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【第23回】「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」
2022年2月25日2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。 衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定) ■2015年8月放送「喪服」 どうも、みうらじゅんと申します。「グレイト余生映画ショー in日活ロマンポルノ 民俗学入門」。今回のテーマは、おまたせしました「喪服」でございます。 【喪服】:もふく とは葬儀や法事などで着用する、黒または薄墨色の衣服のことである。 その時、股間がうずいた… 漆黒の衣を身にまとい、静寂の中に佇む、淑女の色気、喪服。気品漂う清潔感と、誰にも言えない罪悪感。男心をくすぐるその人は、未亡人。愛と哀しみに満ちた追憶エクスタシー。凛として、ジュン・・・としてその時、新たな歴史が始まる…。 「喪服」特集でございます。今回は喪服が出てくる映画4品をチョイスさせて頂きました。私も一着だけ喪服を持っていますが、そこにもエロが発生するなんて思ってもいませんでした。昨今、まわりがポツポツ亡くなりはじめましたので、ようやくそれが分かる歳になったかとね。でも、さっぱりどこがいいのか分かりませんけどね。ま、年を重ねるということは、エロの分野が増えるって事だと今は考えています。 ■別れもあれば、出会いもあるさ 失敗しない【喪服】着こなし術 作品を深く掘り下げるにあたって重要だったのは、やはり女の人の喪服でしたね。それには洋装と和装がありますよね。今回は、「失敗しない喪服の着こなし術」を主にレクチャーしたいと思います。 「黒のフォーマルスーツもしくはワンピースで服を露出しない長袖が原則である。」 ここですよね問題は、「肌を露出しない。」 「喪服の黒は、通称スーパーブラックと呼ばれるそうです。通常よりも深い黒色で染められているってことでしょうか。 「和装の場合は、家紋が入った黒の着物を着用する」 「足袋、襦袢は白色。それ以外は小物も含めすべて黒で統一する。」ここですよね、問題は。今回の映画の中では、ほぼなかったですけども、ポルノ映画に於いてのそれは、黒の和服を着てる場合は、黒のランジェリーをしている場合が多い。この点です。これは現実にあるのかどうかは、分かりませんけど。 そして「真珠のネックレスをつける際は、一連のものにする」二連は浄土宗に限りますから。 「べール付きのトーク帽をかぶる際は、必ず手袋を着用。室内でも脱帽する必要はない。」 そういうことを踏まえたのが喪服を着る上でのルールということです。 そこを理解していると、より深く今回の作品を掘り下げていただけるんじゃないかと思います。 ■先にイってしまったあなたへ・・・『ニセ未亡人 いちじく白書』 葬式が行われ、たくさんの参列者も来られました。最後参列者も少なくなって、亡くなった旦那の会社の同僚が必ずやってくるんですよね。ロマンポルノでは、ですよ。(イラストを出す) 「奥さん何か力になれることがあれば…」なんて必ず出るセリフです。ここで重要なのはこの「力」の意味ですよね。「何か力」ここです。 ロマンポルノの場合、「足袋を脱ぐ時の仕草」も重要です。足袋の金属で閉じてある部分あるでしょ?あそこを外す仕草、その時、裾との間の肌が見えてくるってことになってます。 そして「喪服から出た胸の谷間」、ここですよね。「いや私には夫のニオイが染みついていますから」なんていうセリフ。フツーは言いませんけどね。奥さんの力になりますといった男が裾に手を入れて…。喪服から飛び出す白い肌が映えること、映えること。そして奥さんと、こうなりますよね。(イラストを出す) 裏地が白でメリー・ポピンズのようにボワッとなってね。そして遺影も倒れて激しい行為に移るという。あなたも参考にしていただければと思います。 今回の「喪服」特集4作品を紹介したいと思います。 『ニセ未亡人 いちじく白書』 1984年製作。朝比奈順子さん主演作です。ニセというは何なのか?ぜひ観てください。 『未亡人の寝室』 1981年製作。志麻いづみさん主演作。 『愛欲の日々 エクスタシー』 小川より子さん主演。 『赤い禁猟区 ハードコアの夜』 麻生かおりさん主演、西村昭五郎監督作。 ※各作品はamazon、FANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です それでもあなたも、グレイト余生を! 