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「PLAN 75」の早川千絵監督が描く、少女と大人たちの世界「ルノワール」
2025年2月25日「PLAN 75」でカンヌ国際映画祭カメラドール特別賞に輝いた早川千絵監督が、日本・フランス・シンガポール・フィリピン・インドネシア共同製作により、大人たちと接する中で揺れていく少女を描いた「ルノワール」が、6月20日(金)より新宿ピカデリーほか全国で公開される。 1980年代後半のある夏。11歳のフキは、両親と3人で郊外に暮らしている。大人を戸惑わせるほど感受性が豊かな彼女は、持ち前の想像力を膨らませながら、気ままに過ごしていた。時に垣間見る大人の世界は、刺激的だが滑稽で、楽しくて仕方ない。だが、闘病中の父と仕事に追われる母との間にはいつしか溝が生じ、フキの日常も揺らいでいく──。 フキを演じるのはオーディションで選ばれた鈴木唯。母の詩子役は石田ひかり、父の圭司役はリリー・フランキーが務め、フキが出会う大人たちには中島歩、河合優実、坂東龍汰が扮する。フキの豊かな感情と大人たちのままならなさを、ユーモアを滲ませて温かく見つめた注目作だ。 〈コメント〉 早川千絵(監督・脚本) うれしい、楽しい、寂しい、怖い。子どもの小さな体に、はちきれんばかりに宿る感情。 そこに「哀しい」が加わる時、人は初めて大人になるのかもしれません。 子どもと大人の淡い境目をたゆたう少女の、複雑怪奇な感受性と豊かな孤独が親密さをともなって、この映画を観た人の心に触れることを願っています。 鈴木唯(沖田フキ役) 映画「ルノワール」でフキを演じた鈴木唯です。映画の主演が決まったときは、「え?!本当!」と、とても驚きました。フキは不思議な感じの子で、演じることは大変でしたが、撮影はとても楽しかったです。早川監督とみんなで一緒に作った映画「ルノワール」に、少しでも興味を持ってもらえたらとても嬉しいです。 石田ひかり(沖田詩子役) ずっと楽しみにしていた「PLAN 75」を、初日の初回で観ました。あの時の衝撃は、今でもいくらでも話すことができるほど、くっきりと心に残っています。監督に直接、その想いを伝えることが出来ただけで満足でしたが、「早川組」の一員として過ごした日々は、本当に夢のようでした。終わって欲しくなくて、始まってもいないのに、クランクインが来て欲しくないと思った作品は初めてです。 日本語と英語、フランス語とジョークが飛び交う、楽しくおしゃれで刺激的な現場でした。娘役の唯ちゃんは、どの瞬間も純粋でなに色でもなく、教えられることがたくさんありました。夫役のリリーさんは、減量を続けながらの撮影で本当に大変だったと思いますが、控え室でも現場でもとびきり楽しい話をして、私たちをいつも笑わせてくださいました。夢のような気持ちで撮影した作品が、いよいよ皆様の元へ巣立っていきます。多くの方の心に、届きますように。 リリー・フランキー(沖田圭司役) この少女の一瞬に、美しさと儚さ、生活と時間、脆さと希望。様々な星屑がきらめいていて、撮影をしながらも、名作の誕生に携わっている名誉を感じていました。 中島歩(御前崎透役) 昨年の恐ろしく暑い夏の撮影を振り返ると、はじめに早川さんの姿や声が思い浮かびます。 僕は彼女が感じている世界の一部であったように思えてくるのです。 懐かしく寂しく美しい世界に、潜るような映画体験になるでしょう。 ぜひ劇場でご覧ください。 河合優実(北久理子役) 1日だけの参加でしたが、早川千絵監督の人柄が滲み出ているような、あたたかく、純粋で、細やかな仕事の集まった現場だなと感じました。その中で慎重に、自分にできることをしました。この映画にお力添えできて嬉しいです。まだ完成を観られていないのですが、早川監督の内にあるものから生まれた新たな世界と、鈴木唯さんのまだ何にも縛られない自由な魂がきっと映っていることと信じています。 坂東龍汰(濱野薫役) 早川組に初めて参加させていただき、とても嬉しかったです。今まで経験した現場とは少し違い、いろんな国のスタッフの方々との現場づくりはとても新鮮で刺激的でした。僕は唯さんとのシーンが多かったのですが彼女の持つ不思議な魅力にちゃんと反応できるように、そして現場での状態を柔らかく保てるように心がけました。これからこの映画を見てくださる方々にどのように受け取っていただけるのかとても楽しみです。 「ルノワール」 出演:鈴木唯、石田ひかり、中島歩、河合優実、坂東龍汰、リリー・フランキー 脚本・監督:早川千絵 企画・制作:ローデッド・フィルムズ 製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ ©2024「RENOIR」製作委員会/Ici et Là Productions/ARTE France Cinema/Akanga Film Asia/ Nathan Studios/KawanKawan Media/Daluyong Studios 公式サイト:https://happinet-phantom.com/renoir/ -
