記事
「はから始まるもの」の検索結果
(50件)
-
「全米が吐いた!?」という強烈すぎるキャッチコピーで話題になり、超残酷描写の連続からR18+(18歳未満入場・鑑賞禁止)に指定されたにもかかわらず、劇場にはホラー映画マニアだけでなく、一部、若い女性やカップルまでが怖いもの見たさでやって来た問題作『テリファー 終わらない惨劇』のBlu-ray&DVDが10月13日にレンタル・セル同時リリース。忌み嫌われてもおかしくないアンチモラルでグロテスクな殺人鬼が新たなホラーアイコンになった理由とは──。 脳天串刺し、内蔵引き出し、目玉えぐり…… ひたすらグロいシーンが続く。直視できな人体破壊でスクリーンは鮮血色に染まりっぱなしだ。『テリファー 終わらない惨劇』は今年公開されたホラー映画の中でも残酷度では群を抜く。百戦錬磨のホラー映画通さえ、「これはやりすぎでは」という声もあった。しかし多くのホラー映画ファンが、この極度にむごたらしい映画を観るために劇場に並んだ。 ある年のハロウィンの夜、9人の市民が殺される凶悪事件が起きる。前作「テリファー」で描かれた“マイルズ郡大虐殺“と呼ばれた事件だ。本作はその直後から始まる。ピエロの姿をした殺人鬼は死亡したが、その遺体が忽然と消える。 それから1年後のハロウィンの夜、死んだはずのピエロが再び街に現れ、はしゃぐ人々を無差別に殺し始める。前作と同様、ピエロは神出鬼没、おどけた仕草を見せながら出会った市民を無差別に惨殺する。ある女性は生きたまま頭の皮を剥がれ、手足も無惨に折られて人間生け花のようになる。ある者は釘を打ち込んだバットでズガーンとノックされ、顔面が穴だらけに。お決まりのディスコ抜け出しカップルの男性は、大事な場所をスッパリと……。脳天を串刺しにする、皮膚を燃やす、内蔵を引き出す、目玉をえぐる。生殺しにされて血糊にまみれる被害者たち。痛い、熱い、苦しい……、とても見ていられない最低最悪の殺人ショー。 だが、この映画は不思議とホラー映画ファン以外の観客にも受け入れられた。そればかりでなく、主役の残虐な殺人ピエロ、アート・ザ・クラウンは新時代のホラーアイコンとして注目され、フィギュアまで発売された。映画サイトのユーザーレビューには「アート・ザ・クラウンかわいい!」といった投稿も見られた。実に不思議な現象だ。殺人ピエロはなぜ人気者になれたのだろう。 アート・ザ・クラウンはなぜ人気アイコンになったのか いわゆるモダンホラーと呼ばれる1970年代以降の恐怖映画から人気アイコンになったキャラは数多い。『悪魔のいけにえ』のレザーフェイス、『13日の金曜日』のジェイソン、『ハロウィン』のブギーマン、『エルム街の悪夢』のフレディ……多くのキャラクターがホラー人気を盛り上げたが、彼らには共通するものがある。 1)見た目がグロテスクすぎない。シンプルな怖さを感じる外見 2)適度にコミカルな仕草。時に「可愛さ」さえも見せる残酷とのコントラスト 3)大げさで、やり過ぎさえ感じる暴力、残酷行為。 以上の3点を兼ね備えた時、キャラクターは人気アイコンになれるのだ。アート・ザ・クラウンはこの3つの要素を持っている。トランプに描かれたシンプルなジョーカーのような外見。かぎ鼻や白黒ツートンの地味な衣装。それらは懐かしさすら感じさせるルックだ。また演じる俳優が徹底的に訓練したというピエロのしぐさも重要だ。サーカスや大道芸で見かける一瞬で人の心をつかむアクションは、残酷殺人との落差を際立たせつつ、観客をクスリとさせる。そして特殊メイクアーティストでもある監督ダミアン・レオーネの凝りに凝った被害者たちの死体造形や大量の血糊。それらはグロテクスでありながらもリアルすぎない。映像の質感も70~80年代のフィルムに近づけ、レトロ感を強調する。そのせいで観客は「これは映画だ」と割り切って見ていられる。フィクションとしてのテイストが強調されているからこそ、本作はマニア以外にも受け入れられたのではないか。見ていて嫌な気持ちになる実録犯罪映画などとの決定的な違いがそこにある。 続編は?「テリファー」シリーズが大化けする可能性 加えて本作は映画にファンタジー的な要素を加えたことも効果的だった。ファイナル・ガール(最後まで生き残るヒロイン)シエナの美しく勇敢な姿、最終局面で立ち直る意外性はファンタジーRPGに慣れた若者の指向にフィットした。