宮沢りえ ミヤザワリエ

  • 出身地:東京都練馬区
  • 生年月日:1973/04/06

略歴 / Brief history

東京都練馬区の生まれ。日本人の母とオランダ人の父を持つハーフ。10代の初めに雑誌モデルなどの活動を始め、1984年、高林陽一が演出した資生堂の企業CM『遠野物語』で映像デビュー。87年、三井不動産の『リハウス』CMで初代リハウスガールとなり、転校生の美少女・白鳥麗子を演じて全国的な人気を得る。翌88年、菅原比呂志(現・浩志)監督「ぼくらの七日間戦争」で映画初主演。大人たちに抵抗して廃工場に籠城する中学生グループのリーダー格・中山ひとみを生き生きと演じた。この演技によって、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その年、シングル『ドリームラッシュ』で歌手デビューも果たす。トップアイドルの座につきながらも、単なる飾り物的な美少女ではなく、奔放で個性的な面を強調し、89年にはカレンダーでふんどし姿の写真を発表。さらに91年、篠山紀信撮影のヌード写真集『Santa Fe』を突然発売し、大ベストセラーになるなど、絶えず意表を突くかたちで話題を振りまき続けた。テレビドラマでも、その底抜けに明るいキャラクターで次々と主演。フジテレビ『スワンの涙』89、『いつも誰かに恋してるッ!』『いつか誰かと朝帰りッ!』90、TBS『東京エレベーターガール』92などのほか、NHK大河ドラマ『春日局』89、『太平記』91にも出演する。20歳を過ぎると明るい少女役から脱皮し、妖艶な面も見せていく。勅使河原宏監督「豪姫」92では、武術の腕も立ち、知性も教養もあるタイトルロールを演じる。坂東玉三郎監督「天守物語」95では亀姫役。手みやげに人の生首を持ってくるような魔物の姫を演じた。いずれも監督の圧倒的な美意識に貫かれた作品であり、宮沢はその中に埋もれない強い美しさを放っていた。日本テレビのドラマ『西遊記』93では三蔵法師を演じ、10代の時から傑出していた超越感がより深い方向へと発揮されていく。フジテレビ『北の国から'95・秘密』95では、吉岡秀隆演じる純の恋人・小沢シュウ役を演じる。AV出演をしていた過去により純と別れることになるという暗い影を宿した役で、真っすぐ突き抜けた芝居だけではなく、屈折や繊細さも表現できるようになっていく。この間の92年に、大相撲の当時関脇だった貴花田(現・貴乃花親方)との婚約を発表。芸能界と角界の人気者同士の婚約は“世紀のビッグカップル”と話題を呼んだが、翌93年、わずか2カ月で婚約解消が告げられる。以後は宮沢の自殺未遂が報道されたり、東映映画「藏」95からの降板、中村勘三郎(現・勘九郎)との不倫疑惑など、ネガティブな話題ばかりが取り上げられるようになって、拒食症と見られる激ヤセなどもあり、一時期は完全に芸能活動を休止する状態にもなった。2000年代に入ると、体調も回復して活動を再開。01年に主演した香港映画「華の愛・遊園驚夢」で、モスクワ国際映画祭最優秀女優賞を受賞する。続く02年には、藤沢周平原作、山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」で、真田広之演じる主人公・清兵衛に想われる朋恵役で藤沢文学の女性像を演じた。この演技で、キネマ旬報賞、日本アカデミー賞、報知映画賞の主演女優賞、毎日映画コンクール、ブルーリボン賞、日刊スポーツ映画大賞の助演女優賞を受賞する。井上ひさしの戯曲を原作にした黒木和雄監督「父と暮せば」04では、広島で被爆しながらも生き残ったことに辛さを感じる娘が、父の幽霊と対話しながら次第に生きようと思わされていく姿を好演。幽霊というファンタジーな存在が出てくるものの、原爆のリアルな痛みを感じさせなくてはいけないという難役を誠実に演じ切って、キネマ旬報賞、ブルーリボン賞、山路ふみこ映画賞の主演女優賞を獲得した。村上春樹の短篇小説を原作にした市川準監督「トニー滝谷」05では、名パフォーマー・イッセー尾形を相手に現実と虚構の世界を軽やかに行き来する二役。劇団☆新感線の戯曲を原作にした滝田洋二郎監督の時代劇ファンタジー「阿修羅城の瞳」05では、恋をすると鬼になってしまう宿命を持ったつばき役をけれん味豊かに演じた。是枝裕和監督「花よりもなほ」のおさえ役、三枝健起監督「オリヲン座からの招待状」の豊田トヨ役などでは、清楚な日本女性のイメージを体言している。09年には、写真家・操上和美の初監督作「ゼラチンシルバーLOVE」で、死の気配をまとったミステリアスな女性を演じた。舞台での活躍も長い。初舞台は91年の『ジプシー』で、その後も坂東玉三郎演出の『海神別荘』『天守物語』や、『七色インコ』『源氏物語』などに出演し、野田秀樹演出の『透明人間の蒸気』04では読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞している。以後も野田作品には欠かせない女優となり、『ロープ』06・07で紀伊國屋演劇賞個人賞、イプセン作の『人形の家』で読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。テレビドラマはほかに、日本テレビ『ロマンス』99、『一番大切な人は誰ですか?』04、NHK『おいね・父の名はシーボルト』00、『江・姫たちの戦国』11、テレビ朝日『長崎ぶらぶら節』01、TBS『明智小五郎対怪人二十面相』02、フジテレビ『瀬戸内寂聴・出家とは生きながら死ぬこと』05などがある。本木雅弘共演のサントリー『伊右衛門』のドラマ仕立てのCMでの貞淑そうな妻役も長く人気を博すほか、多くのCMで活躍。09年4月、元プロサーファーの男性と結婚。同年、女児を出産した。