〈伊丹十三4K映画祭〉に宮本信子と塚原あゆ子が登壇。伊丹映画の魅力を語る
2025年2月24日伊丹十三監督の全10作品を、4Kデジタルリマスター版で1週間ずつ上映する〈日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭〉が、2月21日(金)から5月1日(木)までTOHOシネマズ 日比谷・梅田で開催中だ。2月22日(土)にはTOHOシネマズ 日比谷で「お葬式」上映記念イベントが行われ、俳優の宮本信子と映画監督の塚原あゆ子が登壇した。 宮本は「40年も前の映画が上映される。こんなに嬉しいことはありません」、塚原は「知らない世界を見せてくれる映画」と思いを述べた。さらに両者がタッグを組んだドラマ『海に眠るダイヤモンド』(2024)に話題が及ぶと、互いの信頼を窺わせるエピソードが披露され、会場が沸く。最後に観客へメッセージが贈られ、イベントは盛況のうちに幕を閉じた。 宮本信子コメント 伊丹さんが亡くなって27年─。こんなにたくさんの伊丹映画のファンの方に愛し続けていただき、伊丹さんも幸せだと思います。 塚原監督は作品をつくるのにあたって、はっきりとしたイメージがあり、演者とコミュニケーションがとれる頼もしい監督です。 塚原あゆ子コメント 伊丹映画は、キャラクターの造詣が機知に富んでいて、今観ても新しさを感じる名作です。伊丹監督の作品の魅力が10作品を通してみなさんに届くことは本当に素晴らしいことだと思います。 宮本さんは、一緒に考えながら作品づくりに挑んでいただけて、本番でも思いがけないことをしてくださる素敵な方です。 なお映画祭来場者には、先着で復刻版チラシブック(伊丹監督自ら各作品を紹介したチラシ裏面も完全収録)を配布中。また5月には、10作品を日本映画専門チャンネルにて4K画質で一挙放送する。引き続き注目したい。 〈日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭〉 劇場:TOHOシネマズ 日比谷、TOHOシネマズ 梅田 期間:2月21日(金)~5月1日(木) ※各作品1週間上映 配給:日本映画放送 公式サイト:https://www.nihon-eiga.com/osusume/itami4k/ -
“すごい俳優たちと仕事をした”。復讐ノワール「リボルバー」メイキング映像公開
2025年2月22日「無頼漢 渇いた罪」(2015)のオ・スンウク監督と主演チョン・ドヨンが再タッグを組み、すべてを奪われた主人公の復讐を描いたノワール・ミステリー「リボルバー」が、2月28日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開される。メイキング映像が到着した。 https://www.youtube.com/watch?v=lbyDzpeLmmo 「すごい俳優たちと仕事をしました」(オ・スンウク監督)、「ある意味爆発的で、感情を抑えた中、各キャラのジレンマの衝突から生まれるケミストリーが魅力的」(イム・ジヨン)、「このような姿や感情で演技したのは初めて」(チョン・ドヨン)、「アンディというキャラが面白いと思ったし、より面白く演じられそうな気がした」(チ・チャンウク)などのコメントを交え、熱のこもった撮影現場を映し出していく──。登場するのは悪人ばかりで、敵と味方の区別も不明。実力派俳優たちの演技バトルとともに、強烈な物語を見届けたい。 Story 夢見ていたマンションへの入居が迫る中、恋人の裏金問題に巻き込まれた警察官スヨン。謎の男アンディが持ちかけた「罪を被ってくれるなら大きな補償をする」という取引きに応じ、刑務所に入る。そして2年後の出所日、刑務所の前で待っていたのは見知らぬ女ユンソンだった。嵌められたと知ったスヨンは、失った金も家も取り戻すべくアンディを探し、さらに背後の巨大勢力に立ち向かうが……。 © 2024 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES AND STORY ROOFTOP ALL RIGHTS RESERVED. 配給:ツイン ▶︎ 名優チョン・ドヨン主演。すべてを失った元警察官の復讐ノワール「リボルバー」 ▶︎ 出所した元刑事の前に現れたのは…? 復讐ノワール「リボルバー」冒頭シーン公開 -