さらにアート・ザ・クラウンの妹的キャラ、リトル・ペイル・ガールの登場などはホラー一色ではない、別次元の楽しさを映画に加えている。リトル・ペイル・ガールは不気味ないでたちでありながら、現実のハロウイン・イベントでコスプレできそうなキュートさと親近感がある。 前作「テリファー」は予算が35000ドル(約520万円)の自主映画で、日本では当初、DVDストレートだった。しかし口コミで人気になり、2作目の本作はクラウド・ファンディングに25万ドル(約3700万円)もの資金が集まり、全米で劇場公開され1500万ドルの興収をあげた。日本でもダミアン・レオーネ監督作品の劇場初公開となり、続けて前作「テリファー」もスクリーン上映されている。 本作を最後まで観れば、監督が続編に意欲満々とわかるだろう。3作目は、さらに大きな予算で製作され、メジャースタジオが関与するシリーズとして大化けする可能性もある。ホラーはマニアックなジャンルでもあるが、自主制作から下剋上するポテンシャルも秘めていると本作は教える。映画はどうすれば成功するのか、その秘訣を探るためBlu-rayなどのメディアで繰り返し鑑賞、研究してほしい“テキスト”でもある。 文=藤木TDC 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=plCTkN_1QZM 『テリファー 終わらない惨劇』 ●10月13日(金)レンタルリリース(セルも同日) ●2022年/アメリカ/本編138分 ●監督・脚本・VFX・特殊効果:ダミアン・レオーネ ●撮影:ジョージ・ステューバー ●プロデューサー:フィル・ファルコーン ●出演:ジェナ・カネル、ローラン・ラベラ、デイヴィッド・ハワード・ソーントン ●レンタル 発売・販売元:プル―ク ●セル 発売元:プルーク/販売元:アメイジングD.C. © 2022 DARK AGE CINEMA LLC. ALL RIGHTS RESERVED
-
ポッドで赤ちゃんを育てる近未来カップルの運命は?「ポッド・ジェネレーション」
2023年10月13日AIが進化した近未来のニューヨークを舞台に、持ち運び可能な卵型の《ポッド》で赤ちゃんを育てることを選択したカップルを描いたSFラブコメディ「ポッド・ジェネレーション」が、12月1日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、ホワイトシネクイントほかで全国公開。ポスタービジュアルが到着した。 ハイテク企業に勤めるレイチェルは、新たな出産方法を実現する最新テクノロジーに心惹かれる。一方、自然界の多様性を守ろうと奮闘する植物学者のアルヴィーは、自然な妊娠を望む。そんな二人は《ポッド妊娠》を選択した。出産までの10ヵ月、どのように向き合うのか──。 レイチェル役と製作総指揮を兼ねるのは、『ゲーム・オブ・スローンズ』のエミリア・クラーク。《女性の自由》と《母性》との葛藤を巧みに表現する。アルヴィー役には「それでも夜は明ける」のキウェテル・イジョフォー。 これが長編3作目となるソフィー・バーセス監督は「商品化に最もそぐわないものをテーマに据えようと考えた」と言う。カップルはどこに辿り着くのか、新時代に何が待っているのか、見届けたい。 「ポッド・ジェネレーション」 監督:ソフィー・バーセス 主演・製作総指揮:エミリア・クラーク 出演:キウェテル・イジョフォー 111分/ベルギー、フランス、イギリス合作/シネマスコープ/2022年/英語/カラー/原題:The Pod Generation/字幕翻訳:安本熙生/G 提供:AMGエンタテインメント、パルコ 配給:パルコ 宣伝:スキップ © 2023 YZE – SCOPE PICTURES – POD GENERATION 公式サイト:pod-generation.jp -
東京国際映画祭出品。新鋭・小辻陽平監督が紡ぐ2つの並行物語「曖昧な楽園」
