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[caption id="attachment_36872" align="aligncenter" width="1024"] 「殺しの烙印」[/caption] 監督鈴木清順生誕百周年を記念し、彼の日活時代の作品からセレクトされた作品13タイトル(SP2本を含む)が2個のブルーレイボックス其の壱『セイジュンと男たち』其の弐『セイジュンと女たち』として発売中。ラインナップは前者が「殺しの烙印」「けんかえれじい」「野獣の青春」「俺たちの血が許さない」「勝利をわが手に-港の乾杯-」、それにSP「素ッ裸の年令」と「らぶれたあ」(SPは2本でディスク1枚)で6枚、後者が「河内カルメン」「肉体の門」「春婦傳」「関東無宿」「裸女と拳銃」で6枚となっている。各々に特典ディスク(DVD1枚)付属。さらに各ボックスには全52ページのブックレットが付いている(後述)。 収録作品を概観すれば分かるようにボックス「其の壱」には清順アクション映画の代表作の数々が奇妙な歌謡曲映画と共に並び、ボックス「其の弐」には野川由美子の全主演作をはじめとする女優陣の個性際立つ作品が収められている。 [caption id="attachment_36874" align="aligncenter" width="1024"] 「河内カルメン」[/caption] 清順といえば男性アクション。これはあまりに正しい反応であろう。「殺しの烙印」が第79回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門で最優秀復元映画賞を受賞した事実から分かるように、その濃密なモノクロ映像は「アクションに奉仕するアクション」というコンセプト共々、現代アクション映画の祖型と見なすのが可能である。「野獣の青春」の過剰なまでにスタイリッシュな美学も世界的に注目を浴びている。しかし清順映画の奥深さはこうした男性スター映画によってのみ示されるものではない。そこに気づかせてくれるのが「其の弐」の野川由美子主演作、ということになる。戦時中、戦後初期、同時代、と様々な状況下に生きるたくましいキャラクターを描いて、まさに六〇年代女優アクション映画の精髄と呼びたい。特典についても触れておこう。映像面では故・青山真治監督との貴重なトークイベントの模様が収録(「其の弐」)される他、評論家上野昻志によるインタビューもたっぷり。そしてブックレットには各収録作品に対応した鈴木清順所有の最終脚本の一部が掲載されている(SPは脚本が見つからず未掲載)。 [caption id="attachment_36875" align="aligncenter" width="1024"] 「けんかえれじい」[/caption] 清順映画における脚本直しの周到さは、これまでスタッフや映画評論家森卓也の証言などで伝説的に語られてきたものの、現物が掲示されたことはない。今回、ご遺族の厚意により筆者はそれらをじっくり読ませていただくのが叶った。結論から言うと事実が伝説を超えるというか、聞きしに勝る膨大な量の書き込み、読み直しに感嘆した。その一部が既に封切り時に公刊されている脚本「けんかえれじい」は、当時問題視された物語の飛躍(北一輝の出現)のみならず演出手法の検討もじっくり行われ、その過程が逐一判読できる。日活時代の清順が多くの助監督陣(その後、日本映画を代表する監督になった人々)に刺激を与えたという、その理由がよく分かった。清順脚本読解、という新たな方法論は今後の映画研究における一つの規範を提示するものとなり得るのではないだろうか。 文=上島春彦 制作=キネマ旬報社(「キネマ旬報」2024年4月号より転載) 「鈴木清順生誕100周年記念シリーズ ブルーレイBOX」 ●其の壱『セイジュンと男たち』(7枚組) 価格:33,000円(税込) 【収録作品】 「殺しの烙印」「けんかえれじい」「野獣の青春」「俺たちの血が許さない」「勝利をわが手に-港の乾杯-」「素ッ裸の年令」「らぶれたあ」 【特典映像】 ・鈴木清順監督に聞く「映画監督とその人生」インタビュー【初出】 (聞き手:リピット水田堯 収録日:2014年10月26日・10月29日)※HD映像 ・『殺しの烙印』監督インタビュー (聞き手:上野昻志 収録日:2001年8月8日/2001年発売DVD(DVN-26)収録映像の再収録) ・『殺しの烙印』真理アンヌトークイベント (聞き手:轟夕起夫 2023年11月5日新文芸坐『殺しの烙印』上映時撮影)※HD映像 ・『殺しの烙印』1967年幻の劇場公開版/修正マスク映像【現在のマスターとの比較映像(一部HD映像)】 ・『野獣の青春』監督インタビュー (聞き手:上野昻志 収録日:2001年8月8日/2001年発売DVD(DVN-28)収録映像の再収録) ・『野獣の青春』監督インタビュー (聞き手:上野昻志 1990年11月チャンネルNECO放送「スペースシアター・鈴木清順監督特集」)等 【映像特典】 各ディスクに予告篇・ギャラリーを収録(特典DVDを除く、予告篇マスターの現存しない作品は収録されません) 【音声特典】 『殺しの烙印』音声コメンタリー 鈴木清順監督・真理アンヌ/聞き手:轟夕起夫 ※既発DVDボックス同作品に収録され ていた音声の再収録。 