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愛憎と陰謀が渦巻くインド超大作「PS1 黄金の河」「PS2 大いなる船出」が連続公開
2024年2月26日インドで1950年代に発表されたベストセラー歴史小説『Ponniyin Selvan』(ポンニ河の息子)を映画化。10世紀の同国南部タミル地方に実在したチョーラ王朝を舞台に、愛憎と権謀術数、国の存亡をかけた戦いを描いた2部作「PS1 黄金の河」「PS2 大いなる船出」が、5月17日(金)より新宿ピカデリーほかで連続公開される。ポスタービジュアルが到着した。 物語スケールの大きさゆえ困難を極めてきた映画化が、原作発表から70年を経てついに実現。前編「PS1」は、思惑を抱えた人物たちの交錯劇が、豪華絢爛な舞踏および白熱の戦闘とともに巻き起こる。後編「PS2」は、人物たちの数奇な運命が神話的に描かれる。 監督は「ボンベイ」の巨匠マニラトナム。キャストは「ミモラ-心のままに-」「ロボット」でおなじみの“ボリウッドの女王”アイシュワリヤー・ラーイ、「囚人ディリ」のカールティなど。インド版『ゲーム・オブ・スローンズ』と称され、2022年インドで興収第3位の大ヒットを記録した一大絵巻が、いよいよ日本に放たれる。 Story 10世紀の南インドで繁栄を極めるチョーラ王朝。しかし王が病に伏し、臣下たちはその息子ではなく従弟を次期国王に擁立しようと画策する。領土拡張のためにそれぞれ北方と南方で戦いを繰り広げる2人の王子、そして都に残った聡明な王女。遠く離れた3人は、やがて察知した不穏な動きに対抗すべく、密使を送ることに。その役に選ばれた若く陽気な騎士デーヴァンの壮大な旅が始まる──。 「PS1 黄金の河」 出演:ヴィクラム、アイシュワリヤー・ラーイ、ジェヤム・ラヴィ、カールティ、トリシャー・クリシュナン 監督:マニラトナム 音楽:A.R.ラフマーン 原題:Ponniyin Selvan Part One/2022年/インド/タミル語/シネスコ/5.1ch/167分 配給:SPACEBOX 宣伝:シネブリッジ © Madras Talkies ©Lyca Productions 公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/ps-movie/ -
中島健人×milet。“もしもの人生”を三木孝浩監督が描くラブストーリーが製作決定
2024年2月26日もしも、いちばん大切な人と出会わなかったら──。主演に中島健人、ヒロインに映画初出演となるmiletを迎え、恋愛映画の名手・三木孝浩監督が《人生のif》を描くファンタジック・ラブストーリーの製作が決定(タイトルは追って発表)。2025年に全国公開される。 大学時代に互いに一目惚れして結婚したリクとミナミ。小説家志望のリクは、ミナミに支えられてベストセラー作家に。一方でミナミは歌手を夢見るもままならず、仕事に忙しいリクとすれ違い、孤独を抱えていた。 そんな中、リクの心ない一言から二人は大喧嘩する。翌朝リクが目覚めるとミナミの姿はなく、打ち合わせで出版社を訪れても人々と話が噛み合わない。なんと人気作家だったはずのリクは文芸誌の一編集部員になっており、さらに街には天才シンガーソングライターとして活躍する、リクとは知り合ってもいない“前園ミナミ”の姿と曲が溢れていた。リクは困惑しながらも、人生を取り戻すべく奔走するが……。 オリジナルはフランス映画「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」(2019)。舞台を日本に移し、人物設定を一部改変して、新生する。 〈コメント〉 中島健人(神林リク役) 「誰もが大共感できる最高の恋愛映画」に出逢えた気がします。 ずっと憧れだった三木監督のもと、神様のいたずらのような恋物語を描けることが夢のようです。 これまで監督が描かれた作品に、僕の大好きな作品が多く、今回、三木組に参加させていただけることは、これまでの自分の想いが報われる気持ちと共に心から光栄だと感じております。 20代最後にこの脚本を読み、30代最初にこの作品の主人公を演じさせていただきます。