2023年10月13日決して交わらない生と死をめぐる2つの物語を実験的アプローチで紡ぎ、第36回東京国際映画祭コンペティション部門に出品される新鋭・小辻陽平の長編監督デビュー作「曖昧な楽園」が、11月18日(土)よりポレポレ東中野ほかで全国順次公開。ポスタービジュアルと場面スチール、著名人のコメントが到着した。 一軒家で身体が不自由な母(矢島康美)と暮らす達也(奥津裕也)。介助に追われながら交通量調査員として働き、カプセルホテルで夜を過ごす日々に、居場所を見出せずにいる。 植物状態となった独居老人(トム・キラン)の住む団地へ連日通い、世話をしているクラゲ(リー正敏)。ある日、再会した幼なじみの雨(内藤春)を老人の部屋へ案内し、交流を深めていく。そんな中で老朽化した団地の取り壊しが迫り、クラゲと雨は老人を連れてバンで旅に出るが……。 SF映画のような独特の雰囲気で描く167分のロードムービー「曖昧な楽園」。「曖昧で不確かな瞬間をこそ映したい」という監督の信念のもと、脚本作りから演出まで即興を重視した手法が採用され、監督と俳優たちはつねに対話を重ねながら物語を構築していった。 〈コメント〉 あなたがカメラの前に立ってくれて、私がそれを撮影する。あなたが映画のなかに存在することの感動。他には何もいらない。ただそれだけで奇跡的なことなんだ…。映画を撮っていてそう思えた瞬間があったことを思い出した。物語ることよりも大切な瞬間がある。死んでいることと生きていることの隙間を彷徨う者たちの静止したような時間が重ねられる中で、映画は彼らが「存在すること」と出逢おうとする。交通量調査をする達也にとって無為な時間に堆積する母親の抑圧が感情に点火する瞬間が訪れるが、雨とクラゲの場合、発火する感情もないまま死に接近し、生きているものと死にゆくものとの存在の差を測定するように彼岸への道行きを開始する。彼らは孤独であり、世界と断絶した闇の中にいるのかもしれないが、『曖昧な楽園』は希望を捨てない。映画=カメラはそれが誰であれそこに写る者を決して否定しない奇跡的な装置であることをこの映画がよく知っているからだと思う。この果敢な挑戦を讃えたい。 ──諏訪敦彦(映画監督) 時が止まったような巨大な団地。足元でかすかに点滅する光。車が行き交う灰色の道路。まるで遠い星のどこかを映したような無機質さにまず引き込まれた。そしてそこを行き交う人々はみなぼんやりと輪郭を失っていて、なるほどこれはSF映画なのだと確信したが、その確信は間違いだったかもしれない。でもたしかにここに映るのは、どこかには存在するがどこにも存在しない場所であり、私はその曖昧さに惹かれたのだ。 ──月永理絵(ライター・編集者) 現実を生きる為の非現実。哀しみのない世界を夢みて悲しみを受け入れる。 ──やまだないと(漫画家) 生きていない生。死んでいない死。その曖昧な時間が見事に紡がれる。 時折り青く燃え上がり、音を立ててパチパチと弾ける。送り火を見守っている時のように、気持ちが澄んでいく。 好みを超えて食らってしまった。 ──髙橋泉(脚本家) 実体を掴もうとするほど、するすると零れ落ちていく。思いを口にすると、自分の言葉じゃなくなってしまう。そんな時、内に残るのは“曖昧”な感覚。私は一生この感覚から逃れられないでいる。けれど、この映画はそんな“曖昧”が溶けていく。溶けて、音を立てず静かに消えていく。情緒の流れるところに。 ──小川あん(俳優) 『曖昧な楽園』には映画づくりに対する真摯な姿勢が映っている。それは、小辻陽平の日々を生きる姿。 ──仙頭武則(映画プロデューサー) 生も死も、交わらない2つの物語も、翳りの中でスペクトラムに関わり合っている。 ショットの一つ一つ、その一秒一秒が、目の前からはぐれてしまった世界との関わりを取り戻そうとするかのように。 そこに映画の呼吸が生まれている。 全10,063秒。こんな呼吸を共にするために映画館の暗闇がある。 『曖昧な楽園』を映画館で味わってほしい。 ──小原治(ポレポレ東中野) 「曖昧な楽園」 監督・脚本:小辻陽平 出演:奥津裕也、リー正敏、矢島康美、内藤春、トム・キラン 2023年/カラー/167分 © 曖昧な楽園製作委員会 公式サイト:https://aimainarakuen.studio.site -
“香港のネオンを再び”。シルヴィア・チャン主演「燈火(ネオン)は消えず」