宮沢りえの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 火の鳥 エデンの花

    制作年: 2023
    手塚治虫による漫画『火の鳥 望郷編』を初アニメ化。地球から遠く離れた惑星エデンに降り立ったロミ。孤独なサバイバル生活を送るなか、ロミは一人息子カインのために自分の命を少しでも引き延ばそうとコールドスリープに入るが、機械の故障で1300年も眠り続ける。声の出演は「湯を沸かすほどの熱い愛」の宮沢りえ、「Sin Clock」の窪塚洋介。アニメーション制作は「海獣の子供」のSTUDIO4℃。監督を「ムタフカズ」の西見祥示郎が務める。
    92
  • 月(2023)

    制作年: 2023
    実際の障害者殺傷事件を題材にした辺見庸による同名小説を原作に「茜色に焼かれる」の石井裕也監督が映画化。重度障害者施設で働き始めた元・作家の堂島洋子。職員による入所者への心ない扱いや暴力を目にする洋子だったが、それを訴えても聞き入れてもらえず……。出演は「湯を沸かすほどの熱い愛」の宮沢りえ、「PLAN75」の磯村勇斗、「翔んで埼玉」の二階堂ふみ、「658km、陽子の旅」のオダギリジョー。
  • アイ・アム まきもと

    制作年: 2022
    「舞妓Haaaan!!!」「謝罪の王様」に続く、阿部サダヲ主演・水田伸生監督によるヒューマンコメディ。人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」として役所で働く牧本は、孤独死した老人・蕪木の部屋を訪れ、彼の娘らしき少女の写真を発見し、娘探しに奔走する。共演は「海辺の生と死」の満島ひかり、「罪の声」の宇崎竜童。原作は、ウベルト・パゾリーニの「おみおくりの作法」。
  • 決戦は日曜日

    制作年: 2022
    窪田正孝×宮沢りえ共演によるポリティカルコメディ。ある地方都市で強い地盤を持ち、当選を続ける衆議院議員・川島昌平が病に倒れた。次の選挙に白羽の矢が立ったのは川島の娘・有美。川島の私設秘書・谷村は、自由奔放で世間知らずな有美に振り回されるはめに。監督・脚本は「ピンカートンに会いにいく」の坂下雄一郎。
    66
  • 日本独立

    制作年: 2020
    第二次大戦直後に日本の独立回復を目指しGHQと渡り合った吉田茂と白洲次郎を活写した人間ドラマ。外務大臣・吉田茂は白洲次郎を呼び出し、GHQとの交渉役を依頼。親子ほども年の違う二人だったが、日本の再出発のため激論を交わしながら国の難局に立ち向かう。監督は、「女囚さそり」シリーズや「ロストクライム -閃光-」などを手がけた伊藤俊也。日本独立への道を切り開いていく政治家・吉田茂を小林薫が、吉田茂の右腕としてGHQとの交渉の最前線で辣腕を振るう白洲次郎を浅野忠信が演じ、終戦から憲法制定、独立に至る歴史の裏側を、日米両方の視点から描き出す。
    70
  • NO SMOKING

      制作年: 2019
      世界的ミュージシャン、細野晴臣のデビュー50周年を記念し、その足跡を辿り、知られざる創作活動の秘密に迫った音楽ドキュメンタリー。2018年のワールドツアーの模様、バンドメンバーや若い世代との交流の様子、本人のインタビューも盛り込んだ。監督は「WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」の佐渡岳利。元YMOで細野と共に活動した坂本龍一や高橋幸宏、女優の水原希子(「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」)らが出演。
      89

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