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名作が美麗に甦る〈大映4K映画祭〉、スターの声を凝縮した予告編と写真が到着
2022年11月16日大映作品より4K化した名作28本を上映する〈大映4K映画祭〉が、1月20日(金)より角川シネマ有楽町ほかで全国順次開催。スターたちが艶めく声で畳み掛ける90秒予告と、4K版初披露となる8本(増村保造監督・若尾文子主演「赤い天使」、吉村公三郎監督・山本富士子主演「夜の河」、三隅研次監督・市川雷蔵主演「斬る」「剣⻤」「剣」「大菩薩峠」シリーズ)の場面写真が到着した。 変幻自在な禁断の女・若尾文子の「私のからだ、見たいだけ見ていいのよ」(「赤い天使」より)、しなやかで媚びない女・山本富士子の「遠い所へ行っておしまいますなんて嫌どす…」(「夜の河」より)、気高い孤高の女・京マチ子の「うちがこれからどんなことしようと、なぁんにも言われることあらへん」(「赤線地帯」より)、美しさを極めた男・市川雷蔵の「わしには業がつきまとっている。わしは人の命を奪って生きる!」(「大菩薩峠」より)、豪快で繊細な男・勝新太郎の「やるからには、後へは引けませんよ」(「座頭市物語」より)。名台詞とともに紡がれる予告編が、期待を煽る。 なお映画祭の連動企画として、粒揃いの秀作・怪作・超レア作を上映する〈Road to the Masterpieces〉も、1月6日(金)より角川シネマ有楽町で開催される。こちらも注目したい。 [caption id="attachment_18031" align="aligncenter" width="850"] 「夜の河」 ©KADOKAWA1956[/caption] [caption id="attachment_18032" align="aligncenter" width="850"] 「赤い天使」 ©KADOKAWA1966[/caption] [caption id="attachment_18033" align="aligncenter" width="850"] 「大菩薩峠」 ©KADOKAWA1960[/caption] [caption id="attachment_18034" align="aligncenter" width="850"] 「斬る」 ©KADOKAWA1962[/caption] [caption id="attachment_18035" align="aligncenter" width="850"] 「剣」 ©KADOKAWA1964[/caption] [caption id="attachment_18036" align="aligncenter" width="649"] 「剣鬼」 ©KADOKAWA1965[/caption] [caption id="attachment_18037" align="aligncenter" width="850"] 「大菩薩峠 竜神の巻」 ©KADOKAWA1960[/caption] [caption id="attachment_18038" align="aligncenter" width="850"] 「大菩薩峠 完結篇」 ©KADOKAWA1961[/caption] 〈大映4K映画祭〉 1/20(金)〜角川シネマ有楽町(東京)、1/28(土)〜シネ・ヌーヴォ(大阪)ほか全国順次開催 〈Road to the Masterpieces〉 1/6(金)~角川シネマ有楽町で開催 ©KADOKAWA https://cinemakadokawa.jp/daiei-80/ -
メキシコの誘拐ビジネスに迫る「母の聖戦」、母の執念に心震える予告編
2022年11月16日メキシコの誘拐ビジネスを題材に、我が子の奪還を誓った母親の愛と執念を描いた実話ベースの物語「母の聖戦」が、1月20日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほかで全国公開。予告編が到着した。 予告編は、シングルマザーのシエロに娘が口紅を塗っている微笑ましいシーンから始まる。ところがある日突然、娘を誘拐したという若者が現れ、シエロの平和な日常は一変。犯人の要求に応じるも娘は戻らず、騙されたと知る。 誘拐ビジネスが蔓延するメキシコでは、年間10万人以上が行方不明となっており、多くの身内が泣き寝入りしている。シエロは警察や友人、別れた夫に相談するが「捜しても無駄だ」と相手にされない。それでも娘の救出を誓い、彼女はたったひとりで、凄まじい執念を燃やして危険な世界に足を踏み入れる──。 ダルデンヌ兄弟、クリスティアン・ムンジウ、ミシェル・フランコといった名監督のプロデュースにより、新鋭テオドラ・アナ・ミハイ監督が撮り上げた本作。センセーショナルで骨太な社会派ドラマに期待したい。 ©MENUETTO FILM, ONE FOR THE ROAD,LES FILMS DU FLEUVE, MOBRA FILMS&TEOREMA 配給:ハーク 配給協力:FLICKK ▶︎ 娘の奪還を誓った母! メキシコの誘拐ビジネスの闇に迫る「母の聖戦」 -
世間を騒がせた女児誘拐事件の元誘拐犯と被害女児が再会したことをきっかけに、人間関係の綻びや絆が露わになっていく様を描いた、映画「流浪の月」。本日11月16日に待望のBlu-ray&DVDが発売となった本作の魅力と、そこに込めたメッセージ性について、李相日監督に改めて伺ってみた。 寓話性と社会性の共存 2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆうの原作小説を手に取った李相日監督は、「時代の空気感をちりばめ、敢然と切り込んでいる」と物語の魅力を語る。 李監督:現代に存在する『恋愛』に括れない濃密な関係性が描かれていて、その寓話性にある種の理想形を垣間見ました。一方で、社会の価値観と向き合う側面もある。更紗がつぶやく『人は自分の見たいようにしか見ない』風潮は加速していて、一歩違うと思ってもいない形で断罪される不安感は、誰しも持っているはず。また、自分自身も偏見を持ってしまう加害者側になる可能性だってあります。寓話性と社会性、そのアンバランスさが映像にするとどのようにミックスされるのか、という期待を持ちました。 監督が本作を振り返ったとき、高揚するシーンとして一番に思い出すのは俳優陣の表情だという。”可哀想な被害女児”という虚像が独り歩きし、胸の内にさまざまな思いが渦巻いている更紗を演じたのは「怒り」(16)以来の再タッグを果たした広瀬すず。 李監督:前作で彼女の生い立ちや育ってきた環境をいろいろ聞き、彼女なら更紗に一番近づける気がしました。若いときから芸能界で活躍し、世間の視線や思い込みを浴び続けている意味でも更紗とすずは共通します。迷いながらも、身を浸してくれました。 誘拐犯であり、ある秘密を抱えた摑みどころのない文役を、松坂桃李が創り上げた。 李監督:一番寓話的だけど、肉体的な痛みを抱えている。この両極端を生身の人間に存在させるには、松坂さんの良く言えば透明感、逆を言えばどこまで行っても捉えきれない正体不明な感じが、文と合うんじゃないかと思いました。松坂さんもだいぶ模索していましたが、1シーンずつ真摯に対峙したからこそ、ラストシーンが撮れたと思います。 横浜流星は更紗への独占欲からDVを振るってしまう彼氏・亮という、これまでのイメージにない役柄を見事に演じた。 李監督:亮と更紗が笑い合うのは冒頭だけ。リハーサルでは、1年以上同棲している2人という設定で関係を構築したのに、本番では亀裂を描くのみだったので、その感情の変化に相当頭を抱えていたと思います。DVシーンは印象に残りますが、そこに行き着くまでの亮の心の揺れみたいなものを見せてくれました。 巨匠ホン・ギョンピョの力 水や月といった自然風景の美しさも映像の印象として強く残り、悲しみに差す一点の光のように、叙情感たっぷりの映像美は何度も見返したくなる。撮影監督は「パラサイト 半地下の家族」(19)、「バーニング 劇場版」(18)など韓国映画界を牽引するホン・ギョンピョが務めた。 李監督:ホンさんとは、この物語は人間の負や残酷さを描くぶん、映像は美しくなければいけないのではないかという話を最初からしていました。水面、光の差し方、風による木々やカーテンの揺れ。俳優を取り囲む自然的な要素を、役柄の心情や状況と一緒に”立体的に”映すことを全カット意識されていたので、映像に表現力が宿っています。映像から意思を感じるというか、物語の一部として存在していました。だから、撮影は綿密。夜でも、雲の表情や月が見えて暮れかかる一瞬を狙う。特に印象的なのは、自然光をベースに作り上げた部屋の中の光の扱い方や、文が湖に入っていく際の水面の波紋です。ぜひ注目してください。 極限まで関係性や感情を掘り下げ、人間が長い時間をかけて心に蓄積される”痛み”を描いてきた李監督。これまでのリアリスティックな描写と異なる温度感で痛みを捉えたことで、監督にとってどのような意味のある作品になったのか。 李監督:これまでの作品は重々しい現実を見つめていたので、掘っても掘っても、痛みしか出てこなかった(笑)。そういう表現の必要性もわかりますが、こんなにも窮屈な今に”救い”が欲しいと思いました。この作品は絶妙なバランスによって、見せかけじゃない救いが描かれている。特に2人いて初めて救済になる、というのは大きいですよね。自分で自分の魂を救済するのは限界がありますし、どうしたって癒えない傷もある。恋愛に定義できない関係性の2人が助け合う、というのが良いと思いました。はっきりと綺麗なメッセージを台詞にするのが苦手なんですが、何かしら前を向ける要素を残したいと思って撮りました。 李監督作品には必ず、物語と現実社会との接点が存在する。明確なメッセージを台詞に任せなくとも、映画から社会と繋がることで観客は地続きにあるこの世界を想うことになる。 李監督:映画は、無意識に意識を持ってもらえる唯一無二の表現なので、僕は社会とのつながりを持ったまま映画を作り続けたい。社会への正義感や使命感を第一目的に、映画を作るわけではないですが、内側にある”怒り”から目を逸らさないで、映画と自分が離れ過ぎないようにこれからも作品を作りたいです。 李相日(り・さんいる):1974年生まれ、新潟県出身。日本映画学校(現・日本映画大学)の卒業制作作品「青〜chong〜」(99)が00年PFFでグランプリを含む4部門を独占受賞し、「BORDER LINE」(02)で劇場デビュー。以降、「69 sixty nine」(04)、「スクラップ・ヘブン」(05)などを監督し、06年「フラガール」がキネマ旬報ベスト・テン日本映画作品賞ほか国内の映画賞を席巻、10年「悪人」でもキネマ旬報ベスト・テン日本映画作品賞、監督賞、脚本賞を受賞。その後も「許されざる者」(13)、「怒り」(16)など、人間の本質に迫る社会派作品を発表。 取材・文=羽佐田瑶子 制作=キネマ旬報社 https://youtu.be/uDOZfOlA4oY 「流浪の月」 ●11月16日(水)Blu-ray&DVDリリース ▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら 【GAGA★ONLINE STORE限定販売】 ●Blu-rayコレクターズ・エディション:7,480円(税込)、DVDコレクターズ・エディション:6,380円(税込) 【特典】 ・特製クリアファイル ・アウタースリーブ ・ポストカード(5枚) 【音声・映像特典】 ・オーディオ・コメンタリー(広瀬すず×松坂桃李×李 相日監督) ・予告編集 ・キャスト・スタッフ プロフィール(静止画) ・メイキング(撮影日誌) ・インタビュー集(キャスト編/スタッフ編) ・未公開シーン集 ・舞台挨拶イベント集 ・特番「エピソード0」 ※アウタースリーブ、ポストカードと映像・音声特典内容はコレクターズ・エディションと同じです。 【一般販売】 ●Blu-rayコレクターズ・エディション:7,480円(税込)、DVDコレクターズ・エディション:6,380円(税込) 【特典】 ・アウタースリーブ ・ポストカード(5枚) 【音声・映像特典】 ・オーディオ・コメンタリー(広瀬すず×松坂桃李×李 相日監督) ・予告編集 ・キャスト・スタッフ プロフィール(静止画) ・メイキング(撮影日誌) ・インタビュー集(キャスト編/スタッフ編) ・未公開シーン集 ・舞台挨拶イベント集 ・特番「エピソード0」 ●DVDスタンダード・エディション:4,180円(税込) 【音声・映像特典】 ・オーディオ・コメンタリー(広瀬すず×松坂桃李×李 相日監督) ・予告編集 ・キャスト・スタッフ プロフィール(静止画) ●2022年/日本/本編150分 ●監督・脚本:李相日、原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊) ●出演:広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、趣里、三浦貴大、白鳥玉季、増田光桜、内田也哉子、柄本 明 ●発売・販売元:ギャガ ©2022「流浪の月」製作委員会
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いま見ても古びない強度を持った日本ドラマ史に残る名作『Dr.コトー診療所』
2022年11月16日離島医療に情熱をかける医師役を吉岡秀隆が演じた人気ドラマ『Dr.コトー診療所』シリーズ。前作放送から約16年を経た今年の年末に、同シリーズ初の劇場版が公開されるのにあわせ、ディレクターズカット完全版のテレビシリーズ全作品を収録したコンプリート Blu-ray BOXが、11月16日に初リリースされる。シリーズ未見の方にはぜひ見て欲しい名作ドラマであると共に、放送当時に見ていた方も12月16日公開の劇場版を見る前に見直していただきたいため、『Dr.コトー』シリーズの魅力を改めて振り返ってみたい。 名実共にフジテレビを代表するドラマ 『Dr.コトー診療所』は、山田貴敏の同名漫画を基に連続ドラマ化され、2003年にフジテレビ系列で全11話を放送。高い評価と視聴率を得て、2004年には『Dr.コトー診療所特別編』とドラマスペシャル『Dr.コトー診療所2004』(前後編)を放送。2006年には再び連続ドラマとして『Dr.コトー診療所2006』(全11話)が放送され、第1シーズンを上回る高視聴率を獲得した。名実共にフジテレビを代表するドラマの一つであり、スタッフとキャストもシリーズ継続の意向はあったようだが、当時描きたかったテーマを描き尽くしてしまったことなどからも、今年公開の劇場版に至るまで約16年も続編が製作されず、伝説的なドラマとなっていた。 筆者も放送当時にハマって見ていたが、今回約16年ぶりに全テレビシリーズを見直してみた。医療ドラマとしても、離島の生活を描く人間ドラマとしても、深い感動を得られる優れた作品で、改めて日本のドラマ史に残る名作の一つであることを再確認すると共に、覚えているようで忘れてしまっていたことも多く、劇場版を見る前に見直して良かったと心から思えた。 優秀な外科医だった五島健助(吉岡秀隆)は、大学病院勤務時に不幸な医療事故に関わってしまい、東京から日本の最西端に近い離島・志木那島の診療所に赴任してくる。五島は村役場の民生課長の星野(小林薫)がようやく見つけた医師だったが、僻地の島にはまともな常駐医師がきたことがなく、多くの島民や星野の娘の看護師・彩佳(柴咲コウ)は五島を信用できず、診療所を訪れる島民はなかなか現れない。しかし、夜の船上で急性虫垂炎のオペを成功させたり、船で6時間以上かかる本土の病院でしかできなかった様々な難しい治療にも対応し、確かな技量と誠実な人柄が知られだすと、次第に「コトー先生」として島民から慕われるようになっていく。しかし、星野が島民に隠していたコトーの過去が、島を訪れた記者により明かされてしまい、再びコトーは島民の信用を失ってしまうが……。というのが2003年の最初の連ドラのあらすじで、原作漫画のキャラクターやエピソードの一部をうまく活かしつつも、ドラマ版オリジナルのエピソードやキャラクターも多く、ドラマとしての独自のアレンジがされた作品となっている。 俳優としての吉岡秀隆のイメージを更新し、幅を広げた当たり役 『Dr.コトー診療所』がスタートしたのはちょうど『北の国から』終了の翌年。吉岡秀隆は、黒澤明監督や山田洋次監督など錚々たる名監督の現場を経験し、幅広い作品に出演してきていたが、「男はつらいよ」シリーズで諏訪満男、『北の国から』シリーズで黒板純という当たり役を少年時代から長年演じており、特にお茶の間には純役のイメージが根強かった。しかし、コトー先生という大人になってからの新たな当たり役と出会ったことで既存のイメージを更新すると共に、俳優としての実力や魅力を広く知らしめ、役の幅も広げた。吉岡はコトー先生役を、医師として優秀だが決してスーパードクターではなく、様々な葛藤を抱えて悩み苦しみ、柔和で少し頼りなさそうでありながらも、人を救うことに強い信念を持ち、患者のために尽くす好人物として、非常に人間臭く、実在感をもって演じている。吉岡以外が演じていたら全く違う役になっただろうし、ここまで愛される作品にもならなかったかもしれない。 さらには、個性溢れる島民たちそれぞれの人間模様も大きな魅力で、その島民役を豪華な俳優たちが好演。シリーズを通した主な登場人物とキャストをあげると、気は強いが可愛げもある優秀な看護師の彩佳(柴咲コウ)、コトーを島に招いた村役場課長の星野(小林薫)、何でもこなす事務員でコトーの最大の理解者の和田(筧利夫)、不器用な生き方しかできない漁師の剛利(時任三郎)、トラブルメーカーの漁労長の重雄(泉谷しげる)、島民が集うスナックの店主の茉莉子(大塚寧々)などの他、大森南朋、蒼井優、桜井幸子、朝加真由美、千石規子、石田ゆり子、堺雅人、神木隆之介、光石研など、島民役以外も含め驚くほど豪華なキャストが揃う。島民のキャストはロケ地の与那国島に長期滞在して撮影を行っており、当時でも破格の予算がかけられていたと思われる。とにかく登場人物全員が人間臭く魅力的で、コトー先生と島民たちの島での温かい生活をずっと見続けていたいと思わせられるし、いま見ても古さを感じない普遍的なドラマとしての強度がある。 放送時未公開シーンを加えて全編再編集したディレクターズカット完全版を収録 2003年の連ドラは、Dr.コトー誕生の物語で、命と向きあう五島健助自身のドラマが、島民との交流を交えて描かれた。豊かな自然に囲まれた島での素朴な生活に憧れをもった人も多いと思う。しかし、2004年のスペシャルや2006年の連ドラでは、身近な人が大病に見舞われ、離島の厳しい生活や島民それぞれが抱える問題などの過酷さが増し、コトーの医者としての葛藤も複雑化していく。離島暮らしのいいところだけを見せず、一人の医者ができることの限界や、病による様々な苦しみなども描いた上で、本土からきたよそ者の医者が真の意味で島の医者として根付くまでを描ききった。その後の島での日々を描くだけでもそれなりに面白い作品になった気もするが、同種の物語の繰り返しになったり、リアルな新しい物語は描けなかった可能性があるため、安易な続編はあえて作らず、いま描くべきことが見つかるまでに、12月公開の劇場版まで16年かかったのだろう。 本作以降、少なからず影響を受けたであろうと思われる、離島の生活や離島医療を描く作品がいくつか作られたが、『Dr.コトー』シリーズほどの成功を収めた作品はない。多くの予算も時間もかかるだけに、今後の民放テレビ局で『Dr.コトー』シリーズのようなドラマを作るのは難しいだろう。まさに日本のドラマ史に残る作品の一つといえる。 11月16日にリリースされるBlu-ray BOXには、2003年の連ドラ『Dr.コトー診療所』(全11話)、2004年のスペシャル『Dr.コトー診療所2004』(前後編)、2006年の連ドラ『Dr.コトー診療所2006』(全11話)が収録され、それらはすべて放送時には未公開だったシーンを加えて全編再編集&リマスタリングされたディレクターズカット完全版となっている。そのため、各話の尺が放送時より数分ずつ長くなり、丁寧な描写にこだわって深みが増している。さらに、これまでソフト化されたことのない、2004年に二夜連続放送された『Dr.コトー診療所特別編』も収録。同作は2003年の連ドラの総集編的な内容に、その後の続編に繋がる新撮エピソードを加えた作品となっている。8枚のBlu-rayに、総計25時間を超えるドラマシリーズのすべてが収められており、ファンならずとも手にしたい完全保存版のBlu-ray BOXだ。 文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社 『Dr.コトー診療所 コンプリート Blu-ray BOX』 ●11月16日(水)Blu-ray BOXリリース Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray BOX:38,500円(税込) 【収録内容】 ・Dr. コトー診療所(全 11 話) ・Dr. コトー診療所特別編(全 2 話) ・Dr. コトー診療所 2004 (全 2 話) ・Dr. コトー診療所 2006 (全 11 話) ●出演 Dr.コトー診療所/Dr.コトー診療所特別編 吉岡秀隆 柴咲コウ 時任三郎 大塚寧々 ・ 石田ゆり子 ・ 千石規子 泉谷しげる 筧 利夫 小林 薫 Dr.コトー診療所2004 吉岡秀隆 柴咲コウ 時任三郎 大塚寧々 千石規子 泉谷しげる 筧 利夫 小林 薫 Dr.コトー診療所2006 吉岡秀隆 柴咲コウ 時任三郎 大塚寧々 蒼井 優 泉谷しげる 筧 利夫 小林 薫 桜井幸子 大森南朋 朝加真由美 富岡 涼 堺 雅人 ●原作:山田貴敏『Dr.コトー診療所』(小学館「ビッグコミックオリジナル」) ●発売元:フジテレビジョン 販売元:ポニーキャニオン ©山田貴敏/小学館 ©フジテレビ -
小悪魔エヴァ・オーリンの特別映像と新ビジュアルポスター公開。「殺しを呼ぶ卵【最長版】」
2022年11月15日「情無用のジャンゴ」のジュリオ・クエスティ監督が、ジャン=ルイ・トランティニャン、ジーナ・ロロブリジーダ、エヴァ・オーリンの共演で撮り上げたスリラー「殺しを呼ぶ卵」(1968)が、初公開時の【国際版】にはないシーンを甦らせた【最長版】となって12月2日(金)より新宿シネマカリテほかで全国順次公開。小悪魔エヴァ・オーリンにフォーカスした特別映像と新ビジュアルポスターが到着した。 ローマ郊外の巨大養鶏場。社長のマルコは業界の名士として知られていたが、経営の実権と財産を握る妻アンナへの苛立ちは増す一方だった。マルコはアンナの十代の姪であるガブリと愛人関係にあるばかりか、妻への憎しみを女性へのサディズムで発散する異常性格者でもあった。やがて3人それぞれの欲望が暴かれたとき、事態は予期せぬ展開と想像を絶する畸形ニワトリを産んだ! 特別映像「特選!キュートな小悪魔エヴァ・オーリン」は、エヴァの出演シーンを集めたもの。青い瞳とブロンドの髪。無邪気な笑顔やふてくされた表情に、不敵なエロティシズムを宿らせる。 エヴァは1950年にスウェーデン南部の小さな町で生まれ、15歳のときにミス・ティーン・スウェーデンに選出。雑誌で取り上げられると映画やモデルの依頼が殺到し、看護師になる夢を断念したという。 日本でエヴァが初めて紹介されたのは1968年公開の本作だが、前年のデビュー作「危険な恋人」(ティント・ブラス監督)ですでにジャン=ルイ・トランティニャンと共演している。その後、「キャンディ」(68/クリスチャン・マルカン監督)でハリウッドに進出。「20年に1度のセンセーション」「新登場!全世界注目のハイティーン・スター」と脚光を浴びるが、1974年に突如、不動産開発業者の富豪との再婚を機に引退、姿を見ることはできなくなった。 猟奇サスペンスの王道を行きながら、実験的な映像表現を織り交ぜ、資本主義の非情と人生の虚無に切り込んだ、クエスティの野心溢れる本作。「ゴダールが麻薬漬けになって撮ったようなスリラー」と評された世界観は見逃せない。 「殺しを呼ぶ卵【最長版】」 出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、ジーナ・ロロブリジーダ、エヴァ・オーリン、ジャン・ソビエスキー、レナート・ロマーノ 監督:ジュリオ・クエスティ 脚本:フランコ・アルカッリ、ジュリオ・クエスティ 撮影:ダリオ・ディ・パルマ 美術:セルジオ・カネヴァリ 編集:フランコ・アルカッリ 音楽:ブルーノ・マデルナ 1968年/イタリア=フランス合作/105分/ビスタ/モノラル/原題:LA MORTE HA FATTO L'UOVO/PG12 © Licensed by MOVIETIME SRL-Rome-Italy. All Rights Reserved. 提供:キングレコード 配給:アンプラグド HP:unpfilm.com/koroshiegg