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[caption id="attachment_40533" align="aligncenter" width="886"] 「拝啓天皇陛下様」[/caption] 今月は大スターや巨匠監督の映画に注目。劇場版第一作から今年で55年を迎える、映画シリーズ「男はつらいよ」。その主演の渥美清は、昭和を代表する喜劇俳優だった。「男はつらいよ」以降は〝寅さん〞のイメージと一体化したが、今回はそれ以前の彼の代表作を放送。野村芳太郎監督による「拝啓天皇陛下様」(63)は、孤児で無学な主人公が軍隊に入って、仲間もいればただで食事にもありつける軍隊を天国だと思い、戦争が終わりそうになると、除隊は嫌だと天皇陛下に直訴の手紙を書く喜劇。軍隊を礼賛するように見えて、根は孤独な男の哀歓を滲ませながら、戦争と人間を映し出した作品である。渥美は上官のいびりも何のその。本来過酷な軍隊生活をエンジョイする主人公に扮し、この逆説的な反戦映画を見応えのあるものにしている。好評を受けて作られた姉妹編「続・拝啓天皇陛下様」(64)、「拝啓総理大臣様」(64)も併せて放送。また渥美の主演作では、瀬川昌治監督とのコンビで彼が鉄道員を演じたコメディ「喜劇・列車」シリーズ3作品(67〜68)、「男はつらいよ」の第6作(71)と、第30作(82)も登場する。 [caption id="attachment_40536" align="aligncenter" width="886"] 「炎の肖像」[/caption] その第30作「男はつらいよ・花も嵐も寅次郎」に出演した沢田研二は、1960年代のザ・タイガースのボーカルを経て、71 年にソロ歌手デビューしてからは、〝ジュリー〞の愛称で70〜80年代を駆け抜けたスーパースターだった。今回は彼が単独で初主演した「炎の肖像」(74)が登場。ここで彼はロック歌手の鈴木二郎を演じているが、後半の沢田のロックコンサートのシーンを含めて、虚実を融合させた異色作になっている。〝虚〞のドラマ部分では、公開当時話題になった大胆なラブシーンをはじめ、ロック歌手のスキャンダラスなプライベートをドラマとして描き、秋吉久美子や原田美枝子が彩りを添える。藤田敏八、加藤彰の日活ロマンポルノ監督コンビが演出にあたり、音楽は井上堯之と大野克夫という豪華な布陣。時代のカリスマだった、〝ジュリー〞の魅力が詰まった一本になっている。併せて、彼がストイックで妖しいテロリストを演じた森田芳光監督の「ときめきに死す」(84)。さらに急逝した志村けんの代役として主演した、山田洋次監督による映画への愛が込められた人間ドラマ「キネマの神様」(21)も放送される。 [caption id="attachment_40537" align="aligncenter" width="886"] 「八月の狂詩曲」[/caption] 巨匠の映画では、黒澤明監督の「八月の狂詩曲」(91)がお目見え。長崎で暮らすお婆ちゃんと、4人の孫たちとのひと夏の触れ合いを中心に、原爆を体験したお婆ちゃんの心情を底辺に這わせ、「生きものの記録」(55)、「夢」(90)に連なる黒澤監督の反核の想いが映し出された作品だ。村瀬幸子扮するお婆ちゃんの甥役で、リチャード・ギアも出演。そのたどたどしくも誠実さが溢れる日本語のセリフも印象的だ。黒澤作品では他に、彼の遺作となった「まあだだよ」(93)も登場。こちらは作家・随筆家の内田百閒と彼の門下生たちとの触れ合いを描いた、人間讃歌になっている。門下生のひとりを演じた所ジョージが、軽さと柔らかさを感じさせて好演。デビュー作「姿三四郎」(43)や「赤ひげ」(65)など、黒澤監督には師弟関係を描いた作品が多いが、その集大成とも言える一篇だ。 文=金澤誠 制作=キネマ旬報社(「キネマ旬報」2024年8月号より転載) BS松竹東急 BS260ch/全国無料放送のBSチャンネル ※よる8銀座シネマは『一番身近な映画館』、土曜ゴールデンシアターは『魂をゆさぶる映画』をコンセプトにノーカット、完全無料で年間300本以上の映画を放送。 ■8/9[金] 夜8時 「八月の狂詩曲」 監督:黒澤明 出演:村瀬幸子、吉岡秀隆、大寶智子、鈴木美恵、伊嵜充則、リチャード・ギア ほか © 1991 松竹株式会社 ■8/19[月] 夜8時 「拝啓天皇陛下様」 監督:野村芳太郎 出演:渥美清、長門裕之、中村メイ子、左幸子、高千穂ひづる、藤山寛美 ほか © 1963 松竹株式会社 ■8/29[木]夜8時 「炎の肖像」 監督:藤田敏八、加藤彰 出演:沢田研二、秋吉久美子、原田美枝子 ほか 詳細はこちら:https://www.shochiku-tokyu.co.jp/special/eiga/