出演・構成:みうらじゅん/プロデューサー:今井亮一/ディレクター:本多克幸/製作協力:みうらじゅん事務所・日活 衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」を放送! ※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集! 【日活ロマンポルノ】 日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから 日活ロマンポルノ50周年企画「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の全記事はこちらからご覧いただけます。 過去の「キネマ旬報」記事からよりすぐりの記事を掲載している特別連載【あの頃のロマンポルノ】の全記事はこちらから 日活ロマンポルノ50周年新企画 イラストレーターたなかみさきが、四季折々の感性で描く月刊イラストコラム「ロマンポルノ季候」 -
覆面シンガーSiaが初監督! 素顔で思いを告白
2022年2月24日ステージでは素顔を見せない“顔なきポップスター”として、世界的に注目を集めるシンガーソングライター・Sia(シーア)。楽曲はもちろん、パフォーマンスやMVでも卓越したセンスを見せる彼女が初監督を務め、オリジナル楽曲でカラフルに彩る新体感ポップ・ミュージック・ムービー「ライフ・ウィズ・ミュージック」が、2月25日(金)より全国公開される。 カラフル&ポップな音楽シーンで綴る感動物語 孤独で生きる希望を失った女性が、家族の存在や周りの人々の助けによって“愛する”ことを知り、居場所を見つけていく姿を描く本作。 主人公ズーを演じるのは、「あの頃ペニー・レインと」をはじめ数々の話題作に出演するケイト・ハドソン。その表現力にあふれた熱演で、第78回ゴールデングローブ賞コメディ/ミュージカル部門で最優秀主演女優賞にノミネートされた。その自閉症の妹であり、イマジネーション豊かでズーにとって“救い”となるミュージックを演じるのは、Siaの楽曲「シャンデリア」のMVで圧巻のダンスパフォーマンスを披露して話題を呼んだマディ・ジーグラー。さらにズーに優しく寄り添う親切な隣人青年のエボ役で、大ヒットブロードウェイミュージカル『ハミルトン』でトニー賞最優秀ミュージカル俳優賞に輝いたレスリー・オドム・Jr.が登場。 キャスト陣のエモーショナルな歌とダンスで織り成す独創的な音楽世界とともに、感動ドラマが繰り広げられる注目作だ。 Siaが素顔を明かし、声を震わせて語る このたびSiaのインタビュー映像が解禁。“顔なきポップスター”ではなく映画監督として素顔を明かし、キャスティングの模様やミュージックというキャラクターの源となった少年との出会い、そしてキャストやスタッフへの思いを語った。 映画を作ろうと思い立つまでに15年も掛かってしまったというSiaは、様々な問題を抱えて生きる人々を陰日向になって助けたい、希望を与えたいという強い思いから製作をスタートさせた。「私にわかっていたのは、このまま映画にしないでいたら煮え切らないまま死んじゃうぞってこと。映画監督になりたいわけじゃないし、もう映画を作る予定もない。私はこの映画が作りたかったの」とその意志は固く、揺るがなかった。 出演オファーを一番にしたのは、自身のミューズであるマディ・ジーグラーだった。そして主人公ズー役のケイト・ハドソンと隣人エボ役のレスリー・オドム・Jr.は、SNSを駆使した独自の方法でキャスティングした。またマディが演じたイマジネーション豊かな自閉症の妹・ミュージックの元となった自閉症の少年とのエピソードも明かしている。 「今までやってきた中で最高の仕事」 音楽業界ではヒットメーカーのSiaでも映画は一筋縄ではいかなかったようで、「すごく怖かった。初めての試練のようなものだった」とその胸の内を吐露する。「私が今までやってきた中で最高の仕事だった。一番大変だったし、一番有意義で、一番難しかった」と語り、支えてくれたキャストやスタッフに対して「この夢を実現するのを手伝ってくれて本当に感謝している」と声を震わせ、涙ながらに告白している。 合わせてSiaが本人役でカメオ出演していることが明らかに! ズーのお客さんとして、堂々とケイト・ハドソンとの共演を果たしている。詳しくは見てのお楽しみ。 Story アルコール依存症のリハビリテーションプログラムを受け、孤独に生きるズーは、祖母の急死により長らく会っていなかった自閉症の妹・ミュージックと暮らすことに。頭の中にはいつもカラフルでポップな世界が広がっているが、コミュニケーションの苦手なミュージックとの生活に戸惑い、途方に暮れるズー。