浅野忠信が伝説の写真家・深瀬昌久を演じる「レイブンズ」、愛猫サスケの映像&写真公開
2025年2月22日主演に浅野忠信、共演に瀧内公美を迎え、伝説の写真家・深瀬昌久の波瀾万丈な人生を実話とフィクションを織り交ぜて描いた「レイブンズ」が、3月28日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館、ユーロスペースほか全国で公開される。2月22日=〈猫の日〉に合わせ、浅野演じる深瀬と愛猫サスケがやりとりするシーンの映像2点、ならびに実際に深瀬が撮ったサスケの写真が解禁された。 https://www.youtube.com/watch?v=TRphm8yVn_s https://www.youtube.com/watch?v=RhZh1AyVKpI 「深瀬は『私は猫目の高さで腹這いになってこの一年余り実によく写真を撮っていたので、なんだか猫になってしまった。私はみめうるわしい可愛い猫ではなく、猫の瞳に私を写しながら、その愛しさを撮りたかった』と言っていたくらい、無類の猫好きでした。生涯にわたって様々な猫を飼いました。その中でもサスケが有名です。洋子さんと別々の道を歩むと決めた翌年、深瀬はどうにも猫が飼いたくなり、知人の紹介で仔猫を譲り受けます。自宅まで連れて帰ると物怖じせずピョンピョンと飛び回ったことから、忍者・猿飛佐助のサスケを命名。どこへ行くにも連れ回り、写真に撮り収めました。そんなサスケも次第に寝てばかりに。そこで再び仔猫に譲りつけ、モモエと名づけました。」 ──トモ・コスガ(深瀬昌久アーカイブス創設者兼ディレクター) 写真に憑かれ、撮ることでしか愛せなかった深瀬。その繊細でワイルドな生きざまに注目したい。 [caption id="attachment_47051" align="aligncenter" width="850"] 深瀬昌久「無題」(シリーズ『サスケ』より)1977-78年 © 深瀬昌久アーカイブス[/caption] [caption id="attachment_47052" align="aligncenter" width="850"] 深瀬昌久「無題」(シリーズ『サスケ』より)1977-78年 © 深瀬昌久アーカイブス[/caption] ©Vestapol, Ark Entertainment, Minded Factory, Katsize Films, The Y House Films 配給:アークエンタテインメント ▶︎ 写真家・深瀬昌久の芸術と愛の軌跡を、浅野忠信×瀧内公美で映画化「レイブンズ」 -
2019年の初演以来、何度も再演されてきた鈴木おさむ原作の朗読劇を、FANTASTICSの八木勇征、井上祐貴、櫻井海音、IMP.の椿泰我主演で実写映画化した作品が、2月21日に公開された。18歳を迎えて、人生で一回だけ魔法を使えることになった4人の青年が、人生の岐路に立ちながら、何に魔法を使うのかの選択をしていく青春ファンタジーだ。その作品の魅力を深堀りしてみよう。 村に伝わる、18歳になった男子が知る秘密とは? 舞台は美しい自然に囲まれた小さな田舎の村。ここで育ったアキト(八木勇征)、ハルヒ(井上祐貴)、ナツキ(櫻井海音)、ユキオ(椿泰我)の4人は18歳を迎えて、村の重鎮・テツ爺(笹野高史)から呼び出され、村の秘密を聞かされる。それは「18歳になった村の男たちは、20歳になるまでの間に人生で一度だけ魔法が使える」というもので、ただ一つ「命にかかわることに魔法を使ってはいけない」というルールがあった。最初は信じられない4人だったが、それぞれが人生の岐路に立ち、次第に魔法と真剣に向き合う時が訪れる。 それぞれが事情を抱えながら、魔法の使い方を見つけていく 最初は自分の欲望を満たすことや、苦手な食べ物や昆虫をなくすことに魔法を使おうと言い出す4人だったが、かつて同じ道を通り抜けてきた父親たちから「魔法で誰かを幸せにできるといいね」、「何に使ってもいいが後悔するなよ」といったアドバイスを受けて、1回のチャンスをどう使うか真剣に考え始める。