移りゆく時の流れを美しく過ごす、2人の登場人物に共感をしながら、脚本を読んで何度も笑って泣きました。 物語と楽曲のクロスオーバーの中で奏でられる、今回初共演のmiletさんの歌声もとても楽しみです。 誰かがいてこその自分。そして、普段気づけない「日常の愛おしさ」を気づかせてくれる美しく、勇気をもらえるこのラブストーリーを全力で届けたいです。 milet(前園ミナミ役) 前園ミナミを演じます、miletです。 三木監督からこの作品のお話をいただいたとき、今まで映画の歌を歌うことはあっても出演する側になるなんて想像もしていなかったので、ただただ驚きました。私が演じさせていただく前園ミナミは、ひとつの世界では歌手になる夢を追いかけ、もうひとつの世界ではシンガーソングライターとして活躍する女性です。そのどちらのキャラクターにも親近感が湧き、彼女の夢や現実に対して抱く葛藤に私自身の心が重なる部分もあり、一気にこの作品に引き込まれていきました。 初めての映画でのお芝居は不安もありますが、演技のご指導も受けながら、主演の中島健人さんをはじめ、キャストのみなさん、スタッフのみなさんの力をお借りしながらまっすぐ挑戦していきたいです。 私だから表現できるミナミと向き合いながらこの作品の中で生きてみたいと思います。 監督・三木孝浩 中島健人くんを俳優として意識し出したのは約10年前。 知り合いのスタイリストさんからとってもいい子がいると薦められてからいつか一緒にお仕事したいと思い続けて、今回やっと念願叶ってご一緒することができました。溢れるオーラ以上にその聡明さ、佇まいの美しさにずっと魅了されていました。 そしてその相手役となるのがアーティストであり、本格的な演技初挑戦でもあるmiletさん。 最初に企画をいただいて、このヒロインを誰が演じられるのだろうと想像した時、ふと思い浮かんだのがmiletさんでした。以前ミュージックビデオでご一緒した時にパブリックイメージのミステリアスな雰囲気の裏側にある天性の明るさキュートさに魅せられ、もしmiletさんがお芝居をしたらどうなるんだろう?と興味を持ったことがきっかけでした。本人にとっても予想外のオファーだったと思いますが、新しい挑戦にものすごく前向きに飛び込んできてくれました。 ちょっとコミカルで心温まるファンタジーラブストーリー。二人がこの物語の中でどんなアンサンブルを見せてくれるのか。今から現場が楽しみで仕方がありません。 プロデューサー・松下剛 『きみの瞳が問いかけている』をご一緒した三木監督とプロデューサーチームで、新たなラブストーリーの題材を探していた中で見つかったのがこの物語でした。運命的に出会い、共に時を過ごした2人がその10年後、世界が変わって全く出逢っていなかったことになってしまった時に、その恋とそれまでの人生をどのように取り戻そうとするのか、時にコミカルに、時に人生を諭すように展開される物語に魅了されました。 中島健人さんは、美しい容姿やジェントルな態度など、アイドルとしての完成度が極めて高いパブリックイメージがありますが、個人的には、さまざまな映画やドラマのお芝居で見せてくれる「苛ついた時の顔」が何より魅力的な俳優さんだなという印象でした。本作の主人公は、人生をかけて手に入れた成功と、運命の相手を同時に失ったところからもがく男です。その原動力は最初は怒りに違いありません。その怒りの表情が、最終的にどんな感情に変化していくのか今から楽しみです。 miletさんには以前『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』の主題歌をお願いしたことがあり、メディアでお見かけする多国籍でミステリアスな雰囲気に違わぬトリッキーでパワフルな楽曲をご提供いただいたのですが、一番印象に残ったのは、その後舞台挨拶にご登壇いただいた際の、ご本人が持つ柔らかくて朗らかでポジティブな佇まいでした。この両極端のイメージをご自身の中で併せ持っているmiletさんにしか、本作のヒロイン、市井の人とカリスマティックなシンガーソングライターの両方を同じ作品の中で演じることができる人はいない!と、今から確信しています。 公式サイト:gaga.ne.jp/2025mikifilm/ -
一体誰が想像しただろう── 『この世界の片隅に』がミュージカルに!