そこへアパートの隣人・エボが現れ、優しく手を差し伸べる。次第に3人での穏やかな日々に居心地の良さを覚え始めたズーは、孤独や弱さと向き合い、自身も少しずつ変わろうとしていくが……。 「ライフ・ウィズ・ミュージック」 監督・製作・原案・脚本:シーア 出演:ケイト・ハドソン、マディ・ジーグラー、レスリー・オドム・Jr. 原題:MUSIC/2021/アメリカ/107分/カラー/シネスコ/DCP/5.1ch/字幕翻訳:原田りえ/監修:山登敬之 【G】 配給:フラッグ 公式サイト:lifewithmusic.jp 公式Twitter/Instagram:@lifewithmusicjp #ライフウィズミュージック © 2020 Pineapple Lasagne Productions, Inc. All Rights Reserved. -
アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の新作「MEMORIA メモリア」が、3月4日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開。 アピチャッポン作品のカンヌ国際映画祭4度目の栄冠となる審査員賞受賞をはじめ、アカデミー賞国際長編映画賞コロンビア代表選出、2021年カイエ・デュ・シネマのベスト3入り、全米映画批評家協会賞の撮影賞ノミネートなどを果たし、注目を浴びている本作。タイを飛び出した監督が、南米コロンビアを舞台に、自身が経験した「頭内爆発音症候群」に着想を得た記憶の旅路を描き出す。 「記憶と音の映画」「静寂、そして神聖さ」 このたび新場面写真が到着。主人公ジェシカ(ティルダ・スウィントン)が音響技師エルナン(フアン・パブロ・ウレゴ)の側でヘッドフォンに聞き入るシーン、自分にしか聞こえない【音】を聞いているかのようなシーン、義弟のフアン(ダニエル・ヒメネス・カチョ)とボゴタのカフェで談笑するシーン、山間部の町ピハオの川沿いでたたずむシーンが解禁。いずれも日常の場面ながら、静かな緊張に満ちている。 さらに映画をいち早く鑑賞した音楽家の坂本龍一よりコメントが到着。俳優の西島秀俊が2021年東京国際映画祭でアピチャッポン監督と対談した際のコメントと併せて紹介する(五十音順、敬称略)。 ある場所が過去を記憶しているとして、ある人にはそれが音として聞こえる。記憶と音の映画。 坂本龍一(音楽家) 耳鳴りがしそうなくらいの静寂、そして神聖さ。 記憶、夢というテーマはそのままに、アピチャッポン監督が新たな次元に進んだと感じました。 (東京国際映画祭 アジア交流ラウンジでのアピチャッポン監督との対談より) 西島秀俊(俳優) ▶︎ 4度目のカンヌ受賞、アピチャッポン監督最新作の新たな場面写真 ▶︎ アピチャッポン監督のインタビュー到着、ドキュメンタリー&過去作上映も決定 ©Kick the Machine Films, Burning, Anna Sanders Films, Match Factory Productions, ZDF/Arte and Piano, 2021.
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ジョージアの名匠ラナ・ゴゴベリゼ、日本の“金継ぎ”に着想を得た新作
2022年2月24日ジョージア(グルジア)の伝説的女性監督ラナ・ゴゴベリゼ、現在93歳。その到達点といえる新作「金の糸」が、2月26日(土)より岩波ホールほかで全国順次公開される。 舞台はジョージアの古都トビリシ。79歳の誕生日を迎えた作家エレネを中心に、ジョージアの激動の時代を生きた人々の現在の姿を通して、“過去との和解”を描く。日本の「金継ぎ」に着想を得た物語で、題名の「金の糸」には“未来を見るために過去を金で修復する”という意味が込められている。 公開にあたり、今年閉館の岩波ホールと観客に向けた監督のメッセージ、さらに著名人の賞賛コメントが届いた。 ラナ・ゴゴベリゼ監督メッセージ(談) 「忘れられない髙野さんとの抱擁!」 岩波ホールにはたくさんの思い出があります。80年代に私の映画「インタビュアー」を上映してくださったこと、その後「転回」が東京国際映画祭に選ばれて来日した際(その時の審査委員長はグレゴリー・ペックでした!)、温かく歓迎してくださったこと、私はその時、監督賞をいただいたのですが、当時、岩波ホールの総支配人だった髙野悦子さんが、私以上に喜んで、二人で抱き合って喜んだことが今でも思い出されます。映画への情熱が身体中から溢れ出ているような、忘れられない女性でした。