物語は小学校の時から親友である4人の友情が中心で、魔法も彼らの関係性と密接に絡んだものになっていく。 一方で4人は魔法でも使って、何とかしたい状況を抱えている。アキトは音楽大学への受験を希望して、その難関を突破するのに不安を覚えている。ハルヒは生まれつき心臓の病気を患っていて、いつ病状が悪化するかわからない。ナツキはクラブチームに入っても通用するほどサッカーの才能があったが、造園業をしている父親が病に倒れ、サッカー選手の道をあきらめた。そしてユキオは建設会社を営む父が、かつて村の自然を破壊するダム工事に加担した過去があり、そのことで周囲から批判にさらされている。誰もが自分の今の状況を変えたいと願っているが、そのために魔法を使っていいのか苦悩する。アキトは自力で音大に合格して見せるといい、「魔法でずるをするのはよくない」とみんなに言う。またハルヒは小学1年生の時、それまで友達がいなかった病弱な自分にアキトが声をかけてくれ、その後4人そろって桜の花びら舞い散る公園で鬼ごっこをしたときに、僕はみんなに魔法をかけてもらったんだという。ハルヒにとっては、自分だけでは叶えられない幸福を、誰かが味合わせてくれることこそが魔法なのだ。そんなハルヒの魔法に対するイメージが、4人の中に自然と芽生えていく展開が心地よい。 主演の4人が、キャラが持つ心情を見事に表現して好演! 挫折を覚えながらもピアニストの道を目指すアキト役の八木をはじめ、病気を抱えているからこそ、常に友人のためを思うハルヒの優しさを絶妙のバランスで表現した井上、友情ばかりを優先するみんなに、もっと自分の欲望に正直でもいいんじゃないかと問いかけるナツキ役の櫻井、そして彼らを結び付けるペースメーカー的な役割を果たすユキオの椿と、4人の演技のアンサンブルが見事。物語は彼らが魔法を使えるタイムリミットである、20歳までの2年間を描いているが、4人の人生のうねりを、これが劇場映画初監督の木村真人が感情豊かに描き出している。 また作品で目を引くのが、主人公4人と父親との関係性だ。彼らは病気のハルヒを除いて、母親がいない。ここではかつて魔法を使ったことがある父親たちが、彼らの人生を見守るキーパーソンになる。自分もプロのピアニストを目指しながら、夢に破れたアキトの父に田辺誠一、悔いのない人生の日々を送ってほしいと願うハルヒの父に高橋洋、ダム建設に絡んだ自分の行動が息子を苦しめていることに悩むユキオの父にカンニング竹山、そして病で自分の体が利かなくなったことで、息子の夢を奪ったことがやりきれないナツキの父に阿部亮平。それぞれ人生で苦みを味わってきた父親たちの、ちょっとした言葉が息子たちを前へ進ませる助けになるのだ。その父と息子に特化した親子関係が、観る者の胸を打つホームドラマにもなっている。 原作者・鈴木おさむが込めた、日常の幸せへのメッセージ! 原作者の鈴木おさむは、2024年3月末日をもって放送作家業と脚本家業からの引退を宣言したが、彼が辞める前にどうしても映像として作っておきたかったのがこの映画。そのため彼は引退直前に、自ら脚本を書き上げたとか。最近のCMで彼は、新型コロナウイルスに2度感染し、その間子供たちと触れ合えなかった経験を経て、当たり前の日常に感謝するようになったと語っている。この映画では、友と過ごせる小さな幸せのありがたさを、4人の強い友情の結びつきによって映し出している。人が人の心がつながることによって生まれる感動。その素晴らしさを、多くの方に感じていただきたい。 文=金澤誠 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=Im9NcD_unrA&t=6s 「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」 2月21日(金)より TOHOシネマズ日比谷ほか 全国公開 2025年/日本/110分 監督:木村真人 原作・脚本:鈴木おさむ 主題歌:「春舞う空に願うのは」 FANTASTICS from EXILE TRIBE エンディングテーマ:「魔法みたいな日々」 FANTASTICS from EXILE TRIBE 出演:八木勇征、井上祐貴、櫻井海音、椿泰我( IMP.)、カンニング竹山、阿部亮平、髙橋洋、馬渕英里何、平野宏周、工藤美桜、笹野高史、田辺誠一 配給:ポニーキャニオン ©2025 映画「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」製作委員会 公式HP:https://waraumushi.jp/