解説
「北の零年」「北のカナリアたち」に続く吉永小百合主演の“北の三部作”最終章。息子二人を連れて戦争から逃れ網走で過酷な状況の中生き抜いたてつ。1971年、次男の修二郎は戦禍によるPTSDに悩む母と思い出の地を辿るうちに、禁断の記憶に行きつく。監督は「おくりびと」「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」の滝田洋二郎。母てつを演じる吉永小百合や成人した修二郎役の堺雅人ら俳優陣とともに、貧しさや飢えに苦しみながら極寒の北海道で懸命に生きる母子のドラマを撮る。また、てつの心象風景を劇団ナイロン100℃の主宰ケラリーノ・サンドロヴィッチが演劇的に表現している。
この作品のレビュー
映画専門家レビュー
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評論家上野昻志大戦末期に、ソ連軍の侵攻を逃れて、樺太から子どもを連れて日本に帰還し、その時の記憶を抱えたまま戦後を生きてきた女性を、現在の側から照射するという物語は、よくわか... もっと見る
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映画評論家上島春彦堺雅人をあからさまにイヤなヤツに設定したのが効いている。どうしてこういう人になったのか、という部分とそこからの脱却とがごっちゃに描かれて飽きさせない。母親との二... もっと見る
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映画評論家吉田伊知郎吉永の夫が阿部寛で、堺雅人は息子役のはずが恋人同士みたいにイチャつくのを眺めながら、話題の惹句「東映じゃけぇ、何をしてもええんじゃ」は本作にこそ相応しいのではな... もっと見る
「北の桜守」のストーリー
1945年8月、ソ連軍は侵攻を開始し、江蓮てつは息子二人を連れ樺太を脱出。決死の思いで北海道の網走に辿り着き満身創痍の親子を意識を失うほどの厳しい寒さと飢餓が襲い、想像を絶する過酷な生活が待ち構えていた。1971年、アメリカで成功を収め日本初のホットドックストアの日本社長として帰国した次男の修二郎は、15年ぶりに網走へ。そこには長男の姿はなく、年老いた母がたった一人夫を待ち続けてわびしい暮らしをしていた。修二郎は母の面倒を見る決心をし札幌へ連れ帰るが、てつは薪を使い米を炊き近所から苦情を受けたり、金を払わないまま八百屋から葱を持ち去ろうとしたりと、次第に不可解な行動を見せ始める。てつは戦禍によるPTSDの後遺症に陥っていたのだった。立派になった修二郎に迷惑をかけたくないとの思いからてつは網走に戻ろうとするも、住処はすでに取り壊された後だった。帰る場所を失ったてつと、てつに寄り添いたいと思う修二郎。北海道の大地を巡り過去を辿りはじめる二人。その旅はやがて親子の抱える禁断の記憶の扉を開けていく。
「北の桜守」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「北の桜守」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2018 |
公開年月日 | 2018年3月10日 |
上映時間 | 126分 |
製作会社 | 「北の桜守」製作委員会(東映=テレビ朝日=木下グループ=東映アニメーション=博報堂=博報堂DYミュージック&ピクチャーズ=東映ビデオ=朝日放送=ジェイアール東日本企画=朝日新聞社=読売新聞社=メ~テレ=北海道テレビ=九州朝日放送=北海道新聞社=静岡朝日テレビ=広島ホームテレビ=東日本放送=新潟テレビ21)(製作プロダクション:東映東京撮影所) |
配給 | 東映 |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | シネマ・スコープ(1:2.35) |
カラー/サイズ | カラー/シネスコ |
公式サイト | http://www.kitanosakuramori.jp/ |
コピーライト | (C)2018「北の桜守」製作委員会 |
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