【封入特典】 限定ブックレット(全52P装丁/ 清順監督使用秘蔵台本復元ブックレット 解説:上島春彦) 【仕様】 特製アウターケース、ピクチャーディスク 【封入特典】 ・プレスシート縮尺再編集版 ▶其の壱『セイジュンと男たち』ブルーレイBOXの詳細情報 ●其の弐『セイジュンと女たち』(7枚組) 価格:33,000円(税込) 【収録作品】 「河内カルメン」「肉体の門」「春婦傳」「関東無宿」「悪太郎」「裸女と拳銃」 【特典映像】 ・鈴木清順監督×青山真治監督 対談トークイベント【初出】 (2001 年 3 月 24 日テアトル新宿「鈴木清順レトロスペクティブSTYLE TO KILL」上映時撮影) ・鈴木清順監督×木村威夫(美術監督)対談 (収録:2006 年/既発 DVD ボックスリリース時製作「清順監督50周年記念キャンペーン DVD」収録映像) ・『肉体の門』監督インタビュー (聞き手:上野昻志 1990 年 11 月チャンネルNECO 放送「スペースシアター・鈴木清順監督特集」) ・『関東無宿』監督インタビュー (聞き手:上野昻志 1990 年 11 月チャンネルNECO 放送「スペースシアター・鈴木清順監督特集」) ・『悪太郎』監督インタビュー (聞き手:上野昻志 1990 年 11 月チャンネルNECO 放送「スペースシアター・鈴木清順監督特集」)等 【映像特典】 各ディスクに予告篇・ギャラリーを収録(特典DVDを除く、予告篇マスターの現存しない作品は収録されません) 【封入特典】 限定ブックレット(全52P装丁/ 清順監督使用秘蔵台本復元ブックレット 解説:上島春彦) 【仕様】 特製アウターケース、ピクチャーディスク ▶其の弐『セイジュンと女たち』ブルーレイBOXの詳細情報 ●発売元:日活 ●販売元:ハピネット・メディアマーケティング ©日活株式会社
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「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」の監督・岩井俊二×音楽:小林武史が新たにタッグを組み、BiSHの元メンバーであり現在はソロで活躍するアイナ・ジ・エンドが映画初主演を務めるとともに6曲を制作、そして松村北斗・黒木華・広瀬すずが共演──。 出会いと別れを繰り返す4人の壮大な旅路を描いた「キリエのうた」のBlu-rayとDVDが、5月29日(水)に発売される(レンタル同日開始)。豪華版の映像特典となる〈ソラのうた~メイキング・オブ・キリエのうた~〉の一部が公開された。 https://www.youtube.com/watch?v=3qZCDSxPPbs 撮影シーンとその裏側を捉えた映像、監督とキャストのインタビューなどが展開。作品理解が深まるはずだ。 豪華版はメイキング以外にも、イベント映像集、劇場公開時に配信された〈撮影を終えて〉など特典充実。三方背ケース仕様で、フォトブックレットも付いてくる。本編と併せて楽しみたい。 Story 歌うことでしか声を出せない路上ミュージシャンのキリエ(アイナ・ジ・エンド)。 姿を消した婚約者を捜す夏彦(松村北斗)。 傷ついた人々に寄り添う小学校教師のフミ(黒木華)。 過去と名前を捨ててキリエのマネージャーとなる謎めいたイッコ(広瀬すず)。 石巻、大阪、帯広、東京を舞台に、4人の壮大な物語が紡がれる。 [caption id="attachment_37161" align="aligncenter" width="850"] ※Blu-ray豪華版[/caption] 「キリエのうた」 5月29日(水)Blu-ray・DVDリリース(レンタル同日) 2023年/日本/本編178分 Blu-ray豪華版:7,700円(税込) Blu-ray通常版:5,500円(税込) DVD豪華版:6,600円(税込) DVD通常版:4,400円(税込) ◆豪華版の仕様・封入特典 ・三方背ケース ・フォトブックレット ・特典ディスク(DVD) ◆豪華版の映像特典 ・ソラのうた〜メイキング・オブ・キリエのうた〜 ・イベント映像集(完成報告イベント、公開記念舞台挨拶) ・撮影を終えて(アイナ・ジ・エンド×岩井俊二、松村北斗、広瀬すず) ・予告集(本編ディスク) 出演:アイナ・ジ・エンド、松村北斗、黒木華/広瀬すず 村上虹郎、松浦祐也、笠原秀幸、粗品(霜降り明星) 矢山花、七尾旅人、ロバート・キャンベル、大塚愛 