歳をとると、かつての知人たちが次々にいなくなっていくものです。けれど、何歳になっても新しい出会いはあります。「金の糸」が日本で、若い世代の方たちとも出会えることを楽しみにしています。 著名人コメント(順不同・敬称略) 一組の夫婦の母親同士が高齢ゆえに同居することになるという展開はどこにでも起こりうるヒヤヒヤするような設定だが、その二人が芸術家と旧ソ連の残党、という桁違いの分断を大元にしているのがすごい。二人のすれ違いからは、美しい映画のセットの外の「失われた時」の重苦しさを想像させられる。年老いた人が「かつて」の話しかできない自分を止められないことに、自らうろたえる描写はすごい迫力だ。 西川美和(映画監督) 熟成された時間を、深々と味わうような美しい映画です。 幾重にも人々を引き裂いた歴史の破片を、今繋ぐもの。それは「生きることを愛する才能」という美酒でしょうか? 加藤登紀子(歌手) 暗黒の時代を経験し過酷な人生を送ったにも関わらず、ゴゴベリゼ監督の大らかな優しさが滲み出て登場人物の一人一人を慈しみながら描いてゆく。 映画というものの力を、その美しさを全身に感じ幸せな時間になった。 吉行和子(女優) 人間は“劣化”なんかしない。 老いるとは“経年美化”することである。 時をためると、果実が実り、過去は、やがて財産になる。 だんだん美しくなる人生を。 映画「金の糸」は人生の讃歌です。 伏原健之(東海テレビ放送『人生フルーツ』監督) 気づいたら作品に引き込まれており、気づいたら終わっていた。しかし、確実な何かが後に残される。まるで人生のようだ。 「金の糸」を通じてジョージアの人生観に是非触れていただきたい。 ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使) 家の中から一歩も出られない主人公。だが、会話と思考によって、彼女の冒険は空間も時間も超えてどこまでも広がっていく。その無邪気な大胆さに何より魅了された。 月永理絵(エディター&ライター) 政治的立場、男女の思い、世代の隔絶。砕けたそれらをエレネは縫い直す。苦難の時代を生きた女性たちの頬に刻まれた皺は、金の糸だ。その皺がひどく羨ましくて、生きて、歳をとりたいと思った。 鈴木史(映画監督・美術家・文筆家) 心を澄ましてエレネの言葉を聞こう。 限りある時を如何に生きるべきか。 起きた出来事を憂うのか、 それとも解釈を変えて好転させるのか。 意識をどこにフォーカスするかで 私達は過去さえ変えられる。 黒田雪子(金継師) 過去と過去をつなぎ合わせ時間も空間も超えた物語。監督自身の過去やジョージアの歴史も紡ぎ、祈りも込められている。この映画との関わり方もまた、人と人をつなぐ“金継ぎ”じゃないかと思う。 堀 道広(うるし漫画家/金継ぎ部主宰) 激動のソ連時代を生き、人間と時代を見つめてきたゴゴベリゼ監督。 その彼女が到達した金字塔。人生を洞察し、過ぎ去った歳月を問い、今をよりよく生きる。 美しく、優しく、深い余韻をいつまでも心に残す。 はらだたけひで(画家・ジョージア映画祭主宰) 公開初日2月26日(土)13:00の回&15:30の回上映後には、岩波ホールでラナ・ゴゴベリゼ監督のオンライン舞台挨拶が行われる。現在93歳の監督が、ジョージアの首都トビリシから日本の観客にメッセージを届けてくれる。さらに、上映期間中の毎週木曜日13:00の回上映後には、ゲストのトークも開催。 ◆ラナ・ゴゴベリゼ監督オンライン舞台挨拶 日時:2/26(土)13:00の回&15:30の回上映後 会場:岩波ホール ◆「金の糸」上映後トーク 3/3(木)加藤登紀子さん(歌手) 3/10(木)はらだたけひでさん(画家・ジョージア映画祭主宰)① 3/17(木)ティムラズ・レジャバさん(駐日ジョージア大使) 3/24(木)はらだたけひでさん② 3/31(木)はらだたけひでさん③ 4/7(木)五月女颯さん(ジョージア文学・批評理論研究) 4/14(木)廣瀬陽子さん(慶応大学教授・コーカサス地域研究) ※すべて13:00の回上映後 会場:岩波ホール Story 未来のために、過去を「金」で継ぎ合わせて。 旧市街の片隅で 私たちは語る 信じて欲しい 壊れた過去も美しいと。 トビリシ旧市街の片隅。作家のエレネは生まれた時からの古い家で娘夫婦と暮らしている。今日は彼女の79歳の誕生日だが、家族の誰もが忘れていた。娘は、姑のミランダにアルツハイマーの症状が出始めたので、この家に引っ越させるという。ミランダはソヴィエト時代、政府の高官だった。そこへ突然、60年前の恋人アルチルから電話がかかってきて……。 「金の糸」 監督・脚本:ラナ・ゴゴベリゼ 撮影:ゴガ・デヴダリアニ 音楽:ギヤ・カンチェリ 出演:ナナ・ジョルジャゼ、グランダ・ガブニア、ズラ・キプシゼ 原題:OKROS DZAPI|英語題: GOLDEN THREAD|2019年|ジョージア=フランス|91分 字幕:児島康宏|配給:ムヴィオラ|公式サイト:http://moviola.jp/kinnoito/ © 3003 film production, 2019 -