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新堂冬樹の同名純愛小説を、主演に三山凌輝と久保史緒里(乃木坂46)、共演にファン・チャンソン(2PM)を迎えて映画化した内田英治監督(「ミッドナイトスワン」「サイレントラブ」)の最新作「誰よりもつよく抱きしめて」が、2025年2月よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開される。 絵本専門店に勤める水島月菜(久保史緒里)は、絵本作家の水島良城(三山凌輝)と同棲中。互いを大事にしているが、良城は強迫性障害による潔癖症のため、月菜に触れられない。ようやく治療を決意した良城は、病院で同じ症状の千春に出会い、葛藤を共有。その姿に嫉妬めいた感情を覚えた月菜の前に、恋人と触れ合っても心が動かないイ・ジェホン(ファン・チャンソン)が現れる──。 脚本を担当したのは、東京藝術大学大学院映像研究科脚本領域で坂元裕二に師事し、「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」などを手掛けたイ・ナウォン。 愛を伝えることのままならない者たち。交錯した先に待ち受ける運命に注目したい。 〈コメント〉 三山凌輝(水島良城役) 内田監督とは以前に偶然海外でお会いしたご縁もあり、いつか作品で御一緒できたらと話をさせて頂いていたのですが、まさかこんなに早く、しかも監督の作品で自分にとっても初の主役を努めさせて頂くことになるなんて、そのスピード感含めて、本当に驚きの連続でした。 良城を演じる事は、当初シンプルにワクワクした部分がありましたが、自分の陽の性質に比べ、すごくかけ離れていたり、更には強迫性障害を患っているということもあり、自分とは正反対とも言える、この難しいキャラクターを演じるには、どう役に向き合えばいいのか、最後まで、ずっと考え試行錯誤し続けました。 作品自体は、画に流れる空気感がとても素敵なのですが、よくある恋愛映画に終わらず、人のモヤッとする矛盾みたいなものがあえて描かれていたり、人間生きてたら、こういう事あるよね…みたいなリアリティある展開を含めて内田監督だからこその魅力が詰まっていて、人の心に必ず引っかかるような、そんな味わい深い作品になっているのではと思います。誰もが人間関係や恋愛で知らずに経験しているような、単純に割り切れない複雑な気持ちや、行動を敢えて描くことにより、皆さんの心にどんな思いを残す事ができるか?僕自身も楽しみですし、皆さんも、どうか楽しみにしていて下さい。 久保史緒里(桐本月菜役) 桐本月菜役を務めさせていただきました、久保史緒里です。 月菜として生きた日々を今振り返ってみると、とても息苦しかったように思います。常に自分の感情に蓋をしているようで、果たして己にとって一番大切にしたいものは何か、自分なのか、愛する存在なのか、あるいはそれ以外なのか。環境や行き場のない想いに振り回されながらも、月菜の心を満たしてくれるものも蝕んでいくものもいつだって『愛情』だったように思います。そんな刺激的な日々を、三山さん、チャンソンさんをはじめとする素敵な方々とご一緒させていただき、本当に光栄でした。 また、内田監督とご一緒させていただくのは今回で三度目となります。繊細に揺れ動く月菜の心情を言葉に変換しながら、真正面から向き合っていただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。この作品が、私たちが生きる中で日々探し求めている愛情のカタチを見つけ出すきっかけとなりますように。そして、月菜が見つけた、導き出した、愛情の答えを見届けていただけたら幸いです。 劇場でお待ちしております。 ファン・チャンソン(イ・ジェホン役) オファーをもらったとき、日本で俳優としての活動を続けていくきっかけになる作品ではないかと思い、とてもワクワクしました。素敵な作品の提案をいただいたので、何よりも精一杯頑張りたいという気持ちでいっぱいでした。 