安藤裕子、鈴木慶一、水越けいこ 江口洋介、吉瀬美智子、樋口真嗣、奥菜恵、浅田美代子 石井竜也、豊原功補、松本まりか、北村有起哉 原作・監督・脚本・編集:岩井俊二 『キリエのうた』(文春文庫刊) 企画・プロデュース:紀伊宗之 プロデューサー:水野昌、岡部圭一朗、田井えみ 音楽:小林武史 主題歌:Kyrie「キリエ・憐れみの讃歌」(avex trax) 撮影監督:神戸千木 美術:我妻弘之、松浦健一 録音:中川究矢 スタイリスト:申谷弘美 ヘアメイク:小林麗子 装飾:大和昌樹 照明:高田紹平、阿部良平 助監督:佐藤匡太郎、内田知樹、志賀共記 音楽プロデューサー:成川沙世子 制作プロダクション:ロックウェルアイズ 配給:東映 発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング ©2023 Kyrie Film Band
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日本のロック・ポップス黎明期から時代を先取りし、今なお人々に影響を与える音楽家・加藤和彦の軌跡を追った「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」が、5月31日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかで全国順次公開。本ビジュアルと予告編が到着した。 高橋幸宏が加藤和彦に寄せた思いから、制作に至った本作。日本初のミリオンヒットを生んだザ・フォーク・クルセダーズの結成秘話、サディスティック・ミカ・バンドの海外公演やレコーディングの映像、さらに日本ポップスの金字塔といえる“ヨーロッパ三部作”の逸話などを盛り込み、加藤和彦の功績を紐解いていく。 https://www.youtube.com/watch?v=hMyziMoqhX4 企画・構成・監督・プロデュースは「SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬」「音響ハウス Melody-Go-Round」の相原裕美。「前作『音響ハウス Melody Go Round 』完成試写会の時に、高橋幸宏さんから何気無く『トノバン(加藤和彦)って、もう少し評価されても良いのじゃないかな?今だったら、僕も話すことが出来るけど』と言われたのが、加藤和彦さんに強く興味を持ったきっかけでした。それから、加藤さんの事を調べれば調べる程、革新的な事や、新しいスタイルを産み出している事等々、音楽業界にいながら加藤さんの事を本当に知らなかった、と愕然となりました。微力ながらこの映画が、加藤和彦さんの再評価につながればと思います」とコメントしている。 「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」 出演:きたやまおさむ、松山猛、朝妻一郎、新田和長、つのだ☆ひろ、小原礼、今井裕、高中正義、クリス・トーマス、泉谷しげる、坂崎幸之助、重実博、コシノジュンコ、三國清三、門上武司、高野寛、高田漣、坂本美雨、石川紅奈(soraya) アーカイブ:高橋幸宏、吉田拓郎、松任谷正隆、坂本龍一 企画・構成・監督・プロデュース:相原裕美 制作:COCOON 配給・宣伝:NAKACHIKA PICTURES 協賛:一般社団法人MAM 2024年/日本/カラー/ビスタ/Digital/5.1ch/118分 ©2024「トノバン」製作委員会 公式サイト:https://tonoban-movie.jp/
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ホアキン・フェニックス×レディー・ガガ「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」特報映像解禁
2024年4月11日心優しく孤独な男が《悪のカリスマ》に変貌していく姿を描き、社会現象となった「ジョーカー」(2019)。その続編としてホアキン・フェニックスが再び主演し、レディー・ガガがハーリーン・クインゼル(通称ハーレイ・クイン)役で新たに参戦する「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」が、10月11日(金)より公開される。特報映像が到着した。 悪のカリスマとなったアーサー(ホアキン・フェニックス)に、「私は誰でもない、あなたと違って何もしてない」と言うハーリーン(レディー・ガガ)。幻想的でロマンティックなふたりのダンス。そして「もう俺1人じゃない」と告げるアーサー。新たに迎えるのは悲劇か喜劇か、見届けたい。 https://www.youtube.com/watch?v=gg2WqUkSXF4 「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」 監督:トッド・フィリップス 出演:ホアキン・フェニックス、レディー・ガガ 配給:ワーナー・ブラザース映画 © & TM DC © 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved 公式サイト:JOKERMOVIE.JP -