アカデミー賞7部門ノミネートの「ベルファスト」、ケネス・ブラナーが語る
2022年2月24日ケネス・ブラナーが監督・製作・脚本を手掛け、出身地の北アイルランド ベルファストを舞台に自身の幼少期を投影して撮り上げた自伝的作品「ベルファスト」が、3月25日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国で公開。 [caption id="attachment_9583" align="aligncenter" width="850"] Director Kenneth Branagh (left) and actor Jude Hill (right) on the set of BELFAST, a Focus Features release. Credit : Rob Youngson / Focus Features[/caption] 第46回トロント国際映画祭で最高賞にあたる観客賞を受賞して以降「これぞオスカーにふさわしい作品!」(ROLLING STONE)、「オスカー賞レースを新たな高みへと引き上げる作品」(VARIETY)、「熱狂!この映画を決して忘れることはできない」(THE HOLLYWOOD REPORTER)と、各誌から絶賛が寄せられた本作。 第27回放送映画批評界協会賞では最多11部門にノミネートされ、第79回ゴールデングローブ賞では脚本賞を受賞。そして第94回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、助演女優賞、助演男優賞、脚本賞、主題歌賞、音響賞の7部門でノミネートを果たした。 一方で同じくブラナーが監督を務める映画「ナイル殺人事件」は、2月11~13日の全米ボックスオフィスランキングで興行収入1,289万1,123ドル(約15億円)で初登場1位に輝き、ブラナー作品への注目が高まっている。 「頑張る彼らの姿に力をもらってほしい」 このたびブラナーのインタビュー映像が解禁。今の時代に故郷ベルファストを舞台に自伝的作品を撮り上げた思いや、こだわりのキャスティング秘話、そして分身というべき少年役を託したジュード・ヒルへの絶大な信頼などを明かした。 「ベルファストは物語に事欠かない街だ。特に1960年代後半のベルファストは街の歴史上最も過酷な激動の日々だった」と語り始めるブラナー。「あの日々はずっと僕の頭にあって、故郷で過ごしたあの時代の物語をいつか脚本にしようと思っていた」と長年、映画化の機会を探っていたことを明かす。そんな中で新型コロナウイルスによるパンデミックが起き、過激さは違えども変わりゆく世界を人々が目の当たりにしていると感じ、最初のロックダウンが始まった2020年頃に脚本に着手した。 時代の変化に戸惑い苦悩しながらも、未来へ突き進む家族の物語を描くにあたり、キャスティングではアイルランドと縁が深い俳優にこだわった。「ジェイミー・ドーナンはベルファストの出身でホーリーウッドという街に住んでいた。祖父役のキアラン・ハインズは僕の実家からたった1キロ半の場所に住んでいたんだ」。さらにカトリーナ・バルフやジュディ・デンチにもアイルランドの血が流れており、「俳優たちがとても前向きなエネルギーを加えてくれたと思う。彼らは“家族”だったね」と役者陣へ信頼を明かした。特に、自身を投影させた少年バディ役のジュード・ヒルに対しては「すばらしい仕事をしてくれた。僕らがジュードを見つけ出した瞬間、彼の才能はまさに開花したんだ」と絶賛。 「この作品を観て、頑張る彼らの姿に力をもらってほしい」というブラナー。家族と故郷をテーマに、笑いと涙で綴った人生賛歌に、感動とエネルギーをもらえるはずだ。 [caption id="attachment_9584" align="alignnone" width="550"] Writer/director Kenneth Branagh on the set of BELFAST, a Focus Features release. Credit: Rob Youngson/Focus Features[/caption] 「ベルファスト」の第1弾記事はこちら © 2021 Focus Features, LLC.