私が演じるイ・ジェホンは、父親の家業を継ぐことを拒否し、シェフになるという夢を持ちながら日本で働き、自分の夢に向かって頑張る男性です。そんなジェホンがシェフの夢を諦めようとしていた時に、日本でのあるきっかけで夢を持ち続けることになり、自分の道を愛して大切にしていく情熱的な人物です。 撮影は長い時間ではありませんでしたが、撮影期間中、スタッフのみなさんや共演者のみなさんとの相性がとても良かったと思います。内田監督の正確で細かい演出と、その演出を実行するスタッフのみなさん、そして素晴らしい役者のみなさんと共演することができて本当に幸運でした。 恋の感情と葛藤は、必ずしも現時点で解決されなければならないモノではないということ。忘れていた感情の物語が時間の流れに溶け込み、互いを理解して許すことができるということ。私はこの映画を通して、恋をしている私たちに必要なのはこういうことではないかと思いました。ぜひ楽しんで観ていただけたら嬉しいです。^^ 内田英治(監督) ふとしたきっかけで出会った小説「誰よりもつよく抱きしめて」を映画化させていただきました。小説の中で描かれる、愛情にまつわる悲しみや純粋な気持ちをスクリーンに投影させたいという衝動に駆られ、若手俳優たちとともに作品作りを行いました。ミュージシャンとしても活躍する三山凌輝、久保史緒里、チャンソンの3人の演技は初々しさとリアリティが混合する素晴らしいものとなり、その姿をぜひ劇場で見ていただきたいと思います。 新堂冬樹(原作者) 内田英治監督と初めて出会ったのは、六年前のことだった。 私の著書、「誰よりもつよく抱きしめて」を映画化したいとの話が、共通の知人の制作会社の経営者を通してあったのだ。 本書は2005年発売の作品で、その当時でも13年前に刊行された小説だった。 光文社の「女性自身」で連載していた作品で、発売当初から映画化、ドラマ化の話が殺到していた。 いろんな問題で話がまとまらずに結局、映画化までに20年の歳月を要してしまったが、結果、内田監督という稀代のヒットメーカーが撮ってくれることになったので、ここまで待ってよかったと思っている。 先日、試写を観た私がまず思ったのは、主役の三山さんが、いい意味で「BE:FIRST」の三山凌輝のイメージを崩してくれたということだ。 どういうことかと言うと、主人公の脅迫的潔癖症を患っている良城が憑依したような演技だったからだ。 私は小説家という仕事柄、年間300本前後の映画やドラマを観ているが、ここまでタレントイメージを裏切る演技をした若手役者を見た記憶がない。 もう一人の主役、月菜役の久保史緒里さんの演技には言葉を失った。 セリフのうまさはもちろん、セリフがないときの表情や瞳の演技が、セリフがあるときと同等、もしくはそれ以上に心に伝わってきた。 小説家風にたとえると、顔面筋、毛細血管の一本一本まで動かす演技力、という感じだ。 久保さんにお会いする前から、滅多に人を褒めない内田監督の評価が異常に高かったのも納得の女優力だ。 静と動の演技の使い分けや声のトーンの強弱のつけかたが秀逸で、陳腐な言葉かもしれないが、彼女のような人を天才というのだろう。 チャンソンさんとは約10年前に、私の著書『忘れ雪』で主役をやって貰って以来、久々の再会だったが、韓国でもドラマや映画で活躍し、以前に比べて演技に深みが出て、大人の役者さんになったと感慨深い思いでスクリーンを見ていた。 話題性だけではない二人の若き主役を抜擢し、これだけの作品に仕上げた内田監督の眼力と演出力もまた、紛れもない天才の為せる業だ。 こんなに素敵な映画になり、小説家冥利に尽きる思いだ。 「誰よりもつよく抱きしめて」 原作:新堂冬樹「誰よりもつよく抱きしめて」(光文社文庫) 監督:内田英治 脚本:イ・ナウォン 出演:三山凌輝、久保史緒里(乃木坂46)、ファン・チャンソン(2PM) 配給:アークエンタテインメント ©2025「誰よりもつよく抱きしめて」HIAN /アークエンタテインメント 公式サイト:dareyorimo-movie.com