佐藤真のレトロスペクティブ開催。アート、パレスチナ、記憶を通じて見つめた彼方とは──
2024年4月11日稀代のドキュメンタリー作家・佐藤真のレトロスペクティブ〈暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE〉が、5月24日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で順次開催。ポスタービジュアルと予告編、濱口竜介・深田晃司・三宅唱という3監督の新着コメント、ならびにエドワード・サイードと親交の深かった作家・⼤江健三郎がかつて佐藤監督作品「エドワード・サイード OUT OF PLACE」に寄せたコメントが公開された。 《⽇常》を撮りながら、そこに潜むもうひとつの世界への⼊り⼝を探し、言葉に絡め取られる前の世界の感触を伝えた佐藤真。2007年に49歳で世を去ってからも、人々に影響を与え続けている。 今回のレトロスペクティブでは、知的障害者と呼ばれる7⼈のアーティストの活動を通して芸術表現の根底に迫った「まひるのほし」(1998)、自閉症を抱えたアーティスト・今村花子と家族の物語「花子」(2001)、パレスチナの窮状を世に伝えて共⽣の地平を探り続けた知識⼈エドワード・サイードの不在を見つめた「エドワード・サイード OUT OF PLACE」(2005)の3作を4Kレストア上映。 さらに、新潟⽔俣病の舞台となった阿賀野川流域に暮らす人々を捉えた長編デビュー作「阿賀に生きる」(1992)、その10年後に残されたものにカメラを向ける「阿賀の記憶」(2004)、孤高の写真家・牛腸茂雄の作品世界に肉薄した「SELF AND OTHERS」(2000)も特別公開する。 https://www.youtube.com/watch?v=SAqGuFmSvaE 〈コメント〉 エドワード・サイードの「不在」の⾵景のなかを、ゆったりと美しいカメラが、いつまでも追ってゆく。パレスチナ、イスラエルの苦しみのひだひだが照射される。⼈々の⾊濃い思い出を横切るサイード。そしてサイードの「希望」が私らの頭上に現われる。 (「エドワード・サイード OUT OF PLACE」について) ──⼤江健三郎(作家) 佐藤真の映画ではカメラが人物の前に回ることが多い。対立でもなく、対峙でもなく、被写体の前で立ちすくむカメラ。そんな印象を受ける。答えのない過酷な生を、人々の声が和らげる。佐藤真はインタビューすることを恐れない。インタビューの一つ一つが説明に堕することがないのは、人の声自体を「できごと」として捉える感性ゆえだろう。一度お会いしたかった。 ──濱口竜介(映画監督) 生きていると佐藤真監督の映画のことを不意に思い出す。阿賀の景色、花子の笑顔、パレスチナの難民たち。それら映像の記憶の断片はノスタルジーから遠く現在と生々しく接続している。 ──深田晃司(映画監督) なぜそう撮ったのか。なぜそう繋いだのか。なにを撮らずにいたのか。なにを撮れなかったのか。あるショットから次のショットへ、そのすべての変化が、新たな発見として、新たな応答として、そして新たな問いとして迫ってくるように受け止めています。自分なりに考えてきたつもりでも、いままた見直すと、まだまだぜんぜん受け止められていないことに気づき、新たな問いばかり見つかります。レトロスペクティヴの開催を嬉しく思っています。 ──三宅唱(映画監督) [caption id="attachment_37131" align="aligncenter" width="850"] 「まひるのほし」 ©1998 「まひるのほし」製作委員会[/caption] [caption id="attachment_37132" align="aligncenter" width="850"] 「花子」 ©2001 シグロ[/caption] [caption id="attachment_37133" align="aligncenter" width="850"] 「エドワード・サイード OUT OF PLACE」 ©2005 シグロ[/caption] 〈暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE〉 配給:ALFAZBET、パラブラ 提供:パラブラ、シグロ、阿賀に生きる製作委員会、太秦、カサマフィルム、ユーロスペース 4Kレストア:ヨコシネDIA 公式サイト:https://alfazbetmovie.com/satomakoto