2023年10月12日香港の夜景の象徴でありながら廃れゆくネオンを題材に、名優シルヴィア・チャンとサイモン・ヤムを夫婦役に迎えて紡いだヒューマンドラマ「燈火(ネオン)は消えず」が、2024年1月12日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほかで全国順次公開される。 腕利きのネオンサイン職人だったビル(サイモン・ヤム)の亡き後、彼がやり残した最後のネオンづくりを引き継ごうと決めた妻のメイヒョン(シルヴィア・チャン)。ある日、夫の工房へ行くと見知らぬ青年(ヘニック・チャウ)がいた。香港を離れようとする娘(セシリア・チョイ)と対立しながら、メイヒョンはやがて伝説の吹きガラス製ネオンの存在を知る……。 第59回金馬奨で、シルヴィア・チャンに「最愛」以来36年ぶり3度目の主演女優賞をもたらした本作。第96回米アカデミー賞国際長編映画賞の香港代表作品にも選ばれ、アナスタシア・ツァン監督は「本当に驚いています。今年の香港では素晴らしい映画がたくさんあったので、私のデビュー作が香港代表に選ばれたことを大変光栄に思います。この機会により多くの香港映画が世界中の観客に届く扉が開かれることを願っています」と喜びを語った。また、シルヴィア・チャンは「香港のネオンをふたたび灯しましょう!」と呼びかけ、プロデューサーのサヴィル・チャンは「キャストとスタッフを代表して、私たちの映画に対する愛情と揺るぎない支援に感謝します」と述べた。 なお昨年の東京国際映画祭でも、「消えゆく燈火」のタイトルで上映されている。ネオン職人たちによるラストのサプライズまで、感動の物語を見届けたい。 「燈火(ネオン)は消えず」 プロデューサー:サヴィル・チャン 監督・脚本:アナスタシア・ツァン 出演:シルヴィア・チャン、サイモン・ヤム、セシリア・チョイ、ヘニック・チャウ 英語題:A Light Never Goes Out/中国語題:燈火闌珊/2022/香港映画/103分 配給:ムヴィオラ ©2022 A Light Never Goes Out Limited All Rights Reserved 公式サイト:https://moviola.jp/neonwakiezu -
マ・ドンソクが悪党を一掃するシリーズの第3弾「犯罪都市 NO WAY OUT」
2023年10月12日マ・ドンソクが最強刑事を演じる「犯罪都市」シリーズの第3弾であり、悪役ツートップとして青木崇高とイ・ジュニョクが参戦、さらに國村隼も出演する「犯罪都市 NO WAY OUT」が、2024年初春に新宿ピカデリー、グランドシネマサンシャイン 池袋ほかで全国公開。ビジュアルが到着した。 ベトナムでの凶悪犯一斉検挙から7年。ソウル広域捜査隊に異動した “怪物刑事” マ・ソクト(マ・ドンソク)は、ある転落死事件を捜査する中で、合成麻薬および日本のヤクザの関連を突き止める。一方で “ヤクザの解決屋” リキ(青木崇高)は、一条親分(國村隼)に指示され、麻薬を盗んだ組織員たちを処分すべくソウルへ渡来。さらに消えた麻薬の奪取を目論む “汚職刑事” チュ・ソンチョル(イ・ジュニョク)も加わり、三つ巴の激戦に突入、マ・ソクト最大のピンチが訪れる──。 青木崇高は「るろうに剣心」シリーズのアクションチームを招いてトレーニングに励み、日本刀アクションを披露。イ・ジュニョクは20キロ以上増量し、ボイストレーニングも積んで新たな顔を見せる。 韓国公開時には、ハリウッド大作を押さえて4週連続1位の大ヒット。来年5月には早くもシリーズ第4弾の公開が予定されている。進化を続ける “やりすぎ” 刑事の爽快アクションに期待したい。 「犯罪都市 NO WAY OUT」 監督:イ・サンヨン 主演・プロデューサー:マ・ドンソク 出演:イ・ジュニョク、青木崇高、國村隼 2023年/韓国/韓国語/カラー/シネマスコープ/原題:범죄도시 3/105分/PG-12/字幕翻訳:根本理恵 提供:ツイン、Hulu 配給:ツイン 宣伝:スキップ ©ABO Entertainment presents a BIGPUNCH PICTURES & HONG FILM & B.A. ENTERTAINMENT production world sales by K-MOVIE ENTERTAINMENT 公式サイト:https://hanzaitoshi3.com