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アジアドラマの人気作をスペシャルプライスで提供するポニーキャニオン〈コンパクトBOXシリーズ〉。その第16弾として、華流ドラマの2作『恋した彼女は宇宙人』『斗羅大陸~7つの光と武魂の謎~』が10月23日(水)にリリースされる。 『恋した彼女は宇宙人』 ツンからデレに変わる破壊力は抜群。 国境を越えて愛されたヒット作。 宇宙からやってきたお騒がせヒロインとツンデレ総裁、 運命的に出会った2人のハラハラ&胸キュンの恋が始まる! コンパクトDVD-BOX 全2BOX/全28話/PCBP.62391~62392/¥5,500(税込) 発売元・販売元:ポニーキャニオン ©2020 Tencent Penguin Pictures(Shanghai) Co., Ltd 『斗羅大陸~7つの光と武魂の謎~』 アジアのトップ俳優シャオ・ジャン主演。 ネット小説の王と称される唐家三少の小説を豪華共演陣と一流スタッフで映像化。 “可愛い顔して喧嘩好き”なヒロインと“純粋で温かい”主人公の運命は? コンパクトDVD-BOX 全3BOX/全40話/PCBP.62393~62395/¥5,500(税込) コンパクトBlu-ray BOX 全3BOX/全40話/PCXP.51084~51086/¥6,600(税込) 発売元:ポニーキャニオン/ポリゴンマジック/BS12 トゥエルビ 販売元:ポニーキャニオン ©New Classics Television 2021 〈コンパクトBOXシリーズ〉サイトはこちら
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4月に刊行いたしました『午前十時の映画祭14 プログラム』のP4とP24-25に掲載されている「フェーム」の写真画像に誤りがありました。掲載されている写真は2009年に製作された「Fame フェーム」(日本劇場未公開)になっています。 読者および関係者のみなさまに深くお詫び申し上げるとともに、ここに正しい画像を掲載します。 (キネマ旬報社 『午前十時の映画祭14 プログラム』編集部) © 1980 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
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名匠ヌリ・ビルゲ・ジェイランがアナトリア東部の村を舞台に、ある教師を主人公とした物語を紡ぎ、第76回カンヌ国際映画祭最優秀女優賞受賞(メルヴェ・ディズダル)、第96回アカデミー賞国際長編映画賞トルコ代表作選出、第29回リュミエール賞最優秀国際共同製作賞受賞を果たした「二つの季節しかない村」が、10月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開される。ポスタービジュアルが到着した。 冬が長く雪深いトルコ東部の村で、美術教師を務めるサメット。同地を忌み嫌っているが、村人には尊敬され、女生徒のセヴィムにも慕われていた。ところがある日、同僚のケナンと共に、セヴィムらに虚偽の“不適切な接触”を告発される。同じ頃、美しい義足の英語教師ヌライと知り合い……。 標高2150メートルの壮大な世界遺産ネムルトダーに対比される、自我に縛られた人間の小ささ。サメットは雪解けとともに現れた枯れ草に何を見出すのか──。圧倒的な映画世界に注目したい。 〈レビュー〉 非の打ちどころのない脚本と演技。 焼け付くような、魅惑的な、 忘れがたい作品。 ──THE WRAP 壮大。 驚くほどエレガントで 優美なフィナーレを迎える。 ──Los Angeles Times 圧倒的。 観る者の注意を一瞬たりとも失わない。 ──elPeriódico 「二つの季節しかない村」 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン 脚本:アキン・アクシュ、エブル・ジェイラン、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン 出演:デニズ・ジェリオウル、メルヴェ・ディズダル、ムサブ・エキチ、エジェ・バージ 2023/トルコ・フランス・ドイツ/198分 配給:ビターズ・エンド © 2023 NBC FILM/ MEMENTO PRODUCTION/ KOMPLIZEN FILM/ SECOND LAND / FILM I VÄST / ARTE FRANCE CINÉMA/ BAYERISCHER RUNDFUNK / TRT SİNEMA / PLAYTIME 公式サイト:www.bitters.co.jp/2kisetsu