2024年2月22日2016年11月に封切られてから一日も途切れることなく2019年12月まで連続で上映し、異例のロングランとなった映画「この世界の片隅に」。2016年のキネマ旬報ベスト・テンで第1位となり、アニメーション映画の1位は「となりのトトロ」(88)以来となった。 昭和19年、戦艦大和を擁する軍港であった広島の呉に嫁いできた18歳のすずと夫の周作、その家族、そして遊女のリンをはじめとる市井の人々の戦時中の日々の暮らしが描かれる物語は、映画化もされた『夕凪の街 桜の国』で知られる広島出身の漫画家・こうの史代のコミックスで、2008年の発売から累計発行部数は130万部を突破している。この原作を基に、2011年にスペシャルドラマ化、冒頭で触れた片渕須直監督によるアニメーション映画の大ヒットを経て、2018年には連続ドラマ化。2019年に、30分の新たなシーンを追加した映画の完全版「この世界の(さらにいくつもの片隅に)」も公開され、あらゆるジャンルで“国民的作品”とも評される名作中の名作が、この度ミュージカルとなって上演されることになり、先日その製作発表会見が行われた。 [caption id="attachment_35632" align="aligncenter" width="1024"] ▶左から、演出の上田一豪、桜井玲香、村井良大、大原櫻子、昆夏美、海宝直人、平野綾、音月桂[/caption] 主人公のすず役の昆夏美と大原櫻子(Wキャスト)、すずの夫の周作役・海宝直人と村井良大(Wキャスト)、リン役の平野綾・桜井玲香(Wキャスト)、すずの義姉役の音月桂と、『ミュージカル のだめカンタービレ』(23)や『四月は君の嘘』(22)などを手掛けてきた演出家の上田一豪が登壇した。 そして、2008年に合唱コンクールの課題曲として書き下ろされてから現在まで歌い継がれてきた合唱ソングの定番〈手紙~拝啓 十五の君へ~〉の、アンジェラ・アキが音楽を担当。2014年に渡米して以後、今作で10年ぶりにミュージカル音楽作家として再始動するのも注目の一つだ。会場で披露されたビデオメッセージでアンジェラ・アキは「上田さんが書いた台本を読んで、こうの史代さんが書いた原作をこんなふうに舞台化するんだ!と感激しました。目を閉じると舞台の上で繰り広げられることが想像でき、音も聴こえてくるようなカラフルな印象でした」とコメントを寄せた。演出の上田一豪はアンジェラ・アキとの楽曲製作について「奇をてらったことはしたくない。観客の耳に届くものに歩み寄っていきたい」と語る。 デモ曲を聴いたキャストの昆夏美は「アンジェラさんが原作や脚本をリスペクトして作られた感じが伝わってくる」、学生時代からずっとファンだったという大原櫻子は「震えるくらい感激して、涙が出て、これは絶対に歌いたいという思いが強まった」と言う。また海宝直人は「これまでのミュージカルの音楽とは違うカラー、新しい感覚」とのこと。それを裏打ちするように、桜井玲香は「空襲のシーンの曲が意外で、こういう形で表現されるんだ、と驚きました。寂しさのなかに、温かさがある」、音月桂は「ミュージカルの曲はパワフルに歌い上げるもの多いですが、ろうそくで心に火を灯すような優しい曲、デリケートに大事に歌っていきたい」と語るように、アンジェラ・アキの音楽に一層期待が高まる。なお、ミュージカルが開幕する直前の4月24日には、作品のために製作された楽曲と、それを彼女が歌ったCD《アンジェラ・アキ sings『この世界の片隅に』》の発売も決まっている。音楽を聴いてからミュージカルを観る、という楽も一興だろう。 東京公演の後は、全国8カ所でツアーが行われ、千秋楽は広島県呉市で迎える。「呉でできるのは本当にうれしいです。原作の持っているメッセージ、思いをしっかり届けたい」と村井良大。 さまざまにメディアを変え発信されていくのは、原作の持っている普遍的なメッセージを、どのジャンルのクリエイターも共感し、そしてさらに広く人々に伝えていきたいという思いに他ならないはず。とはいえ、アニメ、ドラマ、映画、舞台(ストレートプレイ)になることは予想できても、ミュージカルになるとは誰が想像しただろうか。さまざまな可能性を秘めたミュージカル『この世界の片隅に』は5月9日より東京・日生劇場で開幕する。 文・制作=キネマ旬報社 ミュージカル『この世界の片隅に』 原作:こうの史代 音楽:アンジェラ・アキ 脚本・演出:上田一豪 出演: 浦野すず:昆夏美・大原櫻子(Wキャスト) 北條周作:海宝直人・村井良大(Wキャスト) 白木リン:平野綾・桜井玲香(Wキャスト) 水原哲:小野塚勇人・小林 唯(Wキャスト) 浦野すみ:小向なる 黒村径子:音月桂 白木美貴子、川口竜也、加藤潤一 飯野めぐみ、家塚敦子、伽藍琳、小林遼介、小林諒音、鈴木結加里、高瀬雄史 丹宗立峰、中山昇、般若愛実、東倫太朗、舩山智香子、古川隼大、麦嶋真帆 桑原広佳、澤田杏菜、嶋瀬晴 大村つばき、鞆琉那、増田梨沙 2024年5月9日(木)~5月30日(木) 東京 日生劇場 【全国公演】 6月6日(木)~6月9日(日) 北海道 札幌文化芸術劇場hitaru 6月15日(土)・16日(日) 岩手 トーサイクラシックホール岩手大ホール(岩手県民会館) 6月22日(土)・23日(日) 新潟 新潟県民会館大ホール 6月28日(金)~30日(日) 愛知 御園座 7月6日(土)・7日(日) 長野 まつもと市民芸術館 7月13日(土)・14日(日) 茨城 水戸市民会館グロービスホール 7月18日(木)~21日(日) 大阪 SkyシアターMBS 7月27日(土)・28日(日) 広島 呉信用金庫ホール ©こうの史代/コアミックス・東宝 製作:東宝 -
『太陽を抱く月』『仮面の王イ・ソン』『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』などの時代劇で存在感を見せてきたキム・ソヒョンと、『哲仁王后』で注目されて現在は『私の夫と結婚して』で人気を博しているナ・イヌが共演。高句麗の気高く聡明な女王ピョンガンと心優しき武将オン・ダルが織り成すロマンス時代劇『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』(2021)が、2月23日よりテレビ東京〈韓流プレミア〉で地上波初放送される。 韓国の有名な物語『ピョンガン王女とバカのオン・ダル』をモチーフに制作され、2022年に日本上陸。当初のオン・ダル役俳優の降板により大抜擢されたナ・イヌは、初主演ながら表情豊かに演じ上げ、ライジングスターとなった。そのうっとりする魅力とともに、運命に屈しない主役二人の壮大なドラマを見届けたい。 〈あらすじ〉 紀元561年、三国時代の高句麗。第25代国王の平原(ピョンウォン)王とヨン王妃の間には、娘のピョンガン王女と息子のウォン王子がいた。ピョンガンは王となって国を守る夢を抱き、武芸の修練に励んでいた。しかし、王の重臣であり王妃を疎むコ・ウォンピョが、王の嫉妬心を煽って王妃の命を奪い、ピョンガンは消息不明となる。そして王は精神を病み、疑心暗鬼となる。 8年後。ピョンガンは記憶を失い、刺客カジンとして生きていた。一方で順奴部族の青年オン・ダルは「バカとなって生きろ」という父オン・ヒョプ将軍の教えに従い、武術と無縁のまま山奥で薬草を採りながら穏やかに暮らしていた。やがてカジンとダルは出会い、惹かれ合っていくが……。 〈スタッフ・キャスト〉 演出:ユン・サンホ 脚本:ハン・ジフン 出演:キム・ソヒョン(声:合田絵利)、ナ・イヌ(声:三木眞一郎)、イ・ジフン(声:河西健吾)、チェ・ユファ(声:甲斐田裕子)、カン・ハヌル〈特別出演〉(声:阪口周平) 公式サイト:https://www.welovek.jp/pyeonggang/ コンパクトDVD-BOXシリーズ第15弾 『王女ピョンガン 月が浮かぶ川 ディレクターズカット版』発売中 ▶︎ 詳細はこちら 発売・販売元:ポニーキャニオン ©2021 Victory Contents Co.,Ltd. All rights reserved
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江戸時代末期に天然痘と闘った町医者・笠原良策の生涯を綴った吉村昭の小説『雪の花』を、松坂桃李主演、役所広司と芳根京子の共演で、「峠 最後のサムライ」「蜩ノ記」の小泉堯史監督により映画化した「雪の花 ―ともに在りて―」が、2025年1月24日(金)より全国公開される。 数年ごとに大流行して多くの人命を奪う天然痘。その確実な予防法が異国から伝わったと知った福井藩の町医者・笠原良策は、京都の蘭方医・日野鼎哉に教えを請い、私財を投げ打って種痘の苗を福井に持ち込む。そして妻の千穂に支えられ、さまざまな困難にめげず天然痘と闘い続けるが……。 〈コメント〉 松坂桃李(笠原良策役) 非常に身が引き締まる思いです。時代劇に参加するのは『居眠り磐音』以来。約5、6年の時間が経っていますが、小泉堯史監督のもとで 演じさせてもらえるということが、僕にとっては非常に光栄でした。そして、今回、再共演となる役所広司さんはじめ、素敵なキャストの方々と共演させてもらえたのは何より心強かったです。わからないもの程怖いものはない、そんな未知の病と戦った一人の町医者が繋いだ希望。懸命に命と向き合う笠原良策の姿を『雪の花』という作品を通して観ていただきたいです。 役所広司(日野鼎哉役) 小泉監督の作品にはどんな形でも参加したいと思っていたので、声をかけていただき是非参加させてほしいとお答えしました。松坂くんとは何度かご一緒していますが、良策という役は本当に心の澄み切った青年で、松坂くんにぴったりだと思いました。今の時代があるのも、色々な人たちが命をかけて頑張った結果なのだろうなと、そんな想いをこの映画を通して感じていただきたいです。 芳根京子(笠原千穂役) 小泉堯史組に参加するのは2度目だったのですが、千穂という素晴らしい役に呼んでいただけてとても光栄でした。と同時に、自分に務まるのかすごく不安でしたが、小泉監督から優しさと強さを大切にしてほしいと導いていただきました。今回は殺陣や太鼓、調薬など撮影前から毎日必死に役作りを準備してきましたが、時間をかけた分より丁寧に演じられたと思います。 松坂桃李さん演じる良策とも素敵な時間を積み重ねることができました。 こういった歴史があるから今があるということを是非感じていただきたいです。 小泉堯史監督 映画監督として、歴史の上で出合った実在の人物は、『明日への遺言』の陸軍中将・岡田資。『峠 最後のサムライ』の長岡藩家老・河井継之助。そして、この度の『雪の花』福井藩町医者・笠原良策。 いづれも、己を無に帰し、事に当たった男達。 小林秀雄さんは『無私の精神』で、次のように書いています。 「実行家として成功する人は、自己を押し通す人、強く自己を主張する人と見られがちだが、実は反対に、彼には一種の無私がある。空想は孤独でも出来るが、実行は社会的なものである。有能な実行家は、いつも自己主張より物の動きの方を尊重しているものだ。現実の新しい動きが看破されれば、直ちに古い解釈や知識を捨てる用意のある人だ。物の動きに順じて自己を日に新たにするとは一種の無私である」と。 江戸末期、福井に生きた町医者・笠原良策に、無私の美しい精神を感じます。努力を積み重ね、勇気を持ち、己を捨てて誠実に働く良策の姿は、永遠に価値ある歴史を生み、現在に生きる私達の心に、強く働き懸けてくれます。歴史は、決して進歩するものではありません。歴史は自然と共に、いつも同じものと戦っているのです。 今や、品位を敢えて失わせようとする文化が、消費と手を結び、勝手気ままに振る舞っています。それによって破壊されるのは、道義的な美しさです。言葉や行ないの立派さは、美しさがあればこそ、時の移り変わりに、耐えることが出来ると謂います。 良策との出合いは、歴史を鑑とし、少しでも良きものになれるかもしれないと、私達に希望や勇気を示し、道を清々しく照らしてくれるのでは、と思っています。 「雪の花 ―ともに在りて―」 監督:小泉堯史 原作:吉村昭「雪の花」(新潮文庫刊) 出演:松坂桃李、芳根京子、役所広司 ©2025映画「雪の花」製作委員会