」「どこまでもいこう」がロカルノ国際映画祭に正式出品後、二作同時公開。高い評価を得る。2001年、宮﨑あおい主演「害虫」がヴェネチア国際映画祭現代映画コンペティション部門(現・オリゾンティ部門)出品の後、ナント三大陸映画祭審査員特別賞・主演女優賞を受賞。03年には「黄泉がえり」がロングランヒットとなる。05年、「カナリア」がレインダンス映画祭グランプリ。07年には「どろろ」が大ヒットを記録した。近作は「抱きしめたい・真実の物語」(14)「昼も夜も」(14)「風に濡れた女」(16、ロカルノ国際映画祭若手審査員賞)、「さよならくちびる」(19)「麻希のいる世界」(22)。著書に『映画術・その演出はなぜ心をつかむのか』がある。   映画「春画先生」──小室直子プロデューサーが語る、春画と「春画先生」の関係  2015 年に東京・永青文庫で催された『春画展』で、小室プロデューサーはその魅力に打ちのめされた。ユーモアをもって人の性を笑い、生命の根源を面白おかしく、表情豊かに描く。そんな春画の世界には、人間の感情や生命力を描くことへの圧倒的熱量がある。それを映画というかたちで表現できないか──そう小室は考えた。 ──まず、春画をテーマに映画をつくろうと思った理由を、聞かせてください。 小室 2015年の『春画展』で観た春画は、男性の性的な視線に向けて刺激を売るというような類のものではなく、女性と男性が、あるいは同性同士だってそれぞれ平等に、性愛の喜びを享受していました。そして芸術として扱われてこなかったことが不思議なほどのクオリティ。その面白さを映画で伝え、春画への関心を広げることが出来れば……それが春画にまつわる映画を作ってみたいと思った理由です。 ──塩田監督とのコンビは、「風に濡れた女」(16)に続く二本目になります。 小室 『春画展』を見に行ったのは、「風に濡れた女」の撮影が終わった後でした。「風に濡れた女」は、「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」という企画枠の制作で、できるだけ監督たちの創作の自由度が高いように現代のロマンポルノを制作するというものでした。塩田監督は、そこで今まで他の作品で見せたことのない、ユーモアのセンス溢れる作品を作りあげました。それを生かせば、“笑い絵”とも言われる春画をモチーフにした映画を作れるのではないかと思い、声をかけました。 塩田監督のオリジナルの作家性にはいつも驚嘆してきました。私が関わっていた京都国際学生映画祭で「どこまでもいこう」(99)を上映して以来、塩田さんの作品には強く惹かれ続けています。 ──塩田映画で描かれる女性像についてはどうでしょう? 小室 塩田さんの口からたびたび出てきたのは、増村保造監督の名前ですね。制作スタッフや俳優部へのリファレンスとして「青空娘」(57)や「暖流」(57)が上がって、若尾文子や左幸子みたいな意志の塊で突っ走る、強い視線を持ったヒロインを作りたいんだと感じていました。 ──実際に映画を見た方たちからは、どのような反応が出ていますか。 小室 春画に詳しい何人かの人たちに、映画を見てもらったんです。そうしたら、「この映画自体が、春画の笑いやバカバカしさを現代に移して、そのままやったんだよね」と言われまして。塩田監督も私も、実はそう思って作っていました。「大っぴらには見せてはいけないと思いこまされている表現を、とことん真面目に面白おかしくやる!」と春画の精神に倣ったわけです。 ──「春画先生」の精神は、江戸時代の春画制作につながっていると。 小室 はい。江戸時代の木版画浮世絵制作としての春画は映画・映像で性をテーマにする作品制作の先輩みたいだって、勝手に思っているんです。版元=プロデューサーがいて、絵師、彫師、摺師のスタッフが組織され、共同創作作業で商業的に製作される行程は映画制作と似ています。それと、一般作品ではなく、表では隠さなければいけないけれど、ほとんどの人間が人生の中で行う大切なセックスという日常的な行為、それに伴う人間的な強い想像や妄想。それを表現することに全力に真面目に挑んでいるところが、同じではないかなと。 この映画に資料を提供していただいた、美術商の浦上蒼穹堂の浦上満さんからのコメントも、興味深かったですね。「徳川幕府は、黒船で来航したペリーに春画を贈っています。それは、幕府が春画はめでたいものと考えていたからです。江戸時代は、老若男女とも春画を楽しんでいました。解釈の仕方は自由。みなさんもこの映画を楽しんでください」。 ペリーの使節団は、日本人はケシカラン民族だと思ったわけです。それで国際的国家になるために明治時代に政府は春画などの性的風俗を厳しく取締り、その流れで現在の我々の倫理感というか規範が出来上がってきたんだと思います。そのことがこの作品の根幹になっていますので、ペリー的に、あるいは幕府的に見るか、両方の視点からなのか、様々に作品を捉えていただければと思います。 ──もうひとつ、11月24日にはこちらも小室さんがプロデュースしたドキュメンタリー「春の画 SHUNGA」が公開されます。 小室 「春画先生」の企画を進める中で、別のかたちで春画の多様で奥深い魅力を伝えたいと思うようになって、「春の画 SHUNGA」を制作しました。それと、本作の公開に関連したひとつの試みとして、上映館のシネスイッチ銀座さんが経営するギャラリーアートハウスで、『銀座の小さな春画展』を開催するんです。春画をモチーフにしたふたつの映画が、普段それほど映画を見ない人たちにまで広がる。そのきっかけになればと考えています。 取材・文=編集部 こむろ・なおこ 1997年~2002年京都国際学生映画祭事務局運営に携わり、日活を経て2018年よりカルチュア・エンタテインメント カルチュア・パブリッシャーズ所属。主なプロデュース作品に「風に濡れた女」(16)「海を駆ける」(18)「フジコ・ヘミングの時間」(18)「先生、私の隣に座っていただけませんか?」(21)「あちらにいる鬼」(22)「658km、陽子の旅」(23)などがある   「春画先生」 江戸文化の裏の華、“笑い絵”とも呼ばれた大エンタテインメント・春画。妻に先立たれ世捨て人的な生活を送る芳賀一郎は、その研究に憑かれていた。その“春画先生”こと芳賀に出逢った春野弓子は、春画のあやしい世界にとらわれ、同時に彼に恋心を抱くようになる。そこに芳賀の執筆による『春画大全』の完成を急ぐ編集者・辻村や、芳賀の亡き妻の姉、一葉が加わり、彼・彼女らが織りなす性愛は、珍妙な文様を描いていく──。 ●原作・監督・脚本:塩田明彦 ●撮影:芦澤明子 ●照明:永田英則 ●美術:安宅紀史 ●録音:郡弘道 ●音楽:ゲイリー芦屋  ●出演:内野聖陽、北香那、柄本佑、白川和子、安達祐実  ●配給:ハピネットファントム・スタジオ ◎10月13日(金)より全国にて (C)2023「春画先生」製作委員会 ▶公式サイトはコチラ    
  •   デンゼル・ワシントン演じる元CIAトップエージェントのロバート・マッコールが、悪を抹消する闇の請負人 “イコライザー” として暗躍する姿を描いたシリーズの最終章「イコライザー THE FINAL」が、10月6日より全国公開。「マイ・ボディガード」(2004)以来19年ぶりに共演したデンゼルとダコタ・ファニングにフォーカスした特別映像が到着した。     CIA捜査官エマ・コリンズを演じるダコタ。デンゼルの娘と仲が良く、デンゼルとは「マイ・ボディガード」以来ずっと連絡を取り合っているという。久々の共演に喜びを溢れさせた。 「(「マイ・ボディガード」での共演から)ほぼ20年が経っています。私は子供でした。でもあれは忘れるような経験ではありません。そして再び彼と仕事をするのはとても面白かったですね。二度目も同じように感じました。つまり私の体が同じ感覚を覚えたのです。それは何年も前に感じた感覚で、今でも覚えています。例えば興奮や少しばかりの緊張、できるだけ準備しておきたいという意欲です。彼は間違いなく、常に張り詰めた気持ちにさせる俳優です」 「私のお気に入りの瞬間が、デンゼルと一緒だったシーンなのは確実です。彼はいつも私によくしてくれるし、親切です。これほど長い間、私を知ってくれているので絆があると感じています。2人で話したり、近況を報告し合ったりするようになった、それもイタリアでです。私はそんな瞬間が気に入りました。大抵の人は一度は彼と働くのが夢でしょう。私の人生では異なる段階で二度、彼と仕事ができて、それは本当にご褒美でした」     特別映像ではアントワーン・フークア監督が「デンゼルとダコタの共演は楽しかった」と振り返り、ダコタも「デンゼルと再共演したかった。何が何でもね。夢が叶った!」と興奮気味にコメント。デンゼルは照れ隠しで「本当か? “私の役だ” と確信してただろ」と茶化すなど、雰囲気の良さが伝わる。 マッコールの知られざる過去に関係するエマ、その正体とは? ダコタの新たな魅力をスクリーンで確かめたい。     Story シチリアの事件で負傷し、肉体も精神も限界に達したマッコール。アマルフィ海岸の田舎町に辿り着き引退を決意、そこで穏やかに余生を送るはずだった。 しかしそこにも悪の手が迫り、よそ者の自分に優しく接してくれた人々が凄惨な被害に遭うのを見て、マッコールは “仕事” を再開。それが引き金となり、事態はイタリア全土を巻き込む爆破テロ事件へ拡大していく……。   配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント ▶︎ 「イコライザー THE FINAL」はシリーズ初のR15+。激烈ぶりを